ＴＮＴ　ＪＡＣＫＳＯＮ
　
74年：ニュー・ワールド・インターナショナル
監督：シリオ・サンチャゴ
主演：ジーン・ベル
　　　 スタン・ショー
　　　 パット・アンダースン
　シリオ・Ｈ・サンチャゴの監督作でアメリカ合衆国とフィリピンの合作。74年にフィリピン、75年にアメリカ合衆国で劇場公開されている。
　ロケは香港とフィリピンのようで、香港の麻薬組織を相手に黒人女性が大暴れの内容。だと『ダイナマイト諜報機関／クレオパトラ カジノ征服』を思いだしたものの、こちらのほうが先の制作になる。ただし『ダイナマイト諜報機関／クレオパトラ危機突破』は73年の作品だから、ひょっとしてクレオパトラ・ジョーンズを企画の参考においたかもしれない。
　香港で行方不明の兄を探しにやってきた女性が主人公。映画の冒頭で殺害をうける男が兄だと途中で解明の構成は、まったくミステリー要素に乏しい。
　拳法の達人のＴＮＴ（ジーン・ベル）は白人女性のエレイン（パット・アンダースン）に兄がいた道場へ案内され、そこで中国人のジョー（チキート）に出会う。兄の居場所をジョーも知らないが、捜索を助けてくれる。すぐに怪しい黒人のチャーリー（スタン・ショー）や白人のシド（ケン・メトカーフ）が出現。エレインはシドの情夫とわかる。さらに中国人の麻薬組織のミン（ジョー・マリ・アヴェリアーナ＝クレジットなし）がからみ、兄とエレインが潜入捜査官と判明や、ＴＮＴがチャーリーに愛をいだくも、兄のかたきなので憎しみの対決の展開はディック・ミラーとケン・メトカーフの脚本により、さほど注目にあたいしない。
　ようは拳法のアクションがすべての内容。
　ジーン・ベルは拳法が無経験らしく、がさつな部分を含むが、スタントのふきかえもあって巧みにみせる。ベランダにぶらさがっての宙返りはウルトラＣもの。フィリピンのコメディアンのチキートは、いささかきつい印象で、パット・アンダーソンもつらいかな。スタン・ショーは格闘技の素養をいかす。
　またジーン・ベルはプレイメート出身だけにヌードを披露。チャーリーとセックスで乳首がモロの素っ裸もいいが、やはりトップレスのアクションにつきる。ミンにシャツを脱がされて乳首が丸だし。火のついた葉巻を乳房に押しつけられそうになるも、はね返してからが見せ場。部屋を暗くするや、黒いパンティー一枚でオッパイをプラプラと揺らせて暴れ、ミンの手下どもを倒す。おそらくこのヌードの活躍を撮りたいために全体があるように思えるほど。
　パット・アンダースンはセパレーツの水着を二回着るうえ、シャワーあがりでオッパイやお尻がバッチリの全裸をみせる。
　あと暴漢にあう中国女性がオッパイをさらし、クラブのストリップ・ダンサーがオッパイを全開に踊る。
　個人的には黒人のジーン・ベルや白人のパット・アンダースンに好みが薄く、ジョーのアシスタントを演じるフィリピン女優のイメルダ・イラナンのヌードをおがみたかった。
　フィリピンの脇役陣では、ＴＮＴを狙う殺し屋役にマックス・アレヴァロが確認できるが、クレジットに読めるレオ・マルティネス（レオ・マーティンと表記）とジュニー・ガンボア（ジョン・ガンボアと表記）はわからずじまい。
　なぜか日本航空の飛行機で到着の香港が、現在と違う当時の風景に興味をかきたてる。麻薬取り引きをおこなうイスラ・デル・ソルはフィリピンらしいも、ハティハティハンのフィエスタに獅子舞の中華ふうをまぜるあたり、映画のフィクションだなあと感じる。

※　この作品は『ＴＮＴジャクソン』の題名でヴィデオ発売されたことがある。