ＷＡＮＧ−ＷＡＮＧ　ＢＵＨＡＹ　ＢＯＭＢＥＲＯ
（ワン・ワン　消防士の生活）
　
97年：ＭＡＱプロダクションズ
監督：ジョージ・ハルレゴ
主演：エリック・フルクトウソ
　　　 ニーニョ・ムーラック
　　　 マニリン・レーネス
　　　 ジョアンヌ・キンタス
　　　 ドン・ペポト
　　 　パリト
　　　 オデット・カーン
　　　 ジョジ・イスラ
　　　 デブラリス・ヴァラソテ
　　　 フローラ・ガセル
　消防士を題材にするスラプスティック・コメディーで、ちょっと驚くほどに笑えない。
　エリック・フルクトウソ（通常はフルクトゥオソと表記する）とニーニョ・ムーラック演じる兄弟が主人公の消防士。まずはズッコケ消火活動ぶりに、この程度のギャグなのとシラーッ。いったんドジからクビになり、仕事を探すも、近所の火事でジョアンヌ・キンタス演じる女性を救いだして復職。フローラ・ガセル演じるジョアンヌの祖母が助けを呼び、ニーニョが「中にいるのは美人か？」と聞いて、「セクシーよ」と答えているのは、ちょっとおかしいかな。
　同時にドン・ペポト演じる放火犯が登場し、消防士たちを買収。陰謀の存在に気がついたマニリン・レーネス演じるＴＶレポーターが証拠集めする捜査が描かれる。
　エリックとマニリンが恋に落ち、ニーニョがジョアンヌにホレるロマンスを含みながら、エリックとニーニョがマニリンに協力してドンを逮捕へ追いこみ、バックにいる黒幕の正体もつかむ展開は、あまりにも平板。ドンと連絡をとる際にでてくる電話機の色から、いとも簡単に黒幕が推理できる伏線など、素人レヴェルにもほどがある。
　それにしてもオデット・カーン演じる署長夫人という、内部に犯人を置いたのは『バックドラフト』の影響だろうか。
　クライマックスは消防車によるカー・チェイスで、とにかくハチャメチャにしているようでいて、ホースを使うといった車の特徴を生かさないからアレレ。考えてみればサイレント時代から消防車や消防士がウロチョロするネタは定番であり、ケン・アナキンの『素晴らしきヒコーキ野郎』など、消防ドタバタをみごとにパロディー化していたもので、ジョージ・ハルレゴ監督は映画表現の基本を学んでほしい。
　まあ、マイムマイムの曲に乗って消防車を掃除するなど、まずまず雰囲気のよいシーンはあったと指摘しておきたい。
　エンド・クレジットのバックとなるＮＧ集では、デブラリス・ヴァラソテ演じるエリックたちの母が、料理中にエプロンへ火がつき、あわてて消すギャグを何度も失敗していて、本チャンよりおかしいのが皮肉。
　ジョアンヌがさっぱり活躍しない点は、ファンとして相当に不満をいいたい。長身のジョアンヌが小柄なニーニョとくっつくアンバランスなバカバカしさが、もっと前面にでてもよかったところ。それにラストで全員がビーチへ行くシーンは、唯一セクシーな期待がかかったのに、パレオを巻いたワンピース水着がイマイチそそらない。
　残念。
　あと、就職活動中にガソリン・スタンドでニーニョが働くエピソードで、ボディコン・ミニから挑発的にお尻をつきだす女性にみとれ、車をダメにするのだが、女性を演じるジョセフィン・グレゴリオの顔が最後までみえないままで気になるじゃないか。意外とプロポーションだけ楽しんで、顔は知らぬが花だったりして…