“ＷＯＲＫＩＮＧ　ＳＴＵＤＥＮＴＳ”
　
(92)年：オクトアーツ・フィルムズ
監督：エド・パルモス
主演：モニカ・ヘレラ
　　　 ドニータ・ローズ
　　　 マイキー・ヴィリアヌエヴァ
　　　 マリトニ・フェルナンデス
　　 　リッキー・ベルモンテ
　　 　アンジョー・イリアーナ
　　 　オギー・アルカシド
　　 　ロンネル・ヴィクトル
　学園ものである。女学生たちが恋をし、キャンパス・ライフを楽しみながらも、それぞれがかかえる悩みにぶつかり、それに立ち向かうことで克服によって成長していく。とくに目新しくはない。ほとんどがコメディー・タッチなものの、ところどころでマジになり、適度に感動させる要素を盛りこむ。といった構成面でも、実にオーソドックスである。
「だから何なの」といってしまえば、ハイそれまでよ。
　なのだが、ちょっとフィリピンぽい部分がうかがえて興味深い。
　モニカ・ヘレラ、ドニータ・ローズ、マイキー・ヴィリアヌエヴァ、マリトニ・フェルナンデス演じる四人が主人公で、ドニータとマリトニはアメリカへ行く夢をもっていて、実際にドニータはそれをはたすわけながら、個人的にはあんな国のどこがいいのと思っているだけに、相変わらずのフィリピンだなあと感じる。モニカが破産の危機でどうしようもなくなって教師に相談したとき「日本へでも行くか」みたいな発言内容がある点もユニークだし、一つの傾向がうかがえるようである。モニカはロンネル・ヴィクトル演じる友人と結婚して、ロンネルもカネをつくるなら「サウジへでも行くか」と冗談ぽくいうあたりに真実が隠されているような気がする。
　せっぱつまったモニカは一時的に挑発的な衣装のダンサーになるのだが、マリトニのほうはもっと踏みこみ、ストリートに立っている。四人の中で一番リッチな生活をおくっているものの、その見栄のためであり、遊ぶカネほしさからの売春は日本のアホ女たちの専売特許じゃないようだ。またリッキー・ベルモンテが演じる中年男性をパパに、文字通りの援助交際を行うも、ちゃんとペナルティーが用意されている。妊娠のうえ、不治の病にかかり、赤ん坊を残して早逝の運命をむかえる。
　考えてみれば、モニカはルスティカ・カルピオ演じる祖母や、デクスター・ドリア演じる叔母などの人間関係にめぐまれ、祖母が亡くなるときに勇気をもらう反面、家を差しおさえられてしまう。ドニータは遊びぐせの母のために余裕がなく、弟が不良に走りがちといった家庭環境に苦労をしいられる。これにマリトニも含めて、三者三様に物質面のことが十分に足りないために困難がふりかかってくるのは、発展途上という国の反映かもしれない。ただマイキーの性格づけなど、確かに物質的にめぐまれているとはいえないが、精神面のジレンマを多くもっているあたり、作者たちが心の問題の大切さに気がついているともいえる。
　エド・パルモス監督たちスタッフはおそらく自覚していないだろうが、人生に格闘するときに外的な要素だけでなく、内的な要素を盛りこんだ点を評価したい。
　他に観光ガイドのアルヴァイトを始めたドニータが日本人の観光客にみそめられ、写真を撮らせてと頼まれたあとに、結婚してくれと迫られるあたりがおかしくも、皮肉を読みとる。日本のフィリピン親父たちには、この登場人物のように英語がしゃべるヤツはほとんどいないぞ、とも感じるが…
　まあ、デクスター・ドリア演じる男好きオバサン教師や、マイキーのことが大好きでエコひいきするセクハラ教師がいたり、試験でカンニングしたり、ＣＭモデルで大失敗したり、とはずしているギャグが多いが、笑える部分もそこそこあるから、それなりに楽しめるといってよい。
　可もなく不可もない作品である。
　四人の女優に関しては、まずドニータがいちばん美人で、スターの道へ入ったことがうなずける。マイキーとモニカは十分にそそる魅力があるが、マリトニは歯がきたないから、口をあけない限りでかわいい。実はポスターでモニカが水着だったからみた映画なのだが、ちゃんとプールのシーンがあり、四人ともにワンピース。とくにドニータは水の中でアンジョー・イリアーナ演じる恋人とイチャつくとき、食いこんだお尻の露出が大胆になって、なでなでしたいくらいキュート。マイキーはオレンジの単色だけにボディー・ラインがいっそう明確で、やはりオギー・アルカシド演じる恋人に抱きあげられ、濡れて水着が貼りついた姿に興奮を呼んだ。