ＵＮＡＮＧ　ＴＩＢＯＫ　ＮＧ　ＰＵＳＯ
（最初の心のときめき）
　
92年：カイズ・ヴェンチャーズ
監督：ブーツ・プラタ
主演：アイコ・メレンデス
　　 　エリック・キゾン
　　 　ピラル・ピラピル
　　 　レオ・マルティネス
　　 　ジェフリー・サントス
　　 　ジョン・エストラダ
　　 　テレサ・ロイサガ
　アイコ・メレンデスはかなりのスターだが、個人的にいま一つ趣味に合わないので、無視することが多いのは事実。これはアイコの初期の作品で、水着シーンがあると聞いて、とにかくみてみた。
　ブーツ・プラタ監督、ホセ・ハヴィエール・レイエス脚本とあって、まずまずの青春映画にはなっている。エリック・キゾン演じる領主の息子とアイコが幼なじみという設定で、エリックがピラル・ピラピル演じる母が再婚するため、結婚式へ出席で留学先のアメリカから帰ってくる。再婚相手がジョン・エストラダ演じるバスケット・ボールの選手で、あまりの若さにビックリ、といった感じなのだが、ピラルの熟女手前の魅力もまあまあで、泳ぎに行こうなんて台詞があるから水着の色気を期待したが、それはなかった。
　アイコはレオ・マルティネス演じる厩舎を管理する使用人の娘で、男っぽく育っていて、作業服に帽子をかぶり、わざと顔に泥をつけて汚している登場のしかたが、いかにもやってるね、と感じる。脚をなげだしては座るし、タバコは吸うし、ナイフをだしてケンカはするしで、おーコワ、なのだが、タバコをやめなさいと口元からとってエリックが消すのは、さすがアメリカ育ちとうなずく。
　それでも滝のある沼へ飛びこんで水浴びするシーンは、けっこうセクシーで、えんじのシャツと青いホット・パンツが濡れて身体に貼りつく。これがセクシー・スターなら全裸だろうけど、乳首すらスケないのがアイコらしいが、水から石の上へあがるとき、ホット・パンツがお尻に食いこむポーズがおいしそう。偶然、目撃したエリックが崖から沼へ落ちるのだが、少年少女時代のときめきを思いだすシチュエーションだけに、やっぱり全裸のほうがよかったな、とないものねだりをしてしまう。
　レオがピラピルに、かわいい格好をさせてやれなくてかわいそうだと泣きつき、アイコがピラピルから服をもらってからは女っぽく変身し、それほど違わないぞと皮肉をいいたくなるのは、アイコの容貌のせいか。馬の上からみとれて、エリックが木にぶつかるほどでもない。
　ここまで映画は緑の並木道や、馬で牛を追う牧場風景、川での洗濯、収穫作業などをまじえて、ロマンスを淡々と描いている。
　ジェフリー・サントス演じる仲間が、実はアイコのことが好きといった部分もあるのだが、ジャマ者が登場しないことにはストーリーが盛りあがらない。アメリカからテレサ・ロイサガ演じるエリックの恋人がやってきて、波瀾を巻き起こす内容となる。カレカレやバゴオンといったフィリピン・フードへの不快感がまず面白く、闘鶏をバカにしたり、家政婦たちに命令口調でエラそうに接して文句ばかりいったり、テレサはロクな女じゃない。エリックには早く一緒にアメリカへ帰る約束をさせると、フィリピンの悪口をさんざんまくし立て、ついにエリックが切れる。このテレサの台詞としてでてくる悪口は、フィリピン人がアメリカからそういう風にみられているんじゃないかな、と感じているような要素ともとれて、相当に興味深い。
　クレア・デーンズという傲慢を絵にかいたようなノータリン女優が、フィリピンへの不快感を公言したのは、この映画よりもあとのことだが、テレサからはアメリカ育ちのイヤミぶりが表現されていて、まずまずよろしい。
　またテレサにはプール・サイドにベージュのビキニで現れるシーンがあり、胸元のラインや乳房のふくらみがイマイチながらも、プクッと盛りあがったヒップなど、時代のせいかハイレグじゃないが、それなりに悩殺をくれる。プールへ飛びこんだあとのボディーの動きや、着がえのシーンでのガードルに包まれた切れあがったヒップもキュートで、のちに大人の色気をふりまくテレサの若き肢体として、ずっと記憶にとどめたい。
　まあ個人的にはアイコとテレサのどっちが好きかと聞かれたら、そりゃあテレサですよ。
　映画はアイコが作業服と帽子に戻ったことで、エリックとの別れの意思を強調のうえ、エリックもテレサとの別れを決心し、結婚式の当日にピラルに打ち明けて許可をとると、アイコを迎えに行く。でも傷心のアイコはミンドロ島へ向かうことになり、既に出発。フェリーに乗りこむアイコに、馬で港へと駆けつけるエリックははたして間に合うか？
　とのカット・バックはいささか長いが、まあ青春映画のクライマックスとしてはいいんじゃないか。ギリギリで間に合うも、フェリーは桟橋を離れていて、エリックが海へと飛びこむと、アイコも続く。お互いが泳ぎついて抱き合い、キスのシーンが、そのままリゾート海岸で遊ぶ二人に。
　ホントいつあるんだろうとイライラさせたが、アイコの水着姿は最後の最後で、小型ヨットに乗っているときの青いワンピース、ビーチでたわむれるときの赤いワンピース、カヌーをこぐときの黒いワンピースの三パターンを披露してくれる。いずれも露出は控え目なものの、青いワンピースが濡れてボディーに貼りついていることもあって、もっともセクシー。さすがにみごとなプロポーションだなあ、というのもバッチリだが、残念ながら鼻息を荒く興奮させてくれるにまではいたっていない。
　アイコは清楚なほうがいいのかもしれない。
　でも映画は平均点のできだし、滝の沼のシーンのアイコはナイスだったし、テレサのビキニもみれたしで、満足できる作品にはなっている。