03年：リーガル・エンターテインメント
監督：メル・チョングロ
主演：オーブリー・マイルス
ジェーク・ロハス
カラニ・フェレリア
ジョン・ホール
アルミダ・シギオン・レイナ
ルイス・ゴンザレス
ラクエル・ヴィリアヴィセンシオ
マヌエル・アキノ
カレン・オハラ
リサ・ディーニョ
Ｇ・フォード・ララ
ロドルフォ・ソリス
イネス・ヴェネラション
アレン・ディゾン
デクスター・ドリア
アラン・ノブレ
ジョン・ロマノ
タブロイド紙の『Ａｂａｎｔｅ』に掲載されている人気コーナーの『Ｘｅｒｅｘ Ｘａｖｉｅｒａ』から題材をとった作品。フィリピンにいるときはしょっちゅう買うし、日本にいても毎日のようにホームページへアクセスする『Ａｂａｎｔｅ』だが、実をいうと『Ｘｅｒｅｘ Ｘａｖｉｅｒａ』を読んだことがなかった。いわゆる男女のイチャイチャ・ストーリーの投稿で、日本だと『ＯＬの性』といった週刊誌のコラムかもしれない。映画は“ＫＡＭＡ”（ベッド）、“Ｏ”（驚いた）、“ＢＵＴＡＳ”（穴）の三つのエピソードで構成されている。この三つともに目下人気最高潮のセクシー女優であるオーブリー・マイルスが主演するのだから、すごいお色気作品に仕上がっているだろうことは、容易に想像がつく。
もっともオーブリーはヘソに宝石を埋めていたりして、個人的にはそれほど好きじゃないから、ちょっと不安ももたげるのだが…
“ＫＡＭＡ”は遊び半分にもてあそばれた女学生が復讐するストーリー。コスチューム・パーティーで知り合ったジェーク・ロハス演じる同級生にオーブリーが夢中になるも、図書館で隠れてセックスしたときに、携帯電話のカメラでオッパイの写真を撮られる。それを仲間うちで回覧されたから怒り心頭。こんどはうまくジェークを誘いだしてベッドで女装させ、変態写真をキャンパス中にバラまくわけである。
フィリピンでもカメラつき携帯がどんどん普及していて、ミシェル・エステヴェスが酔って寝ているときに盗撮されたとのニュースが広まり、実際にそれをみてみればブラをずらされて乳首のドアップがバッチリのショットや、パンティーをまくられてモジャモジャした陰毛が写っているムチャクチャなものだったが、日本と同じように犯罪まがいの目的でつかう者があとを絶たないんだなあ、とうかがわせる内容。オーブリーたちがセックスの話題ばかりで、思春期の女の子の心理を表しているも、極端にカリカチュアされているから説得力が乏しい。むしろ生涯現役みたいなアルミダ・シギオン・レイナ演じるオーブリーの祖母がいい味をだしていて、ルイス・ゴンザレス演じるおじいちゃんと再婚するサブの話がほほえましいイメージになっている。
コメディーとして、まずまずのできじゃないか。
オーブリーは時代風のコスチュームからパンティーを脱がされ、ジェークにスカートをまくられるところでは露出なし。図書館でオッパイを撮られるときに、仰向けに寝ているポーズで、下からとらえた乳房がオオッとそそる。眠らせたジェークをベッドで服を切り裂いて裸にしていくシーンでの黒い下着姿は、お尻の突きだしポーズや上からバストの谷間をのぞきこむようなショットもあって、かなりウハウハもの。ジェークのパンツをつまんでチンポをのぞき、ウィッと声をあげる瞬間も、ニヤッとさせる雰囲気をつくっている。もちろんベッドに縛りつけたジェークが騒ぐので、ブラをはずして口へねじこんでからは、ずっとオッパイをプラプラ。騎乗位になってジェークの乳首をギュッとつねったり、逆レイプみたいにボディーをすり合わせる行為など挑発的なのだが、勃起だけさせてセックスせずに去るときに、結局全裸なのかどうかはっきりせず、やや不満を残す。
あとジェークの恋人役のカレン・オハラが意地悪そうな演技をするも、ちょっと気になる容貌。オーブリーの友人役であるハンナ・エヴァンゲリスタ、ミリアム・ガルシア、シラ・マクレイたちもかわいく、一人はうす緑のピタパンでバツグンのプロポーションを強調しているから、下着姿くらいはみせてほしかたなあ、と鼻の下が伸びっぱなしだった。
“Ｏ”は五日間にも及ぶマラソン・セックスでオーガニズムを満喫したいとの期待を抱く女性が、婚約者に失望し、ビーチで筋肉隆々のライフ・セーヴァーに抱かれるストーリー。いざ知りあってみればカラニ・フェレリア演じるセーヴァーが飯をムシャムシャ食べたあとにゲップをするだけでなく、スプーンで背中を平気でかく下品な男で、うんざりというコメディーである。
海岸が舞台だからオーブリーが、リサ・ディーニョ演じる友人とともに何パターンも水着姿を披露してくれるのが嬉しい。
と感じたのだが、実際はパレオを巻いていたり、パンティーのほうがスカート状になっているものだったりで、ストライプのビキニ以外はイマイチ。リサのほうもスカートをはいたワンピースや、キャミとホット・パンツといった程度だから、それほど興奮させてくれなかった。
部分的に二人が願いごとの儀式をするシーンで、日本の女たちと変わらないバカさ加減を漂わせる点に興味深かさがあるものの、中途半端なできといわざるをえない。
確かにオーブリーのオッパイは、ここでも炸裂。幻想と現実の二回あるカラニとのセックスで、乳首が立っていたり、背中から抱かれてブルンブルン揺れたり、座位やバックでこれでもかと堪能させてくれるのだが、それほどおいしそうに感じないのは、メル・チョングロ監督がスケベじゃないせいだろう。撮りかただけでなく、おそらくフェイクだろうが、刺青をみせ合うシーンなどもでてきて、趣味に合わなかったのが正直なところ。
“ＢＵＴＡＳ”は前の二つとは違って、暗いムードのサスペンス劇になっている。オーブリー演じるのはエレベーター・ガールで、いつも乗ってくるジョン・ホール演じるムキムキ・タイプの男にあこがれを抱いている、との設定。カラニといい、今度のジョンといい、そんなにフィリピン女性はマッチョが好きなのか、と推測できるあたりが好奇心をそそる。ロマンス・ブックを仕事中にも読んでいるのだが、これは似たような人物をけっこう知っているから、妙に納得。ボロ・アパートに住んでいて、隣にイネス・ヴェネラション演じる女性が引っ越してくる。デクスター・ドリア演じる管理人が不在にするため、一時的に鍵とペットのハムスターをあずかったとき、部屋の模様替えでクローゼットを動かしたら、壁に穴があいているのを発見。絵の額で隠すも、アレン・ディゾン演じる恋人とイネスがセックスするあえぎ声が聞こえてきて、ついつい穴からのぞいてしまい… というシチュエーションで、グイグイと引きつけるような緊迫の短編を誕生させている。
さすがにメルだけあって、うまいなあ、と素直に感心。
正直なところ、のぞきのドラマとしてはヒッチコックの『裏窓』を上まわっているんじゃないか。なんてことをいうと「いくらなんでもひいき目すぎるぞ」と怒られそうだが、異常な題材を巧みにセンスよく描いた『裏窓』は、ヒッチコックの鮮やかな名人芸で立派な作品に変わりないのだが、いささかテンポがのろいのは事実で、古くなった感は否めない。下品ながらもグロにならず、誰もが秘めているのぞきという変態行為への誘惑を無理なく表現した本作のほうが、はるかに現実的だと思えてくる。
アレンがのぞかれている気配を感じ、壁の穴をみつけて上にポスターを貼るのだが、ハムスターが逃げたのを探して偶然から鍵を開くと、イネスの部屋へ入ったオーブリーがポスターに穴をあけるシーンで、イネスが帰ってくるぞとのスリルが生じて、けっこうハラハラさせる。イネスが前の恋人に殺害されるのを目撃してしまう展開では、穴の両サイドからオーブリーと犯人の眼球が合う瞬間など、ルイス・ブニュエルの『エル』じゃないが、ハッと息を飲むくらい緊張の高まりをつくっている。オーブリーがちょくちょく帰りにバーベキューを買い食いしていたのだが、その串を部屋に捨てていて、アッ、これも伏線だったのか、との驚きに感嘆。なかなかよく練りあげた構成だ（脚本はロイ・イグレシアス）。
ただし希望の薄さが招くあと味が流れ的に悪く、落ちこんで終わる点はイマイチかな、と指摘せざるをえない。ライトなものが二話と、ヘヴィーなものが一話で、中間を欠いた全体のバランスもどんなものだろうか。
ところでイネス・ヴェネラションの出演は特筆に値する要素。あれ、こんなところに穴が…、とオーブリーがのぞいたときに、パンティーの食いこんだお尻から登場し、ベッドに仰向けで横になると、張りのよいオッパイの形がまったく崩れないではないか。朝にナプキンをつけてパンティーをはき、ボディコン衣装を着たあとのプロポーションもほぼ理想的。同性のオーブリーがうっとりして、オッパイもポコッと丸みえに鏡の前に立ちながら、自分の全身と比べるのもうなずける。セックスになってからは三度のぞかれるのだが、アレンのお尻がみえる一回目や、下着姿のみの二回目はさておき、バックから騎乗位へと転じる三回目が鼻血もの。オッパイやお尻が圧倒的なばかりでなく、腰つきが生つばゴックンものにエロい。そのうえ横チチのアップでは乳首が立っている。殺害されるときもオッパイをだしたままで、イネス最高。美人度ではほんの少しオーブリーに負けるかもしれないが、年をとっても肉体のアピール度はオーブリーを凌駕している。これぞセックス・ニンフ、と再確認した次第である。
オーブリーのほうはイネスの部屋へ侵入した際に、そこからのぞき返してみると、自分の部屋でジョンに抱かれているイメージを想像するシーンがあり、激しく愛撫されながらオッパイをモロだしに。エレベーターでジョンと二人きりなったときも、ジョンに襲われる願望をもたげるのだが、シャツを脱がされてオッパイがポロリ。なかなか感激のサーヴィス精神なのものの、イネスの強力パワーの合い間では、どうしてもかすんでしまう。好みの差でしょ、と突っこまれれば、それまでかもしれないが…
フィリピンでは相当に話題提供中のオーブリーに対して、個人的にはイケない女優だなあ、と痛感した一編だった。
※ 同じ２００３年、オーブリーはエリック・マッティの制作、ホヴェン・Ｍ・タンのライン・プロデューサーで30分ちょいのヴィデオ作品『ＸＥＲＥＸ ： ＴＨＥ ＳＥＲＩＥＳ』を発表。ほとんどオーブリーのセクシー・アイドル的人気を高めようとの企画であり、ラストのベッド・シーンで上向きオッパイをたっぷりと堪能させるオーブリーに拍手だったが、ジェニン・デシデリオ、ステラ・Ｌ、マリエラ、オリーヴ・グロリアとエプリル・アベラルデ（ともにオーブリーが主演したエリック・マッティの『ＰＲＯＳＴＩ』に顔をだしている）といった共演女優のうち、ジェニンとステラに完敗。陰毛が今にものぞきそうな下着のあと、石鹸の泡にまみれてバス・タブにつかり、ギリギリまで露出。しかも全裸でシャワーを浴びるのを刷りガラス越し映しだし、キュートなお尻をガラスにムギュッと押しつけ、乳首もスケるジェニンに悩殺のうえ、美人のステラが黄色い紐ビキニの水着で屋上のジェット・バスになったプールに入浴。ヒップラインの美しさが絶品なばかりか、ベッドでセックスを始めると、ビキニのブラがほどけて乳首があらわに。もう吸いつきたい欲望をおさえきれず、まったく乳首のアップがブラからはみでた形なので、モロよりもそそる。オーブリーよりもジェニンとステラが存在感を放つ短編だった。『ＦＩＲＳＴ ＥＤＩＴＩＯＮ』とエンド・クレジットにあるから、第二段を期待したい。
