ＷＡＬＡＮＧ　ＩＢＡ　ＫＵＮＤＩ　ＩＫＡＷ
（反対の立場にいても、キミとの違いはない）
　
02年：ＭＭＧエンターテインメント
監督：ホセ・“カカ”・バラグタス
主演：マイキー・マカパガル・アロヨ
　　　 ジェネヴァ・クルース
　　　 ロイ・ヴィンゾン
　　　 イアン・デ・レオン
　　　 イッサ・イグナシオ
　　　 ダニエル・フェルナンド
　　　 チャーリー・ダヴァオ
　　　 ジェフリー・サントス
　　　 コンラッド・ポー
　　　 レヴィー・イグナシオ
　　　 サンドラ・アモール
　　　 ヤム・レデスマ
　　　 エヴァーリー・ロクシン
　 マイキー・マカパガル・アロヨが主演となると、駄作じゃないかとの先入観が起こる。
　まずゲリラの入隊のようすがあり、子どもが宣誓しているのが興味深い。フォルトン大尉（ダニエル・フェルナンド）の指揮のもと、シモン・イバラ軍曹（マイキー）などの軍隊がゲリラの本拠を攻めて、フォルトンが亡くなる。このとき女性ゲリラのアブリル（ジェネヴァ・クルース）をシモンがみかけ、恋人同士だった過去を思いだす。アブリルを司令官におく女性ゲリラ隊は強盗など、悪党どもを私刑で始末している。悪徳市長のアグスティン（ルスティー・サントス）も処刑する。シモンが留守の間、ベルトン（イアン・デ・レオン）がボスの不良たちがシモンの家に侵入して妹のエルマ（サンドラ・アモール）を犯し、祖父のイグメ（クリス・ダルス）と一緒に殺す。ピント少佐（コンラッド・ポー）や警官のロゲティオ（レーイ・ロルダン）が面白半分にゲリラを斬殺し、シモンがピントの部隊をやっつける。実はベルトンの正体がゲリラのリーダーであるスプレモ（ロイ・ヴィンゾン）の弟で、もうひとりの悪徳市長であるリバン（チャーリー・ダヴァオ）の身内。スプレモとリバンがベルトンの軽はずみな行動を責めながらも、ハミアス大尉（ジェフリー・サントス）にリバンが生死を問わず、シモンを処分しろと命じる。部下のベルト（ジョジョ・アヴェリアーナ）が裏切っていたため、シモンがハミアスに捕まるが、内情を聞いて味方に転じ、シモンとハミアスがリバンを退治にいって、ベルト、リバン、ベルトンをしとめる。仇をとったとシモンが妹の墓に報告しているとき、アブリルたちがシモンを撃ちにくる。
　とにかく肥満体型で動作がのろく、ドテドテと走るマイキーはとてもヒーローに似合わず、どうしてこんなのが主人公を演じてるのかとの疑問がわく。グロリア・マカパガル・アロヨ大統領の息子だけに、なんとなくわかるが…　二丁拳銃で数人を一人で片づけるところのカッコのつけかたなど、思わずコメディーじゃないが、プッとふきだしそうになる。
　墓地の銃撃戦で女性ゲリラたちが次々と倒れ、なぜかアブリルだけが残って死体がゴロゴロ転がる中でシモンとキス。そこへスプレモの部隊がくるクライマックスのいい加減さもお笑いで、ホセ・“カカ”・バラグタスの演出が冴えない。車を回転させての射撃といった見せ場の盛りあげが足りない。
　またジェネヴァ・クルースがヒロインとなれば、さほど好きなスターじゃないのでトキメキを欠くのが大きな不満になる。でも六人の女性ゲリラたちと池で水浴びのシーンは二名が白いＴシャツを濡らせ、ジェネヴァは脚を石でこすって洗うポーズをみせるほか、大きく首まわりが開いたシャツから乳首がのぞくすれすれまでのバストの谷間を露出に視線を奪われる。アグスティンを射殺の際も太腿に隠した拳銃をとりだす色っぽい動きをする。このアグスティン暗殺には先まわりした潜入の女ゲリラの存在を示し、イッサ・イグナシオが演じていて、アグスティンの内密の愛人のようでセックスのサインをうけているにもかかわらず、そそるシチュエーションのないままに撃たれるのに残念との落胆をおぼえる。アグスティン夫人役のリン・マドリガルはさておき、娘役の女優がちょっと気にかかる。さらにサンドラ・アモールはレイプでパンティーまでまくられたうえ、シモンの回想でのパンタロン姿がプロポーションを浮かばせる。シモンがトゥバル（レヴィー・イグナシオ）を殺すバーのステージで踊っているビキニのダンサー三名は、おそらく本物のＧ．Ｒ．Ｏ．だろう。女性ゲリラ役のヤム・レデスマ、エヴァーリー・ロクシン、ミンナ・ベルナレス、シーボン・ロハス、アイミー・トレスでは、ヤムがいつものごとく太った姉ちゃんで、ミンナもブス。期待なしで驚いたのはエヴァーリーの美人ぶりになり、フィリピン映画にはこんなに魅力的な女優がいたのかと嬉しくなる。アグスティン暗殺で車から降りるときに脚線美を披露によだれがたれてくるも、ザンドロ・ザモラなどが演じるバス強盗を撃退のシーンでもジェネヴァともども、挑発の設定がほしかった。