ＴＵＢＵＳＩＮ　ＭＯ　ＮＧ　ＢＡＬＡ　ＡＮＧ　ＰＵＳＯ　ＫＯ
（あなたは私の心を弾丸で取り戻す）
　
96年：オクトアーツ・フィルムズ
監督：トト・ナティヴィダッド
主演：エドゥ・マンザノ
　　　 アンジャネット・アバヤリ
　　 　ジェネット・フェルナンド
　　 　マーク・ヒル
　　 　ベンボル・ロコ
　　 　ロナルド・ヴァルデス
　　 　ロルダン・アキノ
　　 　アーチー・アダモス
　　 　ペルラ・バウティスタ
　　 　デクスター・ドリア
　　　 ポチョロ・モンテス
　ファースト・カットでワンピース水着のアンジャネット・アバヤリがいきなりお尻をつきだすと、プールへ飛びこむ。濡れた水着であがってくると、キュッと引きしまったボディー・ラインがみごとで、ＡＪはフィリピンでナンバー・ワンのくびれ女優だなあと実感する。
　といってもＡＪのセクシーなシーンはこれだけで、あとはアクションに終始する展開。
　しかもアクションが冴えないのだから、最初に指摘してしまえば、駄作である。
　エドゥ・マンザノは麻薬シンジケートを追う捜査官で、これ以上危険な仕事に没頭して自分を放っておくなら別れるとＡＪに三行半をつきつけられる。それでもシンジケートのアジトを急襲したために、二人の関係は冷え切ってしまう。
　ストーリーをエドゥ自身が担当しているのだが、すぐにＡＪがシンジケートのボスの弟と一緒になっているというのは、無理のある設定だなあとあきれる。暴力的な弟と争って、弟は事故で転落死するのだが、裁判でＡＪが有罪になるあたりは、ちょっと面白い。この前にせっかくエドゥが逮捕したマーク・ヒル演じるシンジケートのボスが証拠不十分で無罪になるシーンがあり、フィリピンの司法へと不信頼ぶりがやんわりとうかがえるようだ。
　でも連行されるＡＪをエドゥが救いだすあたりから、およそ説得力のない無茶苦茶な内容に豹変。まずＡＪをかくまうエドゥのところへ捜査がこないのには疑問ムクムク。映画はしばらくジェネット・フェルナンド演じるエドゥの新しい恋人との三角関係をダラダラと描き、ジェネットがそこそこかわいいのにセクシーな描写がないこともあって、テンポが悪くイライラ。ＡＪの性格の悪さというか、気の強さはよくでているが、次第に気持ちがエドゥへ戻っていく部分に厚みがなく、人間描写もイマイチ。
　ベンボル・ロコ演じる相棒が実は裏切っていた流れは、うまく配役の妙をついているものの、そのベンボルの手引きでシンジケートとの対決になるのだが、よくもまあ相手の弾丸がまったく当たらず、こっちが撃った弾丸ばかり命中するものだ、とあいた口がふさがらない。カー・アクションもけっこう頑張っているのに、いかにも型通りに横転するから迫力に乏しく、トト・ナティヴィダッド監督の力量不足を痛感。ガソリン・スタンドをふっ飛ばすシーンなど、あまりにも予想の範囲内ではないか。
　これでもっとＡＪのセクシーさが爆発すれば、せめとも…　とも思うのだが、たまにはハズレ作品に当たるのも楽しいかもしれない（自虐的）。