ＺＡＬＤＯＮＧ　ＴＩＳＯＹ　　ＢＡＴＡＮＧ　ＧＡＧＡＬＡＮＧＩＮ　ＮＧ　ＴＯＮＤＯ
（サルドン・ティソイ　トンドで尊敬をうける子ども）
　
91年：セイコ・フィルムズ
監督：マリア・サレット
主演：イアン・ヴェネラション
　　　 チャリト・ソリス
　　　 ジェニファー・セヴィーリア
　　　 ホヴィット・モヤ
　　　 ヴァネッサ・エスカーニョ
　　　 ガルド・ヴェルソザ
　　　 リト・レガスピ
　　　 ダリア・ラミレス
　　　 ヴィヴィアン・フォス
　ハイ・ティーンを主人公にするアクション作。
　雨の中をヴィヴィアン・フォス演じる女性が赤ん坊を連れて逃げ、リト・レガスピがボスを演じる一味に追いつかれ、赤ん坊を隠して、暴行で殺されるのを陰で少年がみている。シチュエーションが変わってトンドの貧民街でイアン・ヴェネラション演じる若者たちが、ホヴィット・モヤ演じる不良の若者たちともめる。ベンツで通学するジェニファー・セヴィーリア演じるお嬢さまにホヴィットがカラみ、イアンが助ける。ガルド・ヴェルソザ演じる修理工の兄がイアンにはいて、ヴァネッサ・エスカーニョ演じる妻が色っぽいので周囲がちょっかいをだし、ガルドが怒りまったうえにクビ。兄弟そろってケンカばかりにダリア・ラミレス演じる母がうるさく叱咤する。トンド浄化を考えるチャリト・ソリス演じる女地主がポチョロ・モンテス演じる弁護士にスラム撤去を命じ、住民たちが従わないのでヤクザを雇って火を放つ。ＴＶのニュースでイアンがチャリトを非難の猛烈ぶりをみて、リトがホヴィットにイアンを連れてこさせ、仲間に誘う。チャリトがブルドーザーでスラムをつぶしにかかり、抗議も力で追い返したため、チャリトへの嫌悪が憎しみへヒート・アップし、イアンがリトからチャリトの殺害を引きうける。新しい家へ転居で喜ぶ反面、ダリアが怪しみ、ガルドがピストルをみつけてイアンに出生に秘密を教える。イアンの実母はヴィヴィアンで、チャリトは祖母。チャリトもイアンが孫とわかり、一気に心を開く。それをホヴィットが盗み聞き、リトに話す。イアンとジェニファーをリトが誘拐し、ガルドたちがチャリトのボディー・ガードと一緒に助けにくる。
　単純なストーリーで、チャリトのストレートな演技が平板だったり、フミルデ・“ミーク”・ロハスの脚本、マリア・サレットの演出ともにイマイチ。リト宅の乱交パーティーでシャブを吸うなどの雰囲気もさっぱりでない。イアンの案内でジェニファーがスラムを歩き、バナナの揚げものを食べるといった描写はおもしろいも、ジェニファーの性格のよさが説得力を欠く。「歓迎できない人物だ」とジェニファーの祖父がイアンにいうのが階級社会として自然で、イアンの人間性に祖父が交際を認める展開は、しょせんフィクション。チャリトの孫とわかって承諾が実際だろう。ハリー・ポリカルピオ演じるリトの愛人をジェニファーが射殺は女性をイアンがやっつけるわけにいかないので、同性に撃たせる常とう手段。正当防衛とはいえ、予期せぬ殺人を犯したジェニファーの戸惑いぶりも足りない。まあ、チャリトがキリスト像に祈る以外、宗教色を抑え、ドン・ペポト演じるジェニファーの運転手がコメディー・リリーフで、おふざけが適度なのがまずまず。
　女優陣ではヴァネッサがミニスカをガルドの同僚にのぞかれるときにパンティーがチラつき、水浴びを盗み見のシーンになると全裸を披露。石鹸をぬったボディーや丸だしのオッパイが興奮を呼ぶ。ガルドとのセックスはスリップ以上に脱がないも、背中にのってツンツンなんて戯れが自分とカノジョのベッドにも似て、つい共感でながめる。いくつかの短パンもそそり、倒れたダリアを起こすのにしゃがむ姿勢でのヒップラインが挑発的カーヴ。ホヴィットが暴力でカネをかせがせる女や、リトのパーティーにいる女たちの短パンもおいしそうだが、もっとハミケツになってほしいところ。リト宅の場所を探ってイアンたちがリト経営の売春宿へ押し入るシーンにでてくる素っ裸の男女はオマケ程度のもの。ハニーはリトとのセックスで肝心の部分を隠し、ヴィヴィアンはバス・ローブのまま雨に濡れてもスケず、短髪がキュートなヒロインのジェニファーはジーンズが素敵なくらいなので、ヴァネッサのヌードがすべてにまさる。
　いずれにしても不満の多い内容だった。