ＡＮＤ　ＩＴ　ＡＬＬ　ＢＥＧＡＮ…　　ＷＨＥＮ　Ｉ　ＭＥＴ　Ｕ
　
09年：リーガル・エンターテインメント／ＧＭＡフィルムズ
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：リチャード・グチェレス
　　 　ＫＣ・コンセプション
　　　 イヤ・ヴィリアーニア
　　　 アルフレッド・ヴァルガス
　　　 トントン・グチェレス
　　　 チェリー・パイ・ピカチェ
　　　 ティルソ・クルース・３世
　　　 ペルラ・バウティスタ
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 ベアウィン・メイリー
　　　 チャリス・ソロモン
　　　 ラクエル・ヴィリアヴィセンシオ
　　　 パオロ・パライソ
　　　 バブルス・パライソ
　　　 イネス・ヴェネラション
　よくできた恋愛青春映画、と割りきっていいかもしれない。
　シャーロン・コネータとガビー・コンセプションの娘にあたるＫＣ・コンセプションにリチャード・グチェレスを共演させた、アイドルもの的な面もある。
　リチャード演じるベンジーはパイロットで、ＫＣ演じるジェニーはデパートの店頭販売員。それぞれ婚約者のトレーシー（イヤ・ヴィリアーニア）とアルバート（アルフレッド・ヴァルガス）が同窓生で、共通の友人のバーニー（バブルス・パライソ）の結婚式に出席でパラワンのリゾートにきている。たまたまベンジーにパラワンへ荷物を運ぶフライトの予定があったので、トレーシーがジェニーを乗せてほしいと頼む。ところが急用の発生でフライトがキャンセルになり、しかたなく小型の水上機を飛ばすが、整備不十分のせいか、エンジン・トラブルで無人島へ不時着。
　空港に遅刻でベンジーがジェニーを怒り、お互いに第一印象の悪いのが、ロマンスを描く際のパターン。無人島でのサヴァイヴァルでもそりが合わないも、だんだんとうちとけ、救助隊がくるときには恋心が芽ばえている。結婚式に出席のあと、マニラへ戻っても会うようになる。しかもベンジーの同僚のフラれてばかりのタト（ベアウィン・メイリー）とジェニーの同僚の片想いばかりのキム（チャリス・ソロモン）を会わせば意気投合で、二人を口実にデートを重なる。そんな現場をアルバートの友人のテッド（パオロ・パライソ）がみかけ、アルバートに連絡。うすうす怪しんでいたアルバートがトレーシーと策略し、カナダに住む母（ラクエル・ヴィリアヴィセンシオ）が病気にかかったとトレーシーがベンジーを二週間のカナダ旅行へ連れだして、カネもちのボンボンのアルバートが資産家の祖母（ペルラ・バウティスタ）の協力で新居を用意し、その新築の屋敷へトレーシーがジェニーを案内に、祖母からもらった高価な指輪でアルバートがジェニーにプロポーズ。
　好きな人の心変わりに対処で男が嫉妬にかられ、独占欲を向けるのに女の気持ちがますます冷めれば、カネの力で引きとめようとし、女は誘惑作戦で性の武器を行使も、ダメならウソをつく小細工をほどこすとの構成が、とりあえずは納得を呼ぶ。
　携帯電話の普及でどこにいても連絡がとれる現代において、こっそり恋愛をはぐくむ話だと、この利器がじゃまなわけで、アロイ・アドラワンの脚本はベンジーの飛行機に乗る前に「携帯を忘れた」とジェニーに騒がせ、不時着でもめるときもベンジーにジェニーと口論の興奮で携帯を海中に落とさせる。カナダへ向かうベンジーが「携帯がない」と探しまくる無理な状況を設定にくわえ、カナダにいるベンジーへ携帯がつながらずに心配なジェニーにトレーシーがニセのメールを送り、破局を強いるとの悪用に使う。
　とにかくふたりをとりまく環境におもしろさがあって、アルバートが獣医なのにフィリピンでもペットへカネをかける層の増加がうかがえる。ジェニーが大きなスーパーマーケット（ロケはマリキナのＳＭのよう）の店頭販売員で、コックのかっこうやホットドッグの着ぐるみをかぶれば、キムとアラビアふうの衣装でヘソをだしている。ベンジーとジェニーがデートで水族館などへでかける。
　バーニーの結婚式で新郎が投げたハートのクッションをうけとった女性に、新婦の投げたガードルをうけとった男性が脚にはかせるゲームは慣例の余興だろうし、偶然にもジェニーとベンジーにあたる。
　高級イタリア料理店でスパゲッティーを注文のジェニーにアルバートがオーダー方法が違うと変更を指示が上流のスタイルなら、タトとキムをまじえて庶民のカラオケでベンジーとデートにジェニーがイキイキとはしゃぐ。
　脇の人物がふくらみを与え、ジェニーの父（ティルソ・クルース・３世）が視力を失い、義理の妹のシルヴィア（チャンダ・ロメロ）が新しい恋人を紹介に、恋人が黒人なのを気がつかずにトンチンカンなことをいって笑いを誘う。この黒人が知的なタイプでシルヴィアの性格をうかがわせる。ベンジーとのデートを知ったアルバートがジェニーの家に話し合いにくると、ジェニーの母のコンチータ（チェリー・パイ・ピカチェ）がうるさくジェニーへ小言に父が「まあまあ」と制してジェニーとアルバートをふたりにする気をきかせる。あとでコンチータはアルバートと結婚を決めたジェニーのところへベンジーが現われたとき、いなくなってふたりだけにする気をきかせる。ベンジーの父のマニー（トントン・グチェレス）は親子ほど年齢のはなれた新しい恋人をつくり、この恋人のシンシア（イネス・ヴェネラション）が同居を家族のみんながうけ入れている。カフェにつとめるトレーシーが経済的にめぐまれるのは、カナダ人と結婚した母の仕送りらしく、マニーがトレーシーにカネを借りて、トレーシーに恩をおうとベンジーが知らされる。
　結婚式の当日に教会へ向かうウェディング・ドレスのジェニーをバイクに乗るベンジーがながめ、ジェニーも意識で、式場へベンジーが駆けつける『卒業』もどきかと感じたが、ベンジーと初めて出会った空港へジェニーが車の方向を変える結末。ジョエル・ラマンガンの堅実な演出であきることなく楽しめる、ごく平均的レヴェルの娯楽作と評価できる。「ジェニーはこない」とはき捨てるアルバートの言葉に、教会で式を待つシルヴィアやキムがかえって喜んでいるふうに愛の賛歌をあらわす。
　トントン・グチェレス、チェリー・パイ・ピカチェ、ティルソ・クルース・３世、ペルラ・バウティスタ、チャンダ・ロメロ、ラクエル・ヴィリアヴィセンシオといった中堅やヴェテランのうまさが若い世代を支える。
　個人的にはＫＣ・コンセプションがさほど好きなタイプじゃないのがもっともマイナスの点で、水上機が無人島の沿岸に着水で海岸まで泳ぐ際に着衣のまま濡れて、ジーンズが太腿にペッタリは色っぽいが、それ以上のドキドキがない。でも大ファンのイヤ・ヴィリアーニアが水着を披露は狂喜にあたいし、パラワンの海でバンカーに乗り、紫のブラのセパレーツでベンジーと携帯電話で話す。となりのバブル・パライソのネットのブラも視線を奪う。プール・サイドからベンジーに携帯で電話は赤いセパレーツがセクシーすぎて、圧倒的な魅力にクラクラ。バブルの薄いピンクの柄のビキニも大胆さがそそる。紫のセパレーツはボトムが隠れ、赤いセパレーツは脚を伸ばして座るポーズのみでアップを欠き、遭難の連絡をうけるビーチはバブルがストライプのブラの水着なのにイヤはシャツを着ているし、ホテルでベンジーを挑発で浴室からガウンででると、しっかりガウンの襟元をしめっぱなしが残念ながら、とりあえずはイヤの水着がおがめただけで十分に満足。
　もう、本当に美人。
　あとイネス・ヴェネラションがトレーシーにカネを借りるシーンのジーンズで相変わらずのバツグンに脚の長いプロポーションを強調し、衰えない容貌にときめく。コミカルなチャリス・ソロモンは色気と無縁だが、結婚式に出席のドレスでオッパイの谷間くっきりが刺激的。トレーシーの友人役でジョイ・ヴェラスコの名がクレジットに読めるが、どこにいるのかわからなかった。