ＷＯＲＫＩＮＧ　ＧＩＲＬＳ
　
10年：ＶＩＶＡ／ＧＭＡフィルムズ／ユニテル・プロダクションズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：ユージン・ドミンゴ
　　　 ルッファ・グチェレス
　　 　イサ・カルサド
　　　 ジェニリン・メルカド
　　　 クリスティン・レイエス
　　　 ユーラ・ヴァルデス
　　　 ビアンカ・キング
　　　 カルミ・マルティン
　　　 リオ・ロクシン
　　　 マリア・イザベル・ロペス
　　　 ジーナ・パレニョ
　イシュマエル・ベルナルの同名作をホセ・ハヴィエール・レイエスがリメーク、と予想したが、前作を企画の時間的な下敷きにおくも、ほとんどオリジナルの内容だった。
　イサ・カルサド、ジェニリン・メルカド、クリスティン・レイエス、ユーラ・ヴァルデス、ビアンカ・キング、ルッファ・グチェレスの美人女優六名にくわえ、ブスのおばさんのユージン・ドミンゴがヒロインのひとりを演じるのがコメディ要素を高める。前作の主要キャストのリオ・ロクシン、マリア・イザベル・ロペス、ジーナ・パレニョも顔をだす。
　たくみにからみあう人物構図にあって、上流階級と上流にあこがれるもの、庶民像を平行に描き、さすがにホセ・ハヴィエール・レイエスの脚本がうまい。　
　ただし、それだけの話。
　玉の輿に乗ろうと相手を探すウェンディー（クリスティン・レイエス）がフェースブック、フレンドスター、マイ・スペース、ツイッターを駆使に現代ふうがうかがえる。美容整形医のクレオ（ユーラ・ヴァルデス）が持つ携帯電話もアイ・フォンになる。新米のＴＶプロデューサーのダラ（ビアンカ・キング）がバークレーを卒業の経歴をひけらかせてお高く、周囲のひんしゅくと反発を買ったり、看護婦のテレサ（イサ・カルサド）がボストンの仕事をえて出発予定が相変わらずアメリカ合衆国によりかかるフィリピンの気質。テレサの友人でコール・センター勤務のアダ（ジェニリン・メルカド）が未婚の母で、娘のカイラの父親であるジョナタン（ビボイ・ラミレス）が移住を決める先はカナダながら、これも北米志向のあらわれ。偽ものブランド・バッグ制作のパウラ（ユージン・ドミンゴ）がふたりの息子に英語をしこむため、タガログ語ばかりの夫のボビー（アントニオ・アキタニア）に文句タラタラや、なにも仕事をせずにボビーがバスケットボールに夢中がフィリピンの一般像といえる。高齢の資産家の夫が死亡による遺産相続で豪邸に住めなくなる元ミス・クィーンのマリルー（ルッファ・グチェレス）が新しい家の場所がアンゴノと聞き、そこに「スターバックスはあるの」がリッチ層のライフ・スタイルで、個人的にアンゴノは恋人の居住地なので余計におかしい。赤字会社のオーナーと判明のマリルーがすぐに経営から手を引くと周囲の画策に対し、クレオに会計士（ローランド・Ｔ・イノセンショ）の紹介をうけてリストラに着手や、女性の地位向上のリーダーがクレオの病院のボイコット運動を展開が時代を反映かな。クレオが女性活動家の報道を押さえこむため、友人のＴＶ局の女性重役に連絡がいかにも。と興味をそそる部分を含むながら、いわゆる深みを欠く。
　勤労女性たちとの題名で、金持ちの相手探しのウェンディーが働いていないのは逆説にして、同僚のトブス（カルロ・アキノ）へ恋心を抱くのにトブスがウェンディーの誘惑に応じる設定のアダにほとんど職場のシーンがでてこないし、本当に働く女性は不治のやまいの患者を担当すれば、その夫のレオン（ジャオ・マパ）が学生時代のボーイフレンドの偶然に揺れるテレサ程度。高慢な自信をすぐに折られたダラが女性活動家の取材で評価をえるあたり、映画らしい甘さと指摘できる。
　台詞の応酬の進めかたはプラスに作用も、さほど感動を呼ばない小手先のテクニックに次第点のライン。
　一応は大阪のおばちゃんに匹敵のパウラの猛烈なキャラぶりと、強引なパウラにうんざりの雇われ運転手のネルソン（リッキー・ダヴァオ）にロマンスが生まれるエピソードは、ふたりが不細工なだけに微笑ましいし、インターネットでバッグをチェックのパウラがコピーをつくって売る際に「台湾製のＡクラス」とセールスに、客から「グッチのＣがひとつたらない」といわれてグチなのが笑いを誘う。
　女優陣はゲストのカルミ・マルティンが若さの維持に必死な中年女性で、クレオの常連の患者のスザンヌ役、リオ・ロクシンがアダの母親役、ジーナ・パレニョがパウラの義理の母親役、マリア・イザベル・ロペスが女性活動家のローズ役のほか、主役の七名以外にも豪華なメンバーがそろう。ウェンディーのルームメイト役にカチャ・サントス、ダラの先輩ディレクターのレーシェル役にアンドレア・デル・ロサリオ、ダラの母親でマリルーの亡き夫の娘にあたる財産分与の敵のアマンダ役にチェリー・ヒル、ダラの叔母でクレオの知人であるＴＶ局の重役のマウラ役にジャッキー・ルー・ブランコ、マウラの部下でレーシェルとダラの上司の編成部長になるコニー役にマイリーン・ディゾン、マリルーの母親役にリザ・ロレナ、女医役にＬＪ・モレノのスターや、ＴＶ局のスタッフのひとりにＣＪ・ジャラヴァタ、ジョナタンの婚約者のサラ役にジェフ・ギタン、クレオの弁護士で、ウェンディーと適当に遊ぶロドニー（ラファエル・ロセル）の恋人のエリア役にサラ・ポルヴェリニのモデル出身の若手など。
　さらに脇をパウラ宅の家政婦のリタ役にアントネット・ガルシア、ＴＶレポーター役にマルー・クリソロゴ、テレサの祖母の患者役にエルミー・コンセプション、クレオの秘書のヴェロン役にジャッキーリン・ガルシア・ティニオ、レオンの妻で不治のやまいをわずらうライッサ役にイナ・フェレオ、女医役にマデリーン・ニコラス、看護婦役にアンナ・デロカ、スザンヌがパーティーに同伴の若いツバメを彼女の息子と勘違いの叔母役にテッシー・ヴィリアラマ、マリルーがオーナーに就任の会社の秘書役にヘーゼル・オレンショ、マリルーの新しい秘書役にデア・フォルマシル、ボビーの浮気の女役にマリー・クリス・マカス、実はレズとわかるＬＪ・モレノ演じる女医のパートナー役にキンバリー・ディアスが占める。子役のカイル役のレブロン・ロドリゲス、ローズの娘役のレヴィン・ドゥリエーヌ・ジャラ、クレオの娘のシャティマー役のアヴィヴ・ゲセのうち、アヴィヴがデブなのは美容整形医の子が…、との皮肉。
　個人的には年増のチェリー・ヒルにひかれるも、クレオやスザンヌがかようジムでエクササイズのバイクを短パンでこぐＬＪ・モレノがちょっと色っぽいくらいで、セクシーなシチュエーションを誰にも盛りこまず、ものすごい不満が残る。とくにＣＪ・ジャラヴァタ、ジェフ・ギタン、サラ・ポルヴェリニは旬だけにもったいない。唯一、エンド・クレジットで主役の七名がダンスの映像で、下半身にピッタリの衣装のビアンカ・キングが視線を奪う。カチャ・サントスとアンドレア・デル・ロサリオからは、ＶＩＶＡホット・ベーブスがブスだったなあと実感。
　いやはや、わりとすぐに忘れ去る、印象の薄い作品といえる。
　ローズの売春婦の過去をあばくオカマのブローカー役に前作の配役そのままにジョエル・ラマンガンが出演。前作の主題歌をダンス・タッチにアレンジのユーラシアの歌は好みをはずれる。ウェンディーがロドニーと出会うバーがどこなのか、少し気になる。