09年：ソーラー・エンターテインメント／ＭＰプロダクションズ／リアリティー・エンターテインメント・プロダクション
監督：トペル・リー
主演：マニー・パッキアオ
ルーファ・メエ・キント
ビアンカ・キング
クリスタ・ラニーリオ
マニー・パッキアオにコミカルなヒーローを演じさせる商業作で、かっこいい格闘技のアクションじゃなく、マヌケな三枚目のコメディーしたてがフィリピン流かな。
カラバナンという救助隊に勤務のマグノ（マニー・パッキアオ）がヘルプの要請に仲間の三名と消防士の緊急出動っぽくきめるも、クルーザー内にウンコが飛びちったトイレの修理と掃除の依頼。家に帰れば妻のマグダ（ルーファ・メエ・キント）がイタリアに就労中で不在のため、五名の子どもを男手で育てる。しかも長身の仲間（ベンジー・パラス）から幼い娘のネノク（チャチャ・カニェーテ）まであずかる。息子のピオロ（ハイルス・アキノ）とディンドン（エディンバー・カイル）に頼まれて小学校の参観日に手づくりの衣装でスーパーヒーローを珍演も、女教師のオクタヴィア（クリスタ・ラニーリオ）に勘違いをやじられ、恥をかく。
科学者のジングル（おしっこ）博士（レオ・マルティネス）がＴＶの司会をキム・アチェンサがつとめる番組で細胞運動を促進の液体を発表でカボチャに注射。これをマッド・サイエンティストのレックス・パワーズ博士（ジョジョ・アレハル）が奪おうとし、逃げる途中の交通事故でジングル博士が死亡。その際に破裂の液体を偶然に通りかかったマグノとオクタヴィアとバイクの男とカニが浴びる。
底辺にフィリピンの出稼ぎ事情が横たわり、マグダがイタリア人のベニシオ（ベニー・クニアル）とくっつき、子どもを引きとりにくるという。それでマグノが落ちこみ、とくに長男のマイケル（ジョン・マナロ）といさかいが生じる。冒頭のトイレが故障の船上でレックスが海外就労用の女サイボーグを紹介し、失敗ながら、政治家が海外の核施設で使用をもくろむ。
メインは瞬間移動が可能となったマグノがチンピラ強盗を退治にはじまり、カボチャの巨大化で大きさへの作用を示しつつ、野球場に出現の異常にでかい四匹のカニを撃退に続く。アメリカ合衆国でエージェントとして活躍のミスティカ（ビアンカ・キング）がジングル博士の娘で、父の死を知ってフィリピンに帰国。マグノに接触で高能力を自覚させ、ネノクの母のレンレン（ケアンナ・リーヴス）に匿名で縫製を発注でコスチュームをえて正義の味方のワパクマンになる。周囲に火をつけ歩く炎の男や、高音の叫び声でまわりのものを壊す絶叫女を倒すと、スターなみの人気を集める。
学校の参観日にマグノの前にヒーローの話でオクタヴィアの拍手を呼んだ父親が液体を浴びたバイクの男で、ポロ・ラヴァルスが演じる。実は不満をひめていたらしく、炎の男に変貌で妻（アンジェリク・ヴェレス）と娘（マリー・ヘーゼル・ハスミン・レイエス）がふるえあがる。オクタヴィアが絶叫女に変わるきっかけが夫（エルビー・ロペス）の同性愛の発覚に大声をあげたなんてことに、フィリピンふうのギャグがみちる。ワパクマンに変身の着がえでマグノが入ったトイレが女性用だったため、おばさんたちにどつかれまくるなど、なるほどフィリピンのバカさかげん。
そこが好きなれども、ちょっとレヴェルが低い。
ピオロとディンドンの名前は二枚目スターのいただきで、ふたりがチャンバラごっこは、ミスティカが教会でマグノに接近の際にせむし女に扮するのと同様、評判のＴＶドラマ・シリーズのパロディー。アメリカ合衆国でエージェント活動のミスティカが二丁拳銃で銃撃戦は『ミッション：インポッシブル２』を皮肉る。マグノと子どもたちがマグダとインターネットのＴＶ電話で会話が最新のコミュニケーション・ツールなら、マグノが全員の弁当づくりで野菜がなく、靴をていねいに磨くあたり、フィリピン人の嗜好やライフ・スタイルがうかがえる。観客席にいるガールフレンド（バービー・フォルテサ）に気をとられてヒットを打ったマイケルがアウトでコーチ（ヘスロ・ラミレス）がへこむ野球は、まだ競技人口が少ないマイナーなスポーツだけに、だんだんポピュラー化かなと察する。亡くなったジングル博士に液体の秘密を探るためにレックス博士の助手で小人のウスマン（ムラ）が交霊のオカルト趣味の儀式もおなじみの構図。
まあ、細部におもしろさが混在も、肝心の部分がポイントをはずす。
オクタヴィアの血をウスマンが女装でしのびこんで盗み、レックス博士が庭師を改造でハサミの腕と火をふく腕をもつ怪人を生みだす。ジョン・ホールが演じるが、普通の人間のときに庭を手入れの回想のみで素顔がみえる。この怪人とワパクマンの対決のクライマックスに安易なワイヤー・アクションが使われる。
巨大なカニをボコボコに殴るなど、一応はボクシングのワザを含むながら、はたしてファンはマニー・パッキアオのワイヤー・アクションを期待しただろうか。または『ＳＦ巨大生物の島』のストップモーション・アニメーションを再現のごとき巨大なカニといったＣＧを望んだだろうか。エンマン・デラ・クルースのストーリーによるジョン・ロケの脚本がマニー・パッキアオに人間味のにじむキャラクターを与え、ファイターと別の面を狙った意図はわかるも、トペル・リーの演出は従来のドタバタ・タッチのＳＦにおける範囲でスーパーマンの亜流に終始し、主役がマニー・パッキアオであるべき必然性がゼロじゃないか。
マグノが幼い娘（ミカ・ロイ・トーレ）と末の息子（ミゲル・アンヘロ・マガロナ）のみならず、全部の子どもをイタリアに連れていき、マイケルだけがマグノを慕って戻るファミリー劇もパターンにおさまる。
カラバナンのメンバーにキャストのベンジー・パレス、ロング・メジア、オニョク・ヴェラスコのコメディアンぶりが不発で、カラバナンの女上司役のミシェル・オボンブシェルのしぐさがニヤつける程度。
ただし、ビアンカ・キングがプラスの要素をくれる。
女優ではルーファ・メエ・キントが黒いワンピースのミニスカで現われ、マニー・パッキアオとプライヴェートでセックスした疑惑のスキャンダルにまみれたクリスタ・ラニーリオが絶叫女のかっこうでボンデージっぽいブラとへそだしにミニスカとブーツで鞭をふるい、ケアンナ・リーヴスがバストの谷間を強調のシャツに黒い短パンをお尻にくいこませるも、誘惑の弱いまま。アンジェリク・ヴェレスが下半身にフィットのパンツで太めの腰つきながら、容貌がほどほどどまり。黒人のミシェル・オボンブシェルがニューハーフみたいだし、洗濯ものを焼かれて激怒の中年女役のベット・エンリケスがおばちゃんパワー。子役のうち、チャチャ・カニェーテとマリー・ヘーゼル・ハスミン・レイエスがまだ幼く、ミカ・ロイ・トーレがいかにもブス。クレジットに読めるデブラリズ・ヴェラソテはどこにいるのか不明。日本の萌えの影響じゃなくてフィリピンはもともとメイド服が一般的だったのはさておき、メイドふうの女サイボーグの四名や、巨大なカニをＴＶで中継のレポーターとマグノたちが表彰で祝杯のバーのウェイトレスは女優名がわからず、レポーターとウェイトレスがそこそこかわいい。清楚なバービー・フォルテサがけっこう魅力的で、十代半ばの小娘に興奮はまずいぞと自戒も、三角ブラの小さなバストとフルバックのボトムにヒップラインが浮かぶツー・ピースの水着写真を公表していて、まさかのお世話にあずかったことがあるが、もちろんここでは控えめなイメージだけ。
すべてがビアンカ・キングにつきる。エージェントで敵の屋敷に侵入がプールからで、黒いビキニを披露に水面をあがり、適度な大きさのバストがそそれば、階段ののぼりでパンティーがヒップに貼りつく。マグノに高能力の自覚をうながすときは俯瞰でバストの谷間をのぞき、犬の訓練もどきに投げた棒をマグノに拾わせるため、下半身にピタピタの赤いタイツをはいて棒きれをつかむ前がかみを背後にとらえるショットにお尻の形がくっきりなうえ、Ｔバックのパンティーがはっきりとスケてみえる。さらにグレーのタイツや黒いパンツも下半身にタイトで視線を刺激し、女サイボーグと乱闘でボディーの曲線が招くスケベさを欠くも、ほぼ満足。
家族向けのお子ちゃま作品にセクシーで、こんなに素敵なドキドキの女優が登場だからフィリピン映画はワンダフル。
