ＵＨＡＷ　ＮＡ　ＨＡＹＯＰ
(動物的な渇き）
　
99/00年：タウルス・フィルムズ
監督：ロリー・ベルナルド
主演：ヘーゼル・エスピノサ
　　　 クリスティナ・カステン
　　　 ニッコ・モンテス
　　　 エルウィン・モンテス
　　　 エリック・ロドリゲス
　　　 ハスミン・トレンティノ
　　　 ライラ・ロレナ
　　　 アリエル・レイエス
　　　 アルド・アルヴァレス
　少女マンガ的なドラマは、フィリピン人の感性に合うのではないか。ハーレクインのようなポケット文庫がすごく人気なのだから、映画にも似たストーリーが多くても不思議ではない。
　とはいっても、くだらない内容である。自分を犯そうとした夫の兄弟をライラ・ロレナ扮する女性が殺してしまうのが出だし。このあとの裁判シーンなど、女性の権利なんてあったものじゃないという感じ。
　幸せだった家庭生活が一変し、ヘーゼル・エスピノサ扮する娘がクリスティナ・カステン扮する女友だちと夜遊びするようになる。二人の行くところが男性ストリップなのが面白い。クリスティナはナンパされて店の奥でセックスし、アヤシイ赤い照明の下、一瞬オッパイをチラリとみせる。ヘーゼルもホテルへ行き、やっぱりできないと拒むのだが、全裸で乳房を手で隠しながらベッドからバス・タオルをとりにいくところで、お尻も丸みえにみごとなプロポーションを披露してくれる。
　ヘーゼルは勘当されて外にあずけられると、そのあずけ先の家で小間使いとして酷使される設定。少女マンガの典型の一つ、いじめものが展開する。ハスミン・トレンティノ扮するその家の娘の意地悪な演技がなかなかの迫力。ただ彼女はいかにもブスで、夫とトイレでセックスしているところをみられてしまうシーンなど、お尻が丸だしなのに興奮を呼んでくれない。
　やっと釈放されたライラがヘーゼルを探しまわるシーンでは、マジェラン・クロスなど、セブ・シティーの観光名所が紹介される。ライラはたいして美人ではないが、中年なのにプロポーションがみごとで、体型のはっきりでるパンツ・ルックが色気を放っている。
　やっとヘーゼルを探し当てるものの、そこで親切にされていると勘違いして、お礼金を払いながら陰で支えることにする。途中で偶然がヘーゼルを母に会わせないというシチュエーションがあるが、いかにも作り話的。
　ついにヘーゼルがキレてハスミンとその母を罵倒するところが、この映画の最大の見せ場となる。そこへ偶然にライラがきて、自分をこんな状況に放っておいたライラも罵倒で家をでる。ライラがハスミンらにビンタをくらわせるところが、かなり盛りあがる。
　それにしても家にぞろぞろいる男たちが、いつもジッとみているだけなのが面白い。いじめられても、ケンカをしていてもみているだけ。セリフもほとんどない。ヘーゼルが水浴びのあと身体をタオルでふくのを彼らがのぞくシーンでも、嬉しそうにみているだけ。ここは照明が暗くてわかりづらく、ヘーゼルは全裸だけに、形のよい乳房から乳頭がチラチラするのに目をこらせる。
　ヘーゼルはエルウィン・モンテス扮するぶさいくだが、心のやさしい男と出会って、結ばれることになる。彼がハンサムな二枚目でないあたりが、夢物語の少女マンガよりも、ちょっと現実的で納得させてくれる。二人のベッド・シーンでは、ヘーゼルのかわいい乳首に視線が釘づけ。
　クリスティナが間に入って、いい人に変貌したハスミンらがヘーゼルの居どころを探る。ライラはヘーゼルを行方不明にしたと夫を責め、夫のほうも良心の呵責から倒れる。最後はお決まりの、家族と再会でハッピー・エンド。
　ご都合主義とはいえ、まずまずかわいいヘーゼルの魅力もあって、いいんじゃないのという感じ。