ＺＯＭＢＩＥＳ　　ＴＨＥ　ＢＥＧＩＮＮＩＮＧ
（ＺＯＭＢＩ　：　ＬＡ　ＣＲＥＡＺＩＯＮＥ）
　
07年：ダイアモンズ・インターナショナル・フィルム／ジャンニ・パオルッチ・プロダクション
監督：ヴィンセント・ドーン（ブルーノ・マッティ）
主演：イヴェット・イソン
　　　 アルヴィン・アンソン
　　　 ポール・ホーム
　　　 ジェームズ・パオレッリ
　　　 ロバート・Ｂ・ジョンスン
　　　 ダイアナ・クロイストン
　フィリピン・ロケによるイタリア映画になり、合作ではないが、イヴェット・イソンとアルヴィン・アンソンの主演にとりあげてみる。ヴィデオ撮影だし、劇場公開の国が見当たらず、いわゆるヴィデオ・シネマといえる。ヴィンセント・ドーンことブルーノ・マッティのヴィデオ・シネマにイヴェット・イソンはかなり出演し、これ以前にも『ＵＮＢＲＩＶＩＤＯ　ＳＵＬＬＡ　ＰＥＬＬＥ』『ＳＥＧＲＥＴＩ　ＤＩ　ＤＯＮＮＡ』『ＳＥＧＲＥＴＩ　ＤＩ　ＤＯＮＮＡ　２』『ＡＮＩＭＥ　ＰＥＲＳＥ（プリズンアイランド　拷問地獄女刑務所）』『Ｌ’ＩＳＯＬＡ　ＤＥＩ　ＭＯＲＴＩ　ＶＩＶＥＮＴＩ（アイランド・オブ・ザ・デッド）』がある。本作は『Ｌ’ＩＳＯＬＡ　ＤＥＩ　ＭＯＲＴＩ　ＶＩＶＥＮＴＩ（アイランド・オブ・ザ・デッド）』の続編らしい。イヴェットの役は前作と同じキャラクターのシャロンで、冒頭の漂流中を救助のあと、何度もしつこくみるゾンビの悪夢が前作の映像のようだ。アルヴィン・アンソンも前作に登場だが、異なるキャラと思われる。
　内容については、なにをかいわんや。
　救出後にヘリコプターで輸送の先は香港っぽく、ここの病院で『エクソシスト』みたいな緑の唾液を吐きながらシャロンが悪夢にうなされるも、看護婦役がフィリピン人なので場所がフィリピンだろう。謎の島における作戦の失敗を追及に、ゾンビの出現が理由を信じてもらえない査問会議でシャロンを責める会社の重役の役にボン・ヴィバルが顔をだす。
　ゾンビの悪夢を振りきるためにシャロンが仏門にはいる寺院は上座部仏教の僧侶が敷地内を歩くが、デザイン的にフィリピンのどこかの道教寺院のはず。上座部仏教で女性が出家と勘違いのシチュエーションのあと、ゾンビが確認できたので、ふたたび島へいってほしいと製薬会社の重役のベーカー（ポール・ホーム）が頼み、潜水艦で島へ向かって本筋に進む。
　女性の腹を破って胎児の誕生が『エイリアン』そのままのあたりからパクりを露呈し、すぐに『エイリアン２』のいただきとわかる。
　上陸後に全滅の廃墟化した施設を探索のザモラ軍曹（ロバート・Ｂ・ジョンスン）のひきいる部隊の動きを数台のカメラでジュルゲンス大佐（ジェームズ・パオレッリ）やシャロンとベーカーが離れた車から監視との構図で、部隊の兵士たちがマヌケにやられ、大佐や軍曹を欠いてテーラー（アルヴィン・アンソン）が指揮官にたつ。ベーカーがゾンビを新種の生物と保存をくわだてるのにテーラーとシャロンが反対などのお申し訳程度のドラマをくわえつつ、テーラーがシャロンに火炎放射機の使用方法を教えるも、とにかく銃や火炎放射機によるゾンビの駆除がいい加減で、血のふきとぶスプラッターの描写にばかり力をこめる。
　女性のゾンビが陰部や乳首を傷のメイク・アップで隠す素っ裸や、ゾンビ製造装置がグロテスクに胎児をえぐりだす犠牲者の女性が半裸や全裸とヌードを満載ながら、コーンヘッズのごとき少年の新種の生物が素っ裸は、さすがにどうよって感じ。肥大化した頭部のみの首領らしきゾンビがシャロンに参画を呼びかけるにおよび、あまりのバカさぶりがかえって楽しめたのに、相当な落胆のしらけに変わる。
　二十日後と連絡がきたにもかかわらず、時間関係を無視で突然に潜水艦が救出にあらわれるラストでシャロンだけが助かったかは、ブルーノ・マッティが完成を待たずに亡くなったのか、監督本人が登場の映像を挿入のあいまいな言葉で不明のまま。
　無線の配線を修理に志願の女性隊員のクレーマー（ダイアン・クロイストン）やシャロンと女性ばかりが強いのがホラーの定番か。
　島の建物を爆破のシーンはフィルム撮りなため、ほかの作品の使いまわしに違いなく、まさに安手の極まったブルーノ・マッティの遺作といった印象でも、意外と堪能のレヴェルの低さがＣ級ファンのゆえん。
　もっとも、なぜにヒロインがイヴェット・イソンなのとの疑問が大きく残る。フィリピンには輝く美人女優がいっぱいいるでしょうと本気で教えたくなる。おそらく脚本でプロデューサーのジャンニ・パオルッチが彼女を気にいったようで、次の『ＭＹ　ＬＡＩ　ＦＯＵＲ（アメリカン・ソルジャーズ　真実の戦場）』にも彼女とアルヴィン・アンソンを出演に起用している。

※　この作品は『ゾンビ２００９』の題名でＤＶＤ発売された。