ＴＵＮＡＹ　ＮＡ　ＴＵＮＡＹ　　ＧＥＴＳ　ＭＯ！　ＧＥＴＳ　ＫＯ！
（ホントにホント　お前を奪えって？　私を奪って！）
　
00年：スター・シネマ・プロダクションズ
監督：ジョイス・ベルナル
主演：ロビン・パディーリア
　　　 ジョリーナ・マグダンガル
　　　 エフレン・レイエス
　　　 ロルダン・アキノ
　　　 ディンド・アロヨ
　　　 ベアウィン・メイリー
　　　 ＪＲ・ヘレラ
　　　 ヴィク・ディアス
　　　 ヴィア・ヴェロソ
　チャイナ・タウンを舞台にとる妙チクリンなコメディー・アクション。
　ロビン・パディーリアが潜入警官を演じ、エフレン・レイエスがボスを演じるシンジケートを壊滅に追いこむ。でも唯一、彼の身分を知っていたガミー・ヴィライ演じる上司が、ジーン・コ演じる妻、シェアリン・コとウィレン・ナヴァロ演じる娘とともにディンド・アロヨ演じるエフレンの片腕に惨殺されたうえ、クリス・ヴェルティド演じる警察の将軍がエフレンとグルだったため、エフレンの支配がおよばないチャイナ・タウンへと逃げこむ。そこでジョージ・リムが店主を演じる中華店につとめて身分を隠し、アメリカへ逃げようとウィリアム・ロメロ演じる手配師に偽パスポートとヴィザを依頼する。店にはジョリーナ・マグダンガル演じるウェイトレスがいて、ことごとくロビンと対立。一方でヴィク・ディアス演じるチャイナ・タウンをぎゅうじるボスが、ＪＲ・ヘレラ演じる息子の結婚相手としてロルダン・アキノ演じる中国系ビジネス・マンの娘を選ぶ。ＪＲとの結婚を嫌ってもっか娘が家出中。たまたまロルダンが強盗に合ったのをロビンが助けたのをきっかけに、ウィリアムへ支払う二十万ペソに困っていたロビンが娘の捜査を請け負う。
　ジョリーナがロルダンの娘だとロビンが気がつき、いつの間にやら二人が愛し合っているものの、なかなか素直に告白できない。エフレンとヴィクが手を組んだことを知ったロビンは正体がバレて、中華店が襲われる。ロルダンのもとへ帰ったジョリーナはＪＲと婚礼になり、その式場へロビンが乗りこんでくるクライマックスを迎える。
　興味の焦点は中華趣味を風刺したユーモアの部分といえ、歌うウェイトレスとして現われるジョリーナの登場シーンがおかしい。屋上で朝にジョリーナが太極拳を練習しているのは、いかにも中国人のイメージだろう。ロルダンの豪邸は中国系フィリピン人を描くパターンの一つ。中国人墓地もしっかりでてくる。中国寺院での婚礼に僧のかっこうでロビンがまぎれ、籠にかついで花嫁がやってくる風習をうまく利用する。また中華店にはベアウィン・メイリー演じる皿洗いが住みこみ、こちらもズッコけキャラクター。ロビンとデコボコ・コンビを繰り広げるが、マーケットでボーイ・ゴメスやロング・メジア演じるチンピラとケンカになってジョリーナがクン・フーで暴れ、ロビンがヌンチャクを決めてベアウィンがプロレス技でトリオにパワー・アップする。ベアウィンの料理を「まずい」と文句をいったロビンが焼きそばで腕前を披露し、ジョージが「一日２５０払う」「３５０でどうだ」と雇うところや、ロビンの料理によって店が繁盛して和気あいあいになるほのぼの感など、なんともいえない。
　冒頭、エフレンの取り引き相手がフクダという日本人で訳のわからない日本語を話し、挨拶におじぎをする相変わらずのカリカチュアもさしてジャマにならず、ジョイス・ベルナルのお笑いセンスがまずまずに思える。
　もっともツメの襲撃戦とカー・チェイスはロビンの台詞や行動に『レイダース　失われたアーク《聖櫃》』などのアメリカ映画のパロディーを含むのがさしてギャグに達しないうえ、中国寺院の二階から飛び降りて着地する無理や、爆撃で車が宙を舞ったにもかかわらず、乗っていたロビンとジョリーナにケガひとつないあたりは、さすがに無茶苦茶さの限度を超える。まあ、こんなもんでしょといった印象にとどまる。
　ジョリーナはかなりをチャイナ・ドレスでとおし、太ももが色っぽくのぞくスリットの入ったタイプじゃないのが残念。レヴィー・イグナシオ演じるヴィクの手下との格闘もズボン型のチャイナだが、セクシー女優とは異なり、さして好みと違うからまあいいか。ロビンの恋人のバー・ガール役でヴィア・ヴェロソが出演していて、ボディーにシーツを巻いたベッド・シーンがあるも、ヴィアにすればいささか露出不足。女優の妖艶さでは落第になっている。ジョリーナの姉を演じるダン・クルースはコメディエンヌの片りんがうかがえ、ヴィアの同僚を演じるマリリン・ナヴァルははっきり容貌がみえずじまいだった。