ＷＩＮＡＳＡＫ　ＳＡ　ＰＡＮＧＡＲＡＰ
（傷ついた夢）
　
97年：ゴールデン・タワーズ・フィルムズ／ＭＢＡプロダクション
監督：アルテミオ・マルケス
主演：アナ・カプリ
　　　 リッキー・ベルモンテ
　　　 ダニエル・フェルナンド
　　　 アントニー・コルテス
　　　 モーリン・マウリシオ
　　　 ペルラ・バウティスタ
　　　 ベリア・フロレス
　　　 アルマ・アレグレ
　　　 アデル・マルケス
　田舎に住むもののマニラ幻想を下敷きにおく愛憎劇。
　まだ若い女性のルライ（アナ・カプリ）は母のセニャン（ペルラ・バウティスタ）、妹のラニ（アルマ・アレグレ）、恋人のロミー（ダニエル・フェルナンド）を残してマニラへでる。そこで売春斡旋業のカルメン（ベリア・フロレス）に声をかけられ、上院議員のガリエゴ（リッキー・ベルモンテ）の相手をさせられる。最初は絶望のルライだが、すぐに慣れて、カネを実家へ送る。また警察騒ぎを起こしたとき、ガリエゴが後押ししてくれなかったので恨みをおぼえる。ちょうどガリエゴには息子のラモン（アントニー・コルテス）がいて、仲間たちふたりと女を買いにきた際にルライを相手に選ぶと、ラモンのもっていた写真からガリエゴの息子と知ったルライが甘く誘惑し、童貞を奪われたラモンはルライを妻にとのぞむ。息子の恋人と紹介されたのがルライだったため、思わずガリエゴがショック死。ルライはラモンにガリエゴからレイプ同然に合わされた事実を伝える。いったん田舎へ帰り「私はもう汚れた」とロミーの要求を拒む。ラモンの姉のエミー（モーリン・マウリシオ）が現われ、家政婦のソヤン（ヴィヴィアン・サラザール）から状況を聞き、ルライのもとへ抗議にくるも、ケンカのすえにルライが追い返す。一方、別宅のある田舎へラモンがきたときに運転手のコスメ（アンドルー・Ｔ）がラニをひきそうになり、この出会いでラモンとラニがお互いに強い印象をうける。ラモンはラニとの結婚を夢み、ラニは「マニラでモデルになった姉を尊敬している」という。ラニが処女を捧げたと気がついたセニャンに、ラモンが「神にかけて責任をはたします」と誓う。ルライが戻ってきてラモンとの過去の関係がわかり、一堂が衝撃に嘆くも、ルライはマニラでの一部始終を語り、ロミーがすべてを許すと抱擁する。そんなところへソヤンとコスメの連絡でエミーが銃を手に乱入し、ルライを撃つや、ロミーに当たる。瀕死のロミーはエミーと格闘になり、エミーも亡くなる。ラモンとラニが結ばれる。
　いかにもドラマティックさを意識したストーリーはリク・パオ・アカショの脚本で、これでもかとアルテミオ・マルケスがメロっぽい展開の波をつくる。それだけにバカバカしいながら、ロマンス・ノヴェルが好きな人たちの国の映画だなあとわかる。ラニが処女喪失で脚に血が流れてズリ足で歩くのに妙なリアルさがあるし、ルライがスレたのを喫煙であらわして、どこでもタバコはバカの象徴とうかがえる。またガリエゴがラモンをアメリカ合衆国へ留学させたがっていたりにフィリピンっぽさがにじむ。
　セクシー表現はどうかだが、まず冒頭でルライとラニが海でたわむれ、白い衣装に乳首のポッチが浮かび、黒いパンティーがスケるのに期待が走る。ルライがロミーに別れをいうときも白い衣装で、乳首がぼんやりとみえている。でも大胆な露出はでてこず、ガリエゴとの強姦もどきでルライはボディーにシーツを巻いたままだし、ラモンとのベッドでもシーツの中にいるし、ロミーに身体の汚れを示すときもワンピースからバストの谷間がのぞくどまりで、ゴールドのボディコンや光沢のパンツ・ルックのそそる衣装があるとはいえ、アナ・カプリにしてはもの足りないレヴェルに終わる。
　カルメンの娼館の女たちはラアニ・マルキナ、マリー・グレース・チュア、メラニー・ベストヨン、マリカル・ベロロ、リザ・アルヴェラ、アーリン・ヴェリアたちが演じていて、みんなブス。ラモンがルライを選ぶ娼館ではチェル・ゴロスペ、マヤ・マベル、ロサリンダ・ドニャとともに台詞のない顔のアップ・ショットのみでサンドラ・ソベル、イナ・アレグレが娼婦役で出演している。