ＹＯＵ　ＴＯ　ＭＥ　ＡＲＥ　ＥＶＥＲＹＴＨＩＮＧ
　
10年：リーガル・エンターテインメント／ＧＭＡフィルムズ
監督：マーク・Ａ・レイエス
主演：ディンドン・ダンテス
　　　 マリアン・リヴェラ
　　　 マニリン・レーネス
　　　 ジャクリン・ホセ
　人気のディンドン・ダンテスとマリアン・リヴェラのコンビによるロマンスで、どうしても人気に応じてレヴェルのさがる傾向がここにもみられる。
　ベンゲットでいちご栽培といちごジャムの販売で母のフロレンシャ（ジャクリン・ホセ）と生計をたてる山岳民族の娘のフランシスカがマリアンの役になり、国会議員のベニテス（チンゴイ・アロンソ）の息子で上流のボンボンのラファエルがディンドンの役。フランシスカの実父が死亡で非嫡出子のフランシスカが遺産を相続したと弁護士のロニー（ボビー・アンドルーズ）が告げにきて、フランシスカがいやいやマニラへでる。汚職で父が逮捕でラファエルが財産を失う。口頭でコンピューター・システムを操作のハイテク住宅をラファエルが追いだされ、そこにフランシスカが住む。酔った拍子にラファエルが夜にあらわれて泊まる。となれば、あとはパターンどおりの展開。
　父の手がけていた事業をフランシスカがつぐも、素人なためにチンプンカンプンでラファエルをパートナーに雇う。だんだんとふたりに愛が芽ばえ、ラファエルの恋人のメーガン（イザベル・オリ）がラファエルの友人のミコ（ファビオ・イデ）と密会が発覚。フランシスカの幼なじみでいいなずけのカルディン（ＡＪ・ディー）はすでに妻のリリー（ロクサンヌ・バルセド）が妊娠中とわかってハッピー・エンドの下地ができる。
　アロイ・アドラワンの脚本が型におさまり、フランシスカとの愛でやさしさの戻ったラファエルが刑務所の父と連絡や、ファミリーの開発事業で貧困層が住居を奪われたと知ったフランシスカが会社のパーティーで配慮をのべて周囲のひんしゅくを買い、事業から手を引いて貧困層を救済のきれいごとをくわえる。
　マーク・Ａ・レイエスの演出がさらに単純な印象を助長し、冒頭でフェラーリを運転のラファエルが無表情で感情が乏しいなど、あまりにもストレートすぎる。フランシスカの相続を義理の姉妹のうち上のモニク（アンドレア・トレス）が嫉妬でののしり、これをフランシスカに謝罪の下のテリース（ベリア・パディーリア）がやはりカネ目的の皮肉が表層的なら、義理の母のセレスタ（ピンキー・アマドール）がフランシスカを歓迎にもっと微妙な揺れる心理がほしい。
　フランシスカが小ブタをペットに飼い、その価値をプライスレスというのに始まり、カネではないプライスレスの愛をつかむ話にあって、しょせんはシンデレラのわがままに終わる。
　また、フランシスカの世話役のグレタをマニリン・レーネスが演じ、コメディー・リリーフのはずがさほど活躍せず、小ブタに翻ろうなどがたりない。
　同様にフランシスカの運転手のサージ（エドウィン・レイエス）にも、田舎っぺのフランシスカにとまどうあたふたぶりを入れるべき。
　仕事を探すラファエルがホモのマネージャー（ジェフ・ヘンソン・ディー）を殴るギャグは、暴力で笑いをとるなよと落胆がおきる。
　ベンゲットの山の風景はラファエルが高度恐怖症でわたれないわざとらしいシチュエーションを含む吊り橋やいちご畑が興味深いながら、ラファエルが民族衣装のふんどしをしめる結婚式など、いかにも表面的な軽さ。現代的なショッピング・モールのイーストウッド・コンプレックスにあこがれ感が薄くて、自然環境と人工施設の対象が効果をなさない。
　しょせんはスター企画なので、マリアン・リヴェラの魅力にすべてがかかる。ラファエルがフランシスカの水着を想像のシーンでマリアンはアニマル柄のセパレーツの水着で泳ぎ、濡れてプールサイドへあがる。実際の水泳はフィリピーナの通例で着衣のまま。酔ったラファエルがプールへ落下を救助も服を着た状態だが、トイレのショットから続く白いスリップみたいなワンピースだけにややスケる。会社のパーティーで赤いドレスがもっとも美貌のきわだつコスチュームだし、ファンに向けたハイライトのかっこうとわかるが、個人的にはヨットの上で花火をながめながらワインに酔うときのジーンズとカルディンを訪ねるときの黒いタイトなパンツにときめく。ラファエルがビーチ・ヴァレーを応援の際も水着がほしかった。
　美人はイザベル・オリも同格でボディコン・ミニがそそり、ラファエルのボロいアパートで雨もれにあきれる表情がいい。ロクサンヌ・バルセロ、アンドレア・トレス、ベリア・パディーリアでは役柄で厚化粧を抑えたロクサンヌが好み。熟女のピンキー・アマドールにも性欲をもよおし、演技だとジャクリン・ホセがうまい。
　フランシスカが場の空気を読めずに恥をかく会社の重役会議の出席者の中には、本作のプロデューサーのひとりをつとめるアネット・ゴソン・アブロガルの顔がみえる。
　なお、大型モニターで映画を鑑賞でフランシスカが迫力に驚いて逃げる戦闘シーンが日本軍をあつかう戦争ものなのと、フランシスカのマネージャーになったラファエルが会社の車と与えられるのがホンダの高級車なのにニヤっと笑った。