ＴＵＭＢＡＳＡＮ　ＭＯ　ＮＧ　ＢＵＨＡＹ
（人生で切り捨てるもの）
　
(94)年：リフレクション・フィルムズ
監督：ホセ・Ｎ・カレオン
主演：ルディー・フェルナンデス
　　　 ナネット・メドヴェド
　　　 ロナルド・ヴァルデス
　　　 ロイ・ヴィンゾン
　　　 アンディー・ポー
　　　 アマド・コルデス
　　　 ユーラ・ヴァルデス
　　　 ジェネット・フェルナンド
　誘拐した子どもが間違っていた設定の犯罪ドラマ。だと『天国と地獄』というか『キングの身代金』と同じアイディアだが、まったく異なる展開を示す。
　ルディー・フェルナンデス演じるのが主人公の警官で、典型的な正義感。妻を亡くし、男手のみでＣ・Ｊ・ラモス演じる一人息子を育てている。Ｃ・Ｊがジョン・マイケル・ベルモンテ演じるカネ持ちのせがれと親友で、いつもジョン宅のプールなどで一緒に遊ぶ仲。ロイ・ヴィンゾンがリーダーを演じる誘拐チームがジョンを狙い、判断ミスでＣ・Ｊをら致。ルディーがロイから強迫を受け、マイケルを連れ去るわけである。
　ルディーの妥協を許さない犯罪への対応は、コンラッド・ポー演じる議員の弟を容赦なく取り締まるあたりで表わし、ハイメ・ファブレガス演じる議員からの圧力にも屈しない。それだけに自らの犯罪執行に悩むのだが、アマド・コルテス演じる上司がルディーを逮捕せず、解決に「三日間だけやる」といっているから、どこの国でも身内優先の警察をうかがわせる。
　ロナルド・ヴァルデス演じるカネ持ちが自分の子しか眼中になく、ルディーの子がどうなろうと知ったこっちゃないとの態度で、いかにも階級社会のフィリピンらしい。ナネット・メドヴェド演じる誘拐犯のメンバーである女性にルディーが「ブルネイ行きとか、じゃぱゆきとかあるだろう」といっているなど、ちょっと興味深い要素を含む。
　またキング・グチェレス演じるルディーの同僚が裏切りそうでいて、最後まで味方なのが配役の妙をついた意外さ。ナネットが潜入だったとのオチに対し、デクスター・ドリア演じる中国人の妻の誘拐において、ロイが冷酷にデクスター夫妻を撃ち殺すのにナネットがショックを受けたり、ルディーとロイの人質交換の際、ワザとはずすような発砲をみせたり、ロイがジョンを始末するというのに不安げな表情をつくるなど、ちゃんと伏線を張っている点が、当たり前のことながら納得。監督のホセ・Ｎ・カレオンと共同監督のジョジョ・Ｍ・ラプスがとりあえず脚本を練っている。
　でもアンディー・ポー演じるロナルドの知人がロイと結託し、実は事件の黒幕との構図は生かしきれず、ジェネット・フェルナンド演じるルディーの隣人のスチュワーデスがルディーにホレていて、ナネットの出現に嫉妬をみせるも、三角関係のシメが強引だったり、甘い点を多く残す。肝心のアクションはそれなりに頑張っていて、乗用車と列車の激突を含むものの、列車が脱線しないのは不自然で、ハデさを欠くのは制作費のかね合いだろうか。
　まあ、ほどほどに楽しめる。
　ただし、期待したナネットのセクシーさは、炸裂せずじまいが惜しい。ジャンパーを脱いでタンク・トップをみせ、胸元の色気にゾクゾク。ルディーの家へきてジェネットとのはち合わせシーンでは、シャワーあとにバス・タオルをボディーに巻いてムズムズながら、セックスのときの露出が隠しすぎ。ジェネットも黒いタンク・トップまでで、かわいいだけにサーヴィス不足。
　なお、ユーラ・ヴァルデスがルディーの妻を演じ、冒頭近くで出産の直後に死亡し、早々に姿を消すのがもったいない印象だった。