ＹＡＫＡＰＩＮ　ＭＯ　ＡＫＯＮＧ　ＭＵＬＩ
（もう一度、私を抱きしめて）
　
(92)年：リーガル・フィルムズ
監督：エルウッド・ペレス
主演：スヌーキー・セルナ
　　　 アルベルト・マルティネス
　　　 リカルド・セペダ
　　　 カルミナ・ヴィリアロエル
　　　 ジェフリー・サントス
　　　 ジャニン・バレド
　　　 ケヴィン・デルガド
　　　 ユーラ・ヴァルデス
　　　 カリダッド・サンチェス
　　　 デブラリス・ヴァラソテ
　　　 ダリア・ラミレス
　　　 ディンキー・ドゥー・ジュニア
　　　 ジョエド・セラーノ
　　　 ズバス・ヘレロ
　青春映画の名コンビ、スヌーキー・セルナとアルベルト・マルティネスの主演作。
　貧しくてケンカが絶えないながらも愛を育んでいるスヌーキーとアルベルトだが、ひょんなことからジャニン・バレド演じるカネもちの娘がアルベルトに目をつける。アルベルトがジャニンと寝たあと、クリス・ダルス演じるアルベルトの父が倒れ、ジャニンがベンツで病院へ運び、治療代を払ってくれる。ジャニンが妊娠を告げて、アルベルトと結婚。実はスヌーキーも妊娠中で、その事実を教えてダリア・ラミレス演じる母ともめ、ダリアが階段から転落死する。一方、アルベルトにはカルミナ・ヴィリアロエル演じる妹がいて、ジョエド・セラーノ演じるボーイ・フレンドに捨てられたのを、ジェフリー・サントス演じるスヌーキーの弟がなぐさめる。アルベルトは上流社会になじめず、ケヴィン・デルガド演じるジャニンを密かに狙う男や、フランシン・アバドとミシェル・アガド演じるジャニンの女友だちからバカにされる。スヌーキーはユーラ・ヴァルデスとデブラリス・ヴァラソテ演じる親友や、ディンキー・ドゥー・ジュニア演じるその男友だちにリカルド・セペダ演じる青年の紹介をうけ、いったんは深い関係になるのを拒むも、だんだんと結ばれていく。アルベルトはリカルドとトラブり、ジャニンとももみ合って、ジャニンが流産。アルベルトをスヌーキーが追い払ったようすをケヴィンが目撃でジャニンに話し、ケヴィンと浮気のうえ、スヌーキーを訪ねてジャニンが脅す。カルミナが妊娠でジェフリーが責任回避の態度をとる。カルミナの自殺未遂でアルベルトがジェフリーを殴り、とめに入った身重のスヌーキーが傷つく。スヌーキーの妊娠を知らなかったアルベルトが病院へ急行し、出産を喜ぶ。カリダッド・サンチェス演じる母から闇の堕胎を迫られたカルミナのもとへジェフリーがきて謝る。アルベルトが別れを決めたので、ジャニンがピストルを持ちだすと、ケヴィンに連絡。スヌーキーがジャニンの差し向けたレイプ犯にやられそうなのをアルベルトが助けて、護身用にピストルをわたす。ジャニンとケヴィンが赤ん坊を連れ去りに現われ、スヌーキーとジャニンがとっくみ合い、赤ん坊が飛んで奇跡的に助かり、事故でジャニンが亡くなる。アルベルトが駆けつけ、ケヴィンと相撃する。
　ラヴ・ストーリーのようでいて、フィリピンの階級社会と貧富差を少し背景におくのが興味深いながら、結局は暴力で血を呼ぶ話かよと失望が走る。エルウッド・ペレスの意図はどこにあるのか…
　でも、いくつかのおもしろい点がうかがえ、ダリアの葬式で麻雀花盛りがいかにもフィリピン。カリダッドがジャニン宅を訪問でフローラ・ガセル演じる家政婦がＴＶドアー・フォンで応対し、ジャニンが買った花瓶を割り、五千ドルの品物というのが資本家趣味なら、怒るジャニンをアルベルトがやさしく足をなめて機嫌が直るあたり、よく女心をとらえている。ズバス・ヘレロ演じるジャニンの父がアルベルトとの結婚に不満なのを、感情的に描かない表現も買える。リカルドがスヌーキーにピザをもってきて、ユーラとデブラリスが食べるおかしさも納得。ユーラとデブラリスがつとめる縫製工場や、ジャニンの洗濯屋など、そこそこに生活ぶりが伝わる。カルミナとジェフリーのセックスがジプニーに隠れてなのは、確かに現実っぽい。
　スヌーキーとアルベルト、デブラリスとディンキーのデュエットが『エンドレス・ラブ』で、この曲の人気が察せられる。
　それはさておき、なんといっても最大の魅力はこれが本格的デビューにあたるジャニンのセクシーさに尽きる。スヌーキーが二度あるベッド・シーンでそそる要素皆無だけに、余計ジャニンの色気が際だつ。アルベルトとのベッドでスリップになり、シーツを巻いて寝ころがり、混浴のバス・タブにつかり、アルベルトのパンツ一丁は気持ち悪いが、キャミとゆるいパンティー姿を披露する。超ミニスカも視線を引きつけるうえ、プールでの背中が大胆にあいたワンピース水着が興奮もの。ピチッと貼りついたヒップラインは、まさに理想的な形に思える。
　ジャニンのプロポーションが映画の価値を数段あげている。
　あと女医を演じるイヴリン・ロレトがちょっと気になる容貌だった。