（知らずに）
年：エル・ニーニョ・フィルムズ／ギフト・プロダクションズ
監督：セザール・ＳＢ・アベーリア
主演：ディディット・ロメロ
ロミー・ディアス
ヴィダ・ヴェルデ
エミリー・ローレン
パキト・ディアス
ディディット・ロメロ主演のセクシー作で、おそらく八十年代後半の制作。
セブを舞台にはじまり、主人公のダンテ（ロミー・ディアス）が恋人のマリッサ（エミリー・ローレン）とデートの過程で、マジェラン・クロスや道教寺院の観光要素がでてくる。マリッサが妊娠し、責任をとりたくないダンテがマニラへでる。確かに相手をはらませて逃げるフィリピンの男は、自分のまわりの女の子にもいっぱい経験者を知っていて、相当にいるのだろう。仲間のセルソとマニラでビール配達のトラック運転手になったダンテは、届け先のサルミエント夫人（オデット・カーン）宅で娘のマルー（ヴィダ・ヴェルデ）と出会い、うまくマルーにほれられて結婚。娘のためならとサルミエント氏（アンヘロ・ヴェントゥラ）にカネをだしてもらい、レストランを開く。さらに映画に出資で監督（ヴィク・ヴァリオン）に撮影現場で話を聞き、自らが映画監督になるといいだすと、スタッフにいたペペ（ディック・イズラエル）を助監督に雇って活動開始。エキストラにきたティナ（ディディット・ロメロ）に目をつける。主役に抜擢で愛人に囲うも、スターの夢があったティナがうけ入れ、自分のセミ・ヌードのポスターも「きれいだ」と喜ぶ。やがてティナが妊娠し、あまり家に帰ってこないダンテにマルーが不満をいってからむのにビンタをくらわす。ところがティナが子宮外妊娠で母体に危険が迫り、入院に家族がかけつけると母親がマリッサで、ダンテに「ティナはあなたの娘よ」という。
シンプルな物語はセザール・ＳＢ・アベーリアのストーリーによるジェリー・Ｏ・ティラソナの脚本。セブのエピソードから映画監督のエピソードまでに二十年近くたっている時間的な流れに、ややわかりにくさが残る。カネさえあれば簡単に映画監督になれる現実が説得力を欠くながら、撮影現場でダンテがチャップリンのＴシャツを着ていて、映画へのやる気を感じさせる。アクション撮影でハゲ頭の役者に対し、ダンテが「ベンボル」と呼び、ベンボル・ロコをイメージしたのかと面白い。マニラの貧民街を映画のエキストラのスカウトにおばさんがまわり、ティナをみつけるとき、叔母のテリア（スシン・サイソン）が「ヴィサヤからでてきた姪」と話すのが伏線。こんなスカウトがあるのかとの興味もわく。いきなりダンテがエキストラ候補にきたティナとアルウィン（アルウィン・ロヘリオ）にラヴ・シーンをテストで演じさせ、アルウィンが本気でティナにほれるサブの要素はあっさりと描かれている。ティナがスレたのはタバコを吸うのにあらわし、人間のバカさを示すかっこうの小道具だけに納得。マネージャーのモネット（ジョエル・サンドヴァル）がオカマなのは、フィリピンの芸能界っぽい。ダンテがティナの生命の危機で神に祈るとき、キリスト像がブラック・ナザレなのもフィリピンかな。
それでディディットの脱ぎっぷりはというと、主役になった夢の中でロヘリオや二人のダンサーと踊るミュージカル的な挿入において、エーゲ海ふうの白いニンフのような衣装で登場し、シースルーの生地に乳首が完全にスケてみえる。主役に起用されての撮影で黄色いハイレグのビキニを着るとヒップラインがキュートに浮かび、ブラをとって寝ころび、丸だしの上向きオッパイに乳首がバッチリ。アクションの撮影でスケチチのランジェリーをビリビリッと破られ、オッパイがポロリで乳首がこぼれる。
エミリー・ローレンはビーチで青い競泳型のワンピースと、同じくストライプの青い競泳型ワンピースの水着を二タイプ披露し、ヒップラインがくっきり。ヴィダ・ローレンは太腿の誘惑的な短パン、パジャマとバストの谷間の切れこんだ黒いランジェリー、庭で水まきする際の短パン、下半身にピッタリの黒パンなどでそそり、薄い布の白いガウンをはおった白いスリップ姿ではチケチチがみえる。
最初にダンテが立ち会う撮影で主役らしき女優役のエーヴォンや、濡れ場を演じる女優役のリザ・エリサルドはいるだけで、色っぽいあつかいなしのまま。ダンテがセルソとスカウトでナンパし、セルソがテーブルの下で太腿をさわるカルラ役のルビー・カイはブスっぽく、カルラと一緒にいるジェニファー役と、ダンテが開いてもらったレストランの従業員のラニー役は女優名が不明で、やはり魅力が乏しい。
なおフィンツィ・コンティーニの『ＣＨＡ ＣＨＡ ＣＨＡ（チャ・チャ・チャ）』やアーネスト・ゴールドの『栄光への脱出』をＢＧＭに使用は、著作権を含めて強引。殺りくシーンを撮るときに、殺人者の役でパキト・ディアスがゲスト出演し、ダンテが交通事故に合うラストで、先にひきそうなのを怒る運転手役にエルニー・フォルテが顔をだしている。
