ＴＩＹＡＮＡＫＳ
　
07年：リーガル・マルティメディア
監督：マーク・Ａ・レイエス
主演：リカ・ペラレホ
　　 　ジェニリン・メルカド
　　 　マーク・ヘラス
　　 　ＪＣ・デ・ヴェラ
　　 　ロトロト・デ・レオン
　　 　ＴＪ・トリニダッド
　　　 ナッシュ・アグアス
　吸血鬼伝説をアレンジしたモンスターものをベースに敷くながら、内容的には『13日の金曜日』などの猟奇的な連続殺人ものに近いホラー。美人のリカ・ペラレホに、ジェニリン・メルカド、カレル・マルケス、ジル・ユーロの若手アイドルの共演に引かれる。
　洗礼をうけないままに亡くなった赤ん坊は悪魔にとりつかれるとのウワサにもとづくのがフィリピンっぽい。化け物に変身する赤ん坊に襲われる母親のプロローグがあって、母親役にアナ・ローセスがゲスト出演し、太りそうなタイプだったのに、相変わらずのナイスなプロポーションの美女なのにドキドキ。赤ん坊のゆりかごの中にミッキー・マウスのぬいぐるみが置かれているのがフィリピン人のディズニー好きをうかがわせる。
　大学で民衆の伝承による奇談を教えるアール教授（ＴＪ・トリニダッド）の授業をクリスチャン（マーク・ヘラス）、リナ（ジェニリン・メルカド）などがうけていて、クリスチャンの姉のシーラ（リカ・ペラレホ）がアールと恋人関係にある。クリスチャンはリナが好きなのに、同級生のカーウィン（ＪＣ・デ・ヴェラ）がリナへ接近し、その仲むつまじさを黙ってながめている。シーラが夢にうなされ、ユダヤのダヴィデのマークが燃える幻想をみるのはあとへ続かず、ただのこけおどし。
　金曜にマーク、カーウィン、リナが、同級生の男友だちのＰＪ（ライアン・イリアーナ）、ブライアン（アルウィン・ウイティンコ）、レックス（アンドレイ・フェリックス）、女ともだちのシンディー（カレル・マルケス）、ハンス（ジル・ユーロ）をつれて、リナとともに運転手のマン・ガストン（トム・オリヴァル）を雇い、ホーリー・ウィークの週末旅行にでかけてからが本筋に入る。途中で顔を紙袋で隠し、体を鞭で叩いて傷つける苦行者がいるのもこけおどし。
　道に迷って車が動かなくなり、満月を横ぎってみえた奇妙な飛行物体の生物に襲われ、全員が気味悪がる。大きな屋敷へ無断侵入すれば、偶然にナイフを仕込んだ十字架の置物を発見。そこには初老の女性のミルドレッド（ロトロト・デ・レオン）と小学生くらいの息子のピボイ（ナッシュ・アグアス）が住んでいて、なんとか泊めてくれるように頼む。すぐにシーラがピボイに親しみをあらわし、ピボイが三人の子どもたちと遊んでいると、子どもたちの目が光るのをシーラが目撃。そのうちの女の子（ミカ・デラ・クルース）がベッドに忍んできて消える恐怖体験をする。クリスチャンなど学生たちが外を歩いていると墓地へでて、例の目の光る女の子がいる。ブライアンとハンスが池でふざけて合うのを女の子がのぞきみる。女の子は水のモンスターのようで、水中を河童のように泳ぐ。ブライアンとハンスができていたのをみんなが冷やかし、ささいなことからクリスチャンとカーウィンがケンカするなどあって、知らぬ間にブライアンとハンスがやられる。
　土曜にアールがシーラたちの行き先を知ってチャナクというモンスターの出現を予感し、心配であとを追うとき、陸のチャナクである男の子（リーアン・ジョッシュ・コンデ）にマン・ガストンが殺され、カーウィンも犠牲になる。空のチャナクである男の子（モキ・トラルバ）にレックスがさらわれる。ブライアンとハンスを探していたシンディーを水のチャナクである女の子がケガしたふりでだますと、屋敷へつれていかれてクリスチャンを襲い、シーラの声をまねてピボイも狙う。ショットガンをかまえて息子を守ろうとしたミルドレッドは散弾をうまくよけられ、反対に命を落とす。
　クリスチャンが十字架に仕込まれたナイフで水のチャナクを刺し、空のチャナクにさらわれたシンディーがスプレーをかけて逃げるも、致命傷を与えていない。ＰＪが十字架のたつ墓場へ逃げこむとチャヌクが近づけず、ピボイが十字架のペンダントでチャナクの手に火傷をおわせる、なんてのは吸血鬼の性格をマネた部分。結局は駆けつけたアールの持参した聖水でチャナクたちを焼死で退治する。大学のアーチェリー部だったリナが矢でチャナクを刺し、聖水の瓶を射るのは視覚的おもしろさを意図した表現。
　アールが十字架のナイフでピボイを殺すようにリナにいうも、できなかったため、日曜に自宅へつれてかえったピボイがリナの前でモンスターにかわるエピローグが用意されている。
　チャナクの一人称のショットを歪んだ画面でみせるオーソドックスな手法など、マーク・Ａ・レイエスは堅実なテクニックを心がけるながら、サスペンスの盛りあげ不足は否めない。連続殺人ものと似た構成なのは、最初に淫行中のカップルが犠牲になり、アホ連中が次々と血祭りに合ったあと、しっかりものの女性の主人公が残る定番の展開とさほど違わない進めかたにある。仲間がかなり殺されたにもかかわらず、日曜の平和な雰囲気が悲劇の余韻を引いていなくてヘンなのも説得力をさげ、ディジタル作品としてはこの程度かもしれない。
　お目当ての女優の魅力だと、リカ・ペラレホは前かがみなってバストの谷間がのぞくショットにドキッとときめくも、ジャージっぽいパンツ・ルックがイマイチだし、女の子がピボイを水につけているのをみて池に飛びこみ、女の子と水中で格闘にシャツがめくれるのに興奮を呼ぶが、濡れて水からあがるショットを欠き、アールに抱きあげられたあとも衣服が身体に貼りついているショットを撮っていないのがマイナス。ジェニリン・メルカドはキャンパスでアーチェリーを練習時の白いジーンズや、ブライアンとハンスを捜索時のジーンズがピタピタでウハウハなのに、さほど食いこみの少ないのが惜しい。ジル・ユーロはボトムがスパッツのようなワンピース水着で池に入り、けっこうペッタリ状態で視線を奪うも、滝にうたれるところなどでボディー・ラインをおがませてくれると期待したが、ずっと水につかったままで落胆に終わる。カレル・マルケスはチューブ・トップの水着で濡れた肌が色っぽいながら、ボトムの短パンを脱がないのでパンチ力が弱い。
　いずれも満足には達しないが、かわいこちゃんが四人もそろえば、まあよしとすべきか。