“ＴＵＧＡＴＯＧ”
（頂上）
　
(99)年：リーガル・エンターテインメント
監督：ドン・エスクデロ
主演：ジャオ・マパ
　　 　スペンサー・レイエス
　　　 クリストファー・ロハス
　　　 ヴォン・ナヴァロ
　　　 オリヴァー・ハートマン
　　　 アスンタ・デ・ロッシ
　ゴールディングの『蠅の王』は好きな小説だが、その映画化に影響を受けたわけじゃないとは思う。でも少年たちを決してピュアに描かないあたりに、つい連想してしまった。
　なんてことはさておき、まだ十代半ばの少年グループによるアドヴェンチャー劇で、相当にイマイチのでき。フィリピンは国土のかなりの部分が熱帯雨林だから、ジャングルを探索する内容はぴったりのように感じる。実際、ドン・エスクデロ監督は密林の中の猿やヘビから、虫などの小動物までをとらえたショットを挿入し、雰囲気をだしているのだが…
　未成年をターゲットにした作品のはずなのに、まず冒険の発端になるのが脱獄囚によって仲間を拉致されるという点に違和感が起こる。しかもモン・コンフィアドとアドニス・ラクサマナ演じる悪の二人はピストルを撃つから、どうして殺人用の武器による暴力を加えるわけ、と作劇への情けなさもわきあがってくる。
　少年たちの活躍自体は、いつまで経ってもウロチョロしているだけで、少しもサスペンスを伴わない。90分に満たない上映時間なのに、やたらダラダラと長い印象で、あくびがでるばかり。
　はっきりいって落第作品だ。
　それとアスンタ・デ・ロッシとマラ・バボルが演じる女性の姉妹が冒険に参加しないのも不満な要素。マラはまだ幼い少女だからよいが、アスンタなどセクシー女優に転身する前ながらも、そろそろおいしそうなボディーに変貌しているときなので、せめてホット・パンツで自然の中をうろついてほしかった。母親役のファティマ・ヴェラスコも魅力皆無で、もう少し美人を起用していたら…　というのは欲張りすぎか。
　いずれにしても、みどころなしのアリャリャンリャン。
　なお、全編に何度もバナハウ山の風景が登場するが、この山についての説明は『Ｍｉｌａｇｒｏｓ』のときに書いた記憶があるので、繰り返さない。