ＴＯＬＥＮＴＩＮＯ
ＬＵＭＡＢＡＮ　ＫＡ　ＨＡＮＧＡＮＧ　ＧＵＳＴＯ　ＭＯ
（トレンティノ　あなたが望む限り戦う）
　
95年：リーガル・フィルムズ
監督：ジョジー・ヴィトゥグ
主演：リト・ラピッド
　　　 ジョアンヌ・キンタス
　　　 アル・タンタイ
　　　 ジェス・ラピッド・ジュニア
　　　 ジョージ・エストレガン（ジュニア）
　　　 ルエル・ヴェルナル
　　　 ダニエル・フェルナンド
　　　 キング・グチェレス
　　　 トム・タウス・ジュニア
　Ｂ級アクションとして頑張っているものの、随所にツメの甘さが目立つでき。
　リト・ラピッド演じる銀行のセキュリティー・ガードが主人公で、正義感ひと一倍のストレートなキャラとして登場。ルエル・ヴェルナル演じる支店長がアル・タンタイ演じるギャングのボスと通じていて、強盗を強行。レイ・ヴェントゥラ演じるリトの親友が負傷する。あとで現金輸送車を襲う際に、レイはリトの応戦を制していて、明らかに買収されたのが丸わかり。この程度のミステリー仕立ては困るなあと感じるも、すぐにレイがリトに事実を告白し、自殺する展開に納得。
　でも全体的の構成は無理が生じるばかりになっている。
　最初のアクションはバス乗っ取りのうえ、ぶつかる車を次々とふっ飛ばすのがハデながら、アルの人質にとった女性二人の安否がわからずじまいでアレレ。
　レイにはメリッサ・メンデス演じる娘がいて、メリッサの子が入院したためにカネの必要へと迫られたのだが、自殺のときにメリッサが嘆くばかりで、ナティー・サンチャゴ演じるレイの妻はどこ。
　ジョアンヌ・キンタス演じるリトの恋人にはロルダン・アキノ演じる義理の兄がいるも、ロルダンがオカマで、悪役タイプの個性を逆手にとったおネエ演技で役者だなあと感心。ただし、ほとんどストーリーにからんでこないじゃないか。
　リトの家族はマリタ・ソベル演じる母とトム・タウス・ジュニア演じる知恵おくれの弟で、トムが親子ほど年齢の離れた子どもなのは、かなり不自然。
　アルが少年時代に弟と引き裂かれていて、キング・グチェレス演じる探偵もどきに捜索を頼むも、リトが襲撃犯を追ったとき、“たまたま”犯人たちに殺されたのが、ジョージ・エストレガン演じるアルの弟の女だった。それでリトがジョージ一味にケンカを売られ、危ないときにダニエル・フェルナンド演じる親友に救われる。今度はジョージたちがフェルナンドをボコボコにし、シルヴィア・サンチェス演じるフェルナンドの恋人が、“たまたま”通りかかったリトの乗るトライシクルをとめて助けを請うも、“たまたま”弟がケガして病院へ運ぶ途中だったので、いったん見捨てる。シルヴィアに弟を託せばいいのに、頭悪いなあとの判断力へ疑問が起きるのは、肉親愛と友情の比較か。ダニエルが殺害され、“たまたま”やってきたジプニーにジョアンヌがいて、ジョージが連れ去るといった“たまたま”の積み重ねには、もっと工夫がほしくなる。当然、シルヴィアはリトを恨み、この感情のズレに結末を与えない逃げは、イマイチと指摘せざるをえない。
　ジョージの常軌を逸した狂人ぶりは、バカバカしすぎてサジを投げたくなるほど。
　キングからアジトを聞きだしてリトがジョアンヌを救助するとき、ジョージ自身に部下を始末させるアイディアを買うも、命の危機が迫っているというのに、四人もいる手下どもが順番におとなしくナイフに刺されるのはヘンだろう。
　ジョージに犯されたジョアンヌがジョージを射殺する強引さは意外性をついているものの、あっさりリトがジョアンヌを許していて、ホントいいね。
　アルの子分にはマイク・ガヨソ演じる警官がいるのに、ジョニー・ヴィカール演じる警察のボスと対立はないのか。
　アルがジョージの死体を目の当たりにし、ちょうど警察の襲撃でドンパチが始まったのに動かないなど、感情表現を極端にするあまり、かえって人間を描けないジョジー・ヴィトゥグ監督のダメさばかりを実感。
　まあリトがルエルの家へ押しかけてカネを要求するなど、ヒーローに手を汚させるあたりがまずまず。ベルティン・ラブラ演じるコメディー・リリーフ的なリトの友人が潜入だったオチも、一応は生きたかもしれない。
　とはいえクライマックスで、せっかくスタントが必死に活躍するアクションにアラが多いのは、正直いって残念。リトがトラックを奪い、そのドアに追跡してきたバイクをぶつける際に、バイクが明らかにとまっているショットつなぎだから、編集が雑。宙に浮いたバイクを撃つ瞬間、やはりバイクがとまっていて、仕かけ自体から問題ありそうで、こりゃ編集のしようがなかったのかも。トラックの先頭部が崖を転落し、ゴロゴロと転がったにもかかわらず、中にいたリト、ジョアンヌ、トムにかすり傷がないのは、細部への無配慮はなはだしい。
　リトがキング、ルエル、アルと退治するとき、順番に一人ずつを長々とみせるから、ハラハラのサスペンスを盛りあげる前に、他はどうしてるのとイライラばかり。アルとの対決でリトの弾がつきて、すぐにアルはリトを撃てばいいのに、うだうだ恨みを述べるパターンのくだらなさは、何をかいわんや。
　各エピソードでもしツメをしっかり意識していれば、と考えると実に惜しい作品だ。
　もっとも個人的には、冒頭のタイトル・バックが一番の見せ場。ジョアンヌ、シルヴィア、メリッサがマカレナを踊り、ビーチで水着になってが嬉しい。さすが長身のジョアンヌがバツグンのプロポーションをうかがわせるも、ちょっと太りぎみながら、シルヴィアの黒いワンピースがボディー・ラインくっきりでそそる。メリッサも重心が低く、ボトムが短パン型のワンピースとはいえ、けっこう色っぽい。ジョアンヌの斜めうしろのアングルからによるお尻のアップや、野郎どもとケンカになる流れで、シルヴィアとメリッサが脚を振りあげて相手を蹴り、ヒップの形をくっきりの誘惑がたまらない。
　途中、ジョージにレイプされるシーンでジョアンヌは水責め拷問を受け、シャツがビチョビチョに濡れて貼りつくのに、乳首スケスケじゃないのは、相当に落胆。
　あとセクシーな要素では、ルエルの愛人役のシーラ・リンタンがパンティー一枚で座りながら抱かれ、バックの鏡にお尻が映っていてウハウハ。風呂に入ったり、バス・タオル一枚も披露するが、オッパイをださないからウヒョヒョッとまではいかない。キングの愛人役（マイタ・サンチェス？）は二度のセックス・シーンを演じるも、かなりブスっぽいし、オッパイをもうちょっとでみせないままだった。