ＷＡＬＡ　ＮＡＮＧ　ＩＩＢＩＧＩＮ　ＰＡＮＧ　ＩＢＡ
（まだほかの誰かを愛してるってことはもうないよ）
　
97年：ネオ・フィルムズ
監督：トト・ナティヴィダッド
主演：シャーロン・コネータ
　　　 セザール・モンタノ
　　　 ミシェル・アルダナ
　　　 ベンボル・ロコ
　　　 リカルド・セペダ
　　　 ラモン・クリストファー
　　　 シェール・バールワニ
　　　 パキト・ディアス
　シャーロン・コネータとセザール・モンタノの顔合わせによるアドヴェンチャー・コメディーで、たぶんにインディアナ・ジョーンズ・シリーズを意識している。
　シャーロン演じるのは有力者のお嬢さまながら、考古学の発見に喜びをみいだす学者。セザール演じるのは名うての賞金稼ぎ。謎の洞窟でシャーロンが黄金の仏像を探しだし、トニー・マベサ演じる教授が功績をたたえる。いつかあこがれのヒーローが現われると夢みる乙女の一面をあわせもつシャーロンは、ラモン・クリストファーがリーダーを演じる盗賊どもに仏像を奪われ、偶然、セザールがとり返してくれる。もしや、この人が…　と礼をいうと、セザールがカネを請求したのに憤慨。しかも町へ帰れば、たまたまシャーロンの車とセザールの車がぶつかって大ゲンカを繰り広げる。博物館から古地図が盗みだされ、リカルド・セペダ演じるトニーの助手と組んだベンボル・ロコがボスを演じる一味のしわざで、地図に書かれた場所にあるお宝の発掘を狙っている。地図の記述がラテン語だったため、それを読めるシャーロンを誘拐し、まず身代金を要求。ラミル・ロドリゲス演じるシャーロンの父が警察から、現場の引きわたしにはセザールが適任との推薦をうける。犠牲者がシャーロンとわかったセザールはいったん断わるも、謝礼の額に承諾。うまくシャーロンを助けだすが、町へ戻る車の中で意地を張り合い、シャーロンがおりて歩き始める。でもベンボルたちの追撃にそうもいかず、一緒にジャングルを四苦八苦で逃げる。やっとのことでベルティン・ラブラ演じる叔父と暮らすセザールの住む村までたどり着けば、ミシェル・アルダナ演じるセザールを好きな近所の娘が嫉妬でシャーロンにケンカを売る。まだ幼い妹や弟を含め、家族が惨殺された話などを聞き、セザールの傷ついた過去を知って次第にシャーロンが打ちとけていく。ラモンと手を結んだベンボルが村を襲い、ベルティンを人質にとったので、セザールがつかまる。シャーロンに地図の場所へ案内させると廃坑で壷がみつかり、中からダイヤがでてくる。ベンボルたちが寝ている間にミシェルがセザールとシャーロンを縛った縄をほどき、暗闇を逃げると、ベンボルたちの追跡で銃撃戦になる。実は本当の黒幕だったトニーやリカルドをアーチー・アダモス演じる警察が逮捕する。
　ときに重厚なアクション演出をみせるトト・ナティヴィダッドだが、軽い内容なのか、やたら荒の目立つのが気にかかる。シャーロンが原住民たちと仏像をみつけるや、動かそうとして地震が起きる神秘さはこけおどしのみで、さっぱり意味をもたずじまい。仏像自体に重量感がなく、内部が空洞のプラスティックみたいな安っぽさは、オモチャ同然にもほどがある。トニーに電話を聞かれるのをリカルドが気にするシーンをおくのは、伏線の張りかたに矛盾が生じている。ミシェルとの三角関係には、うまい結果を描かずじまい。セザールがアクロバット的な射撃をみせる飛躍はよいにして、シャーロンに銃をもたせる設定は、性格的にちょっとしんどい。またセザールのかぶる帽子はインディアナ・ジョーンズのそれだし、冒頭のエピソードは『レイダース　失われたアーク《聖櫃》』を連想させ、ジャングルで吊り橋から落ちるあたりは『インディ・ジョーンズ　魔宮の伝説』だから、マネも適度にと感じる。廃坑の中には乗らないものの、トロッコまである。
　セザールが泳げないキャラクターなのは『明日に向って撃て！』のサンダンス・キッドだろうか。パキト・ディアスが酋長を演じる原住民の村でクリス・アギラー演じる筋肉巨漢とセザールが対決し、なんとか勝って『キングコング』のように胸を叩き、痛がるギャグなどは買えるのだが…
　途中、スペインふうというか、メキシコと間違いそうな家の並ぶ村がでてきて、スペイン文化の影響を受けたフィリピンの風景がうかがえる部分は、演出と別の次元で興味深い。
　それで女優の魅力にふれれば、シャーロンはともかく、ミシェルがもう一つ輝かないもどかしさが残念。美人という点ではシャーロンの友人を演じたシェール・バールワニに軍配をあげる。ミシェルの友人たちを演じたミシェル・カヤマンダ、アニー・サントス、シンティア・サンミゲルはイマイチながら、シャーロンの探検隊にいるヘソだしの女性が気になった。