ＴＩＫＩＭ
（試し）
　
01年：セイコ・フィルムズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：バルバラ・ミラノ
　　　 ロデル・ヴェラヨ
　　 　レオナルド・リットン
　　　 アラン・パウレ
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 パウラ・ゴメス
　カネがいかに人間を狂わせるかを描こうとしたドラマだろうが、いささか空回りのようだ。
　まずマニラの雑踏風景に始まり、サンパギータ売り、占い師、マージャンをする人々、バルットの屋台、露天商などを画面に切りとっていく手法が、いつものホセ・ハヴィエール・レイエスらしいオープニングだなあ、と納得する。レオナルド・リットン演じる主人公の一人が勤めるブタの屠殺場の様子を映しだすあたりも、なかなか興味深い。
　物語はアラン・パウレ演じる闇金融の請負人とバルバラ・ミラノ演じる女が愛人契約を結んでいて、アランがネコババした政治家の裏金をバルバラが発見で始動。ロデル・ヴェラヨ演じるのがバルバラの夫で、レオナルドがロデルの従兄弟との人間関係。
　ヴァル・トロノ演じる妻が妊娠中でアランはつい間が差すのだが、アランが出勤のときにヴァルが「忘れもの」とピストルを渡しているといった、ヘンな違和感がかえって関心を引きつける。アーチー・ヴェントサ演じるアランの親分に、ルイ・マナンサラ演じる秘書的なパートナーがついているなど、いかにもうさんくさそうながら、わかりやすいワルといった雰囲気じゃないあたりが買える。
　全編に携帯電話を小道具として活用し、やたらかけまくっている印象なのも、日本人に負けず劣らず携帯好きフィリピン人がうかがえて、まずまずの要素。
　でもアランの処刑も知らず、バルバラとロデルが大金を手に浮かれるあたりはよいが、ジョン・アパシーブレやモン・コンフィアド演じるアーチーの手下が追いつめていく過程がいかにもパターン。パウラ・ゴメス演じるレオナルドの恋人を殺し、レオナルドを電気による拷問でリンチする。その悲痛なうめき声からロデルがカネを返そうというと、バルバラが強引に拒む展開に欲望の怖さを表わそうとしたとうかがうも、いささか類型的で、決して本質に迫っているとは思えない。
　バルバラ、ロデル、レオナルドがジョンたちに追われてビルの屋上へとかけあがるまでのクライマックスなど、手持ちカメラで臨場感を高めたいとの意図は評価できるが、ちょっと画面がブレブレに揺れすぎ。全体的にねちこいトーンで濃密な映像づくりを狙ったと分析するところながら（撮影はジェー・リナオ）、せかされているような落ち着きのなさを登場人物の心理へかけあわせた演出の計算は、不本意ながら成功の外だったと判断したい。
　結局、衝撃のオチを入れたはずが、オイオイ『太陽を盗んだ男』かよ、といったラストもいただけない印象。降ってきた札を奪い合う群衆の狂乱を風刺にとらえた過剰さばかりが目立ち、そのくせ警察が駆けつけないのはなぜ、といった基本的な疑問を抱かせ、クビをひねるばかり。
　ホント、空回りとは、こういう表現のことじゃないか。
　ホセの才気がマイナスへ向いた、実に残念な作品だ。
　もっともバルバラのセクシーぶりは、十分に満足をくれる点が嬉しい。アランとのセックスでは、カメラを動かしすぎでよくみえないものの、チラッとフラッシュするショットにオッパイのアップがあって、うーん、おいしそう。終わってシャツを着るとき、パンティー一枚から浮きでるヒップラインがキュートなカーヴを描く。ロデルとのセックスはスカートをまくってパンティーをおろすドアップのまま、お尻のモロだしがそそる。椅子の上で愛撫を始めるとオッパイを惜しげもなくさらし、乳首の立った上向きトップレスにウヒャーッ。札束にまみれながらロデルと二回目のセックスは、脱ぎながらオッパイをポロッとさせるポーズだけでウハウハなのに、パンティーをとって全裸になる際に陰毛までのぞかせ、素晴らしすぎる。そのまま乳首やお尻のアップも挿入され、こりゃあ我慢できない。美人のバルバラに拍手。
　パウラにも色っぽいシーンがあり、レオナルドとのセックスでツヤツヤと肌が光っていて、妙になまめかしいの何の。騎乗位でお尻をみせたあと、突入してきたジョンたちに窒息死させられるとき、オッパイがでるか…　でるか…　でるか…
　バルバラにカネをもらっている教母役でモーリン・マウリシオが出演も、顔みせ程度はもったいなかった。
　まあ、バルバラの魅力だけでとりあえず一見の価値あり、といえそうだ。