“ＴＯＲＯＴＯＴ” （ＤＥＳＴＩＥＲＲＯ）
（ラッパの響き　〔逃避〕）
　
08年：ＶＩＶＡフィルムズ／プロダクション５６
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
主演：マウイ・テーラー
　　　 ユル・セルヴォ
　　　 バロン・ガイズラー
　　　 プレシャス・アドナ
　　　 アントン・ベルナルド
　　　 アンドルー・シマー
　　　 マリカル・デ・メサ
　二組のカップルの不倫による悲劇を描くエロティック作。マウイ・テーラーとプレシャス・アドナの共演に期待がかかる。
　いきなり檻で犬がほえるペット・ショップらしいところでマウイ扮する女性が四つんばいのワンワンのポーズでバックから挿入のセックスをくり広げ、下向きのオッパイとお尻の露出にオッと驚きをくれる。本当に性交してそうな密着感の相手の男を嫉妬の男が蹴りあげ、チンポがみえそうに倒れる。いやいや、なんと嬉しい導入部じゃないか。
　獣医のマリー（マウイ）は夫のレオ（バロン・ガイズラー）が性欲旺盛で、パンツの中へ手をつっこませたりに嫌気がさしている。職場の動物病院に押しかける夫に対して心がますますはなれ、愛犬ばかりをかわいがる。レオが怒って愛犬を連れ去るなどあってマリーが我慢の限度に達し、相談相手に同僚のダルウィン（アンドルー・シマー）を頼り、ついよろめいて冒頭のセックスにつながる。
　後半のガビー（ユル・セルヴォ）とリタ（プレシャス・アドナ）のエピソードの中で、実はレオの無理やりの愛撫に反抗のマリーが台所のミキサーで殴ってレオの顔にケガをおわせたり、レオが同僚の女性（ジョンヌ・モンサント）を不倫ではらませていたことがわかる。
　レオがマリーとダルウィンを殺害で裁判へ発展し、レオの親友のガビーが法廷で証言。マリーの親友でガビーの妻のリタが顔をしかめる。ガビーのセックスに満足度がたらないリタは、あるときマーケットで魚の棘が刺さったのを、とっさにとってくれた肉の販売人にときめく。上半身ハダカにエプロンで販売人の男の筋肉質な身体に汗が流れ、レオの裁判の意見をめぐってガビーとケンカのあと、その男に迫られる夢をみる。ふたたびマーケットへいって男が汗をふくのをこっそりとながめ、汗のついたタオルを拾ってくる。偶然、ガビーの母（フローラ・ガセル）と参加の大きなミサに男がきていて、車椅子の女性と一緒。自家用車で送ってあげるや、男がガストン（アントン・ベルナルド）で、妻のルイサ（マリカル・デ・メサ）が歩けないと知る。ガストンとルイサが小さなミサを主催にリタも出席を決め、警官（カロイ・アルデ）の友人のことを教えるのに耳うちで、リタがガストンに耳たぶをなめられる幻想などあって、懇親会の準備で家の奥へ入ったときに洗濯前のガストンのパンツをみつけ、においをかぐのをガストンに気がつかれそうでごまかす。帰りにガストンがお土産をくれれば、中にシミつきのパンツをつめている。
　ふたつのエピソードはたくみに重なり、ゲームの余興でレオとリタの前でガビーとマリーがキスのオモチャのラッパが轟く新年パーティーのバカ騒ぎを撮ったヴィデオが何度かのつなぎ役をはたす。マリーが欲求不満ぎみの暗示をおいてのガビーとの食卓時間にレオがマリーの死の連絡を入れてきて、マリーの父（オリー・エスピノ）が大泣きの葬式のようすを逮捕中のレオが遠くから警官のつきそいでながめ、それをみたリタの回想でマリーとともにバロンの不倫相手を訪ねた記憶がでてくる。ガストン宅の小ミサで誰かがブレーカーをさげて停電になり、ろうそくを灯してガビーがリタと自宅でセックスに位置関係をハテナと思わせ、裁判の結果を伏せていたが、状況の同情でレオが無罪なのを示し、夫の変化で不倫に感づいたルイサがガビーに会いにくる。レオにピストルをもらったガビーがアントン宅の小ミサに忍びこみ、誰かがブレーカーをさげて停電に、リタとガストンが抜けてこっそり愛撫の現場へガビーがピストルを向けるも撃てず、かわりにガストンの友人の警官が発見で、ルイサがガストンに泣き崩れ、警官が蹴りをくらわす。
　ジュン・ラナの脚本がディジタルの小品なりにオムニバスではなく、二組のカップルをからませつつ、スワッピングにしないあたりがよい。ガビーが建築家との中流の生活において、ガビーとレオが男の美容院で髪型をいじり、顔にパックで足マッサージをうけ、ジムでトレーニングに現代ふうの嗜好がうかがえる。マリーのペット好きも、カネに余裕のでた階級の趣味といえる。リタが傷テープの包装などをコレクションは、ちょっと変わった性格をあらわす。宗教へのこだわりはとくにフィリピンっぽく、レオの不倫相手の女性が自宅で小ミサを開き、マリーに「神父の紹介の参加者ですか」と聞く。リタがガストンをみかけるＴＶ中継も入る大きなミサはジョーイ・ファレルという実在の神父のゲスト出演のようで、奇跡にすがる人たちがいて、ルイサも神父の前では車椅子から立ちあがる。ポップ調で賛美歌を唄うガストン宅の小ミサは、お互いに参加者たちを「ブラザー」「シスター」と呼び合う。このミサの光景にガビーが自宅で洋ピンをサカナにオナニーを交差が皮肉をつくる。
　まあマリーの墓でレオが号泣し、不倫の子についてはふれずじまい。服役のリタにガビーが面会で、フィリピンにはまだ姦通罪の存在がわかる。 ガビーとレオが友情を確認の、とくに新味もない内容。マリオ・Ｊ・デロス・レイエスの丁寧な演出が、とりあえずは最後まで引っぱるかな。
　マウイとプレシャスのセクシーさだと、先のマウイの四つんばいセックスは冒頭と中間部のほか、判決のシーンでレオの脳裏に再現の三度目があり、殺人へ発展までの長めに続いてマウイのオッパイが少しはっきりと丸だしのうえ、ダルウィン役のアンドルー・シマーのチンポがチラつく。ユニット・バスでシャワーのレオのところへマリーがきてオシッコはマウイの下着すらみえず、レオのお尻がアップで迫り、リタとセックスでガビーのお尻ばかりかチンポがのぞき、ルイサをベッドに寝かせて自分は着がえでガストンが全裸に脱いでお尻をさらし、ルイサの訪問をうけるときにガビーがパンツをはくタイミングと、バロン・ガイズラーやユル・セルヴォやアントン・ベルナルドの男のヌードは気持ち悪いが、仲むつましかった頃の想い出でマリーとレオがプールで遊び、水の中のマリーを上から撮るショットでマウイのバストの谷間を強調の水着や、白いピタパンと着衣のマウイもそそる。プレシャスがかわいいのは嬉しい発見だし、ガビーと本番もどきにリアルなピストン運動の正常位のセックスで上向きオッパイや、オマンコがうまく隠れるポーズのあとの起きあがってのオッパイが堂々のモロにカッカと興奮が高まる。ほてったボディーを冷蔵庫で冷やし、裁判をめぐってガビーと口論の夜にガストンの接近の夢にくわえ、ガストンのタオルをかぐなどの際のスリップはイマイチでも、ヒップラインの浮かぶスラックスが色っぽく、ロウソクの明かりでのガビーとのセックスはオッパイが隠れ、ガストンとカー・セックスも肝心の露出を欠くながら、停電にまぎれての愛撫はガストンのお尻とともにリタのオッパイがポロリ。正直、プレシャスの魅力にクラクラと倒れそう。
　あとマリカル・デ・メサは脱がないも、車椅子からガストンに抱きかかえられるかっこうでシャツがまくれ、背中と腰の肌が誘惑をくれる。レオがマッサージをうけるシーンでは、マッサージ嬢を演じるタラ・モンテスの白衣にハミでるオッパイをレオがもみ、乳房全開で騎乗位のセックスは全裸じゃなくて、腰巻をつけたままが残念。ガビーとレオが再会のバーで踊る下着のダンサーは、たぶん本物のＧ．Ｒ．Ｏ．だろう。ジャンヌ・モンサントがそこそこの容貌で、すでに雑誌には大胆な水着を載せているし、ちょっとハダカへの想像をうながす。
　とにかくプレシャスのキュートさが収穫だった。
　なお裁判長役のロウェナ・ダライ・モラレスは、実際の法律家のゲスト出演。マリー宅の家政婦役のサラ・パグカリワガンは、いかにもいそうなタイプの自然さにうまさを感じた。