ＨＵＬＩＨＩＮ　ＳＩ…　ＮＡＲＤＯＮＧ　ＴＯＯＴＨＰＩＣＫ
（奪うのは…　ナルドのつまよう枝）
　
90年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ジェット・Ｃ・エスピリトゥ
主演：ヘルベルト・バウティスタ
　　　 イロナー・ジーン
　　　 ケネット・ペラルタ
　　　 キエール・レガスピ
　　　 マリカル・デ・グスマン
　　　 レーチェル・アレハンドロ
　　　 シーラ・イズラエル
　　　 ラモン・ザモラ
　　　 モーリン・マウリシオ
　ファンタジー要素を盛りこんだフィリピン映画得意（？）の困ったちゃんコメディー。志の低さはよいにして、ギャグのアイディア不足はいかんともしがたい。これで笑えというのがいささかつらいながら、フィリピン人にはウケるのかもしれず、センスの違いを感じる。
　ヘルベルト・バウティスタ演じる掃除夫が主人公で、アクションふうに始まり、シーラ・イズラエル演じるヒロインを助けようとするも、ありがちな夢オチ。しばらく会社でジミー（ハイメ）・ファブレガス演じる社長とのドタバタ、近所でロベルト・タルビーとエルニー・オルテガ演じるイヤな隣人とのドタバタ、学校でマルコ・ポロ演じる意地悪同級生とのドタバタ、心臓発作を起こしたデンショ・パディーリア演じる副社長を病院へ運ぶドタバタ、メリー・タガサ演じる母が営むマーケットの魚売り場でのドタバタなどがあって、ヘルベルトのズボンがしょっちゅうズリ落ちたり、ウンコしたりの下ネタはともかく、ただうるさいバカ騒ぎばかりが退屈を呼ぶ。病気がちだったメリーを病院へ運ぶドタバタのあと、手術に大金が必要とわかって強盗を決意。銀行の前に立つや、中ではすでに別の強盗が進行中。ヨヨイ・ヴィリアーメ、チン・アレリアーノ、エロール・ディオニショなどが演じる警官が囲んで撃ち合いになり、犯人の放ったカネの袋を偶然にヘルベルトがキャッチして逃げる。警官が追いかけ、ヘルベルトがデンショの屋敷へ向かう。一方でデンショに不正の証拠を握られたハイメがパキト・ディアスとマックス・アルヴァラド演じる殺し屋を雇い、パキトたちがデンショを射殺。ちょうどヘルベルトをつけてきた警官隊とハチ合わせ、パキトたちが「何で」と驚くも、ドタバタ合戦のくり返し。ヘルベルトが病院へ駆けつけると手遅れで、メリーが亡くなる。ヘルベルトが医者にカネを投げつける、唯一、センティメンタルなエピソードをつくる。犯人にされたヘルベルトに指名手配の賞金がかかり、それを狙うロベルトたちと、証拠書類を狙うパキトたちの追跡のうちに、森へ迷いこんだヘルベルトが謎の人物からつまよう枝をもらって本題へ。歯にくわえると水の上を歩いたり、ピストルの弾を受けとめたり、数人力になる不思議なつまよう枝。秘密を知ったロベルトたちが今度はつまよう枝を狙い、さらにドタバタの展開でヘルベルトが無実をはらし、ハイメを逮捕に追いこむだけの話。噛んでないと落ちるため、ヘルベルトがつまよう枝を何度もなくすのは当然で、わらクズの中にまぎれて「アレレ」なんてのは、確かに愉快。でもつまよう枝をはさんで三者、みあってのシチュエーションなど、さほどパッとしない。マルコがハイメの息子だった関係で、ケネット・ペラルタ、キエール・レガスピ演じる寮に住むクラスメート、レーチェル・アレハンドロ、マリカル・デ・グスマン演じる女生徒のクラスメート、ヘルベルトのガール・フレンドになるイロナー・ジーン演じるレーチェルの姉にあたるレポーターをまきこみ、チア・プシット演じるうるさいおばさんの寮の管理人も加わり、人数に比例してキャラクターのおかしさがパワー・アップしない計算違いがダメな点。ジェット・Ｃ・エスピリトゥの演出には無理やり押しだしタッチの強引さが目だつ。
　ただしロベルトたちが女性のメリーをボコボコに殴るかと思えば、メリーも鍬をもって反撃が驚きなら、イロナーがヘルベルトの部屋を訪ねてきて、気になるロベルトたちが中の様子を盗み聞き、食事の「もう固くなってるよ」「でもおいしい」なんて会話をセックスと誤解の定番ギャグは一応クスクスできる。全部が落第ではない。
　女優の魅力だと、まずセクシーなのがシーラ。ハイメの秘書で愛人の悪女を演じ、社長室にスリップでいてデンショをびっくりさせ、ハイメに抱かれる。ウルトラ・ミニスカのボディコンもたまらない。しかもプール・サイドに陰毛がハミださんばかりの超ハイレグ・ワンピース水着で現われ、バストの谷間や切れあがったヒップラインの誘惑をくれる。水につかったあと、濡れたボディーを欠くのが残念かな。
　イロナーは最初の紹介ショットでブスっぽく感じるものの、だんだんとかわいくなってくる。ビーチで競泳っぽい型の薄い赤のワンピース水着になり、ピチピチに貼りついているからやや太めが明らかながら、とにかくタイトなフィット感がたまらない。ハイメにら致されての余興はプールに放りこまれ、パキトとマックスの手ごめに合いそうなところが興奮の連続。助けにきたヘルベルトの描写と同時進行で、ヘルベルトのほうはいいのでイロナーをみせてと声がでそうになる。濡れてシースルー状態の白いＴシャツの下にホット・パンツのような水着をはいているのがわかるも、水からあがるポーズに悩殺。自ら銃をとるかっこよさもあるが、どうせなら水着で撃ってほしかった。
　マリカルとレーチェルはビーチでマリカルが青いワンピース水着、レーチェルがパレオを巻いた赤いワンピースを披露する。
　つまよう枝をくわえたカエルが股間のあたりに飛び乗ってくる、ビーチで寝そべる女性役のテッサ・コロナのボディーもナイスなフォーム。つまよう枝の威力で誘拐犯からヘルベルトが救う女性役のイヴリン・ロレタは、池にはまって濡れまくるだけに、もっとスケる衣装だったらと惜しまれる。
　あと体育の授業で柔道の達人との設定で登場の女性有段者役にモーリン・マウリシオがゲスト出演。ハッと息をのむほどに色っぽいが、ヘルベルト相手にバストや股間へ押しつけたりのワザを決めるとき、胴着がはだけるわけでなく、挑発イマイチに終わっている。