ＷＡＲＡＹ
（レイテとサマールの出身者）
　
00年：アマリッツ・フィルムズ
監督：ニール・“ブボイ”・タン
主演：ガーリー・エストラダ
　　 　デイジー・レイエス
　　 　リト・レガスピ
　　 　リッツ・カバウタン
　　 　レイ・フェルナンド
　　 　ジョン・ロマノ
　　 　アントン・ディゾン
　　 　ランディー・タレンス
　　 　マイケル・エスプエホ
　　 　ブッチ・マラリ
　　　 ダン・アルヴァロ
　いい加減に映画をつくるな。真剣になれ。観客をバカにするな。どうせこの程度でいいんだ、と割りきるな。
　かつて斎藤光正監督作品に感じたような、そんな怒りがわいてくる。
　マニラへでてきたグループが義賊になっていく過程を描いているのだが、最初の港に到着したとき、強盗を追いかけるシーンからして、逃げる犯人が全力疾走してなくて、イヤーな予感。
　ガーリー・エストラダ演じるリーダーが、ベルティン・ラブラ演じる兄を訪ねてからしばらくのスラムの光景には興味深いものがある。ケンカする若者たち、女を紹介する斡旋屋、オッパイもスケさせて軒先で水あびする女、路線の不法占拠住宅の間を走ってくる列車など、なかなか面白い。でも強盗しているうちに、いつしか貧しい住民たちに盗品をわけてあげるようになり、“ワライ”と呼ばれるヒーローになってしまうのだが、決して富裕層から盗んでいるようにはみえないし、警察とのチェイスにもハラハラが乏しいから、だんだんうんざりしてくる。
　リッツ・カバウタン演じる議員の妻が、デイジー・レイエス演じる娘と一緒に慈善活動をしているのをみかけ、デイジーに恋し、うまく親切の演出によって接近。誕生日のパーティーに招待されるも、会場でもめて仲間が一人撃ち殺され、デイジーを人質にとるあたりになると、いかにフィクションにしても極端すぎる。リト・レガスピ演じる議員が極悪非道なのは、いつでも議員を敵役にするフィリピン映画の定石パターン。デイジーの身代金を要求するや、本当の自分の娘ではないと断るのみならず、妻であるリッツの手を万力でつぶして拷問するのだから、さすがにこんな人物はいないだろうとあきれるのみ。
　怒ったデイジーまでもが一緒にリトの家を襲撃するのだが、誘拐があって新聞報道までされたというのに、警察が常駐していないのはバカなシチュエーション。そのうえ射撃未経験のはずのデイジーが機関銃をぶっぱなして、ちゃんと相手の撃った弾をよけ、こっちの撃った弾が当たるのだから、えー加減にせー！
　駄作もここまでくると、笑ってしまう。
　もっとも襲撃前にデイジーがガーリーに抱かれるシーンは、まずまずよろしい。ミニにガーリーの手が入ってパンティーを引っぱりだすと、再び手がスーッと中へ指先をはわせていき、お尻をさわる。カメラが窓越しでデイジーのうしろ姿をとらえると、シャツが脱がされ、上半身ハダカに。
　もうデイジーったら、いつも乳首をみせてくれないんだから。
　でも大好き。
　またセクシー・スターのラモナ・リヴィーリアが、どこからどうみてもヴェテランなのに「処女よ」と斡旋される売春婦や、ディスコ・パブのダンサーという小さな役で出演しているのには驚くも、店でのダンス・シーンが光沢のセクシーなビキニで、個人的にすごく好みのスタイルだからイカせてくれる。
　同じくセクシー・スターのピア・パウラは、ワライたちとそりが合わない女を演じているが、露出なし。
　ロサンナ・マグダレナはこれが最初のちゃんとした役だが、途中で殺されてしまうワライのガールフレンドを演じていて、セックスが終ったあとのブラをつける姿がなまめかしい。
　それと、まったく脱がないものの、デイジーの従姉妹を演じた新人のマラ・デル・マルがけっこうかわいい。
　やっぱり映画は女優次第でなんとかなるなあ、との印象を抱いてしまった。
　あと、どうでもいいことだが、ワライたちを演じたアマリッツ・ボーイズと名づけられた若い男優たちが、ズラッと横にならんでお尻もみせて水あびするショットがあり、女性ファンを獲得しようとしているなあ、との狙いが読みとれておかしかった。