ＷＥＹＴ　Ａ　ＭＩＮＩＴ…　ＫＡＰＥＮＧ　ＭＡＩＮＩＴ
（ちょっと待って…　コーヒーが熱い）
　
01年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ベン・フェレオ
主演：ジャンノ・ギブス
　　 　ブラクジャク
　　 　ジェネヴァ・クルース
　　 　アンジェラ・ヴェレス
　　 　レス・コルテス
　　 　ロルダン・アキノ
　　 　デクスター・ドリア
　　　 ミスティカ
　『お熱いのがお好き』のいただきである。そうなると練りに練ったビリー・ワイルダーの完璧なまでの作劇へいかに対抗できるか、と予想しただけで無駄なことを、とのイメージがあり、かなうわけないじゃん、と最初から思ってしまう。でも比較するからいけないのであって、ジャンノ・ギブスとブラクジャクの共演だし、大好きなアンジェラ・ヴェレスも出演しているし、別物としてどこまで楽しめるかを期待しよう。
　まずクラブのウェイター役のジャンノとブラクジャクがレス・コルテス演じる悪徳警官とロルダン・アキノ演じるシンジケートのボスたちによる殺戮を目撃のシーンは、ミスティカ演じるクラブのダンサーのセクシーなダンス・シーンをたっぷりみせてからなのが嬉しい。ミスティカはおなじみの網タイツにＴバックのボンデージ・ファッションでお尻をフリフリして、ワンワンのポーズをとるから、笑いと興奮のミックス。
　警察もグルとわかって逃亡する展開になって、初めてこれは『お熱いのがお好き』になるんじゃないかなと気がつくのだが、その際に牛のウンコを顔につけたりといったベン・フェレオ監督得意の下ネタが繰り広げられるものの、不快感が先に立って笑えず、かなり不安が起きる。
　草むらにひそんでいて、ジェネヴァ・クルース演じる田舎からバスででてきた娘がオシッコするのをみてしまうも、セシル・イニゴ演じる象のような女にシャワーの如きオシッコをかけられるシーンも同様。
　ジャパユキのトレーニング施設を前に、女になろうと発想するところで、やっぱり『お熱いのがお好き』かあ、と納得。変装好きの役柄の多いジャンノのことだから、さもありなん。
　レジーンとジャヤと名のってやってくるのだが、スカートが風で舞いあがるカットがでてきて、誰がみても『七年目の浮気』のマリリン・モンローのマネとわかる。やっと映画は本題に入り、これまでの寒いギャグの数々を払拭してほしいもの。
　ジャパユキ志願者にはジェネヴァとアンジェラがいるから、セクシーな興味も盛りあがってくる。正直なところジェニヴァは歯茎のみえる口元といい、ワン･ポイントの刺青をした背中といい、たいして興味のわかないタイプなのだが、アンジェラはものーーーーーーすごく好き。
　当然、テープでチンポを貼りつけているから妙な格好でオシッコしたり、背中にブラをつけちゃったりといった女装がバレそうになるエピソードを含み、残念ながらいただきはあまりうまく扱われていない。ジャンノがジェネヴァを好きになって、金持ちにバケて口説く展開は『お熱いのがお好き』と同じなものの、ブラクジャクとアンジェラにもロマンスを加えたため、ジョー・Ｅ・ブラウンのような人を食ったキャラクターを欠いてしまい、構成的にもかなりヘタ。
　少しジョー・Ｅ・ブラウン的な要素があるとすれば、ジャパユキ候補者たちにツバをつけにやってくるジョジ・デ・ラ・パス演じるカバユシ氏（小林のことか？）だが、日本刀を振りまわすギャグなど、またかといった感じでイライラを誘う。ただディスコへ行くシーンで、男に戻ったジャンノがジェネヴァを誘おうとして、すぐにカバユキ氏が大声で「マネージャー」と呼んで「俺のパートナーに手をだそうとしている」と騒ぐのは、日本のスケベ親父を観察した結果の誇張表現かな、との面白さがあった。
　カバユシ氏が億万長者で、睡眠薬で眠らせてその持ちガネを奪ってジャンノがリッチ・マンになりすますのは、考えたなと感心するも、海岸でデートのシーンに『お熱いのがお好き』の「シェル石油ね」みたいな気のきいたギャグがあるわけでなく、トニー・カーティス風にシャイを装ってジェネヴァからキスを引きだそうとする会話がさえないから、また空回りの繰り返し。でもビーチ・ヴァレーのときにジェネヴァの胸元がまあまあだが、紐ビキニのアンジェラのタプタプ揺れるオッパイや、レシーヴでかがんだときのお尻のつきだしが圧巻。とにかくアンジェラは動きの一つ一つが挑発的で色っぽく、ブラクジャクを前に黒いビキニでアラブのベリー・ダンスっぽいクネクネした踊りを披露したり、まさしくセクシー・ダイナマイト。もはやマリリン・モンローなど問題ではない。赤いブラにジーンズのホット・パンツのジェネヴァと比べてもその差歴然なのは、アンジェラ・ファンのひいき目か。
　トレーニングが終了して、ジャパユキ志願者のメンバーのお披露目ダンスへと続き、実はカバユシ氏がインターポールからの指名手配犯で、会場のクラブに仲間のレスやロルダンがやってくる展開になる。カバユシ氏がジェネヴァを隣に呼んで、残るメンバーでダンスなのだが、ケンデン・ガールズというグループがメンバーを演じていて、黒い光沢水着なのがやってくれる。これにボンデージ風かつヒップラインが浮きあがる白いビキニのパンティーをはいたアンジェラで、ボディーを濃厚にシェイクさせるダンスをたっぷりみせてくれて、このシーンだけで１２０％の価値はあったと断言できる。
　マジで超セクシー。
　カバユシ氏に迫られるジェネヴァが心配になってキスしたためにジャンノが男だとバレて、またも逃走劇に。と思いきや、カバユシ氏を密航で逃がそうとする船にジェネヴァとアンジェラが連れ去られ、ジャンノとブラクジャクが助けに行くという設定に変わって、おーい、かなり違うんじゃないかあ、とあきれ始める。しかもシンジケートの連中との格闘シーンが、またまた寒いギャグの応酬でイヤになるくらい長い。とにかくいい加減うんざりで、まだあるのとあくびばかりなのに、やっと終わりそうになったとき、マイケル・チャン演じるインターポールがやってきて、ダメ押しのようにクンフーを繰り広げ、けっこう本格的なアクションなのだが、これ以上続いたらどうしようとの絶望感までわきあがる。幸い少ししかないから、ああ、よかったー、と安堵するのみ。
　『お熱いのがお好き』とに比べるどころか、コメディーの平均点にすら達しなかったではないか。
　ドッチラケ。
　もっともつまらない作品ながらも、カバユシ氏にアピールするときに胸の谷間をつくってみせるなど、全編にアンジェラの魅力はちゃんと発揮されているから、こちらは大満足。個人的には、それだけで許してしまう。