（ティクボーイ・ティカスとゲロゲロ鳴く野郎ども）
93年：ファースト・フィルムズ
監督：ウィルフレッド・（ウィリー）・ミラン
主演：ゾーレン・レガスピ
テッシー・トマス
シーラ・イズラエル
ジェニー・ロア
マーク・ヒル
ロイ・アルヴァレス
リト・レガスピ
フアン・ロドリゲス
パトリック・デラ・ロサ
オレステス・オヘダ
スモーキー・マナロト
バンジョー・ロメロ
レーモンド・バガチング
エドモン・ラモス
タイロン・サソン
デニス・デロス・サントス
ブランド・レガスピ
まったくむなしいほどにしょうもないアクション作が、ときにフィリピン映画にみられるが、そんなときはイヤになる。
貧民街に暮らすティクボーイ（ゾーレン・レガスピ）は不良のリーダーで、仲間たち六名を従える。住民たちのトラブルを腕力で解決も、母のカルメン（テッシー・トーマス）が精神をやみ、頭のおかしいのを看病の日々。恋人のドナ（ジェニー・ロア）がいるにもかかわらず、もうひとりルディー（ルツ・トゥアソン ？）を口説き、気がついたドナを悲しませる。いっぽう犯罪組織のボスのセルジオ（ズバス・ヘレロ）は日本人の田中と組んで麻薬取り引きをたくらみ、田中の事件の目撃者である二人の警官の暗殺をティクボーイの兄貴分のフィデル（ロイ・アルヴァレス）に依頼。ティクボーイの協力で成功も、カネの支払いのときにフィデルが殺され、ティクボーイが逃げる。またセルジオは判事のモンテロ（リト・レガスピ）を買収にかかる。セルジオの手下がカルメンを車でひき、病院へかつぎこまれると、実は本当の父がモンテロだと知ったティクボーイがモンテロの娘のリカ（シーラ・イズラエル）を誘拐し、リカの母のルーデズ（ローズマリー・ヒル）からカネをゆすって治療費にあてる。今度はセルジオがカルメンとドナをら致のうえ、ティクボーイの目の前でカルメンを殺す。カルメンとティクボーイの存在に驚いたモンテロが病院や葬式を訪ねてくるも、ティクボーイが追いかえす。仲間たちと一緒にセルジオの本拠を襲ったティクボーイは、六名の仲間を全員やられたすえ、セルジオを始末し、ドナを救いだす。逮捕で裁判になり、担当の裁判長のモンテロとはじめて親子の愛情を感じるや、セルジオの息子のボビー（マーク・ヒル）が悪徳警官のロジャー（パトリック・デラ・ロサ）と襲ってくる。
とにかく何がしょうもないといって、制作サイドが頭をつかっていない。ボビーとロジャーが中国系ビジネスマンの誘拐計画を口にしつつ、ティクボーイとセルジオの戦いにまったくからまず、ラストでとってつけたごとく登場のバカな構成にあきれるなら、リカの兄のリカルド（オレステス・オヘダ）が神父の設定に意味がなく、セルジオの弁護士（ヴィク・フェリペ）の活用もオマケ程度に終わり、カルメリタ・デル・ムンドのストーリーとジュネル・クルースの脚本が適当。ルディーを誘った男友だちや、母親を精神病院へいれようとする住人たちを銃で脅し、ティクボーイがほとんど共感を呼ばないキャラクターなうえ、母を殺害のときにセンメンタルな臨終の間だけ敵が撃ってこず、息を引きとったとたんにタイミングよく銃撃をはじめるご都合主義など、ウィリー・ミランの演出も評価の対象外。カルメンが狂っている図式すら生かせないドラマの浅さたるや、本当に頭をつかっていない。
フィデルの射撃場の客が日本人で、田中の一味じゃなく、あとにからまずじまいはまあいいか。
ジェニー・ロアとシーラ・イズラエルがヒロインだと女優もマイナーになり、ともにベッド・シーンがでてくるも、オッパイの隠れた撮りかたが満足度をさげる。ら致の際にジェニーはブラのみえるシー・スルーのシャツを着ているのに、荒くれなセルジオの配下に犯されそうな危機感を欠き、ティクボーイとのデートを回想のシーンでセパレーツ水着を披露し、ビーチでたわむれてもクロース・アップなしのサーヴィスの悪さ。カメラマンの恋人のスタジオでシーラはモデルをつとめるが、こちらも水着じゃなくてセパレーツのみだから興奮を招かない。六名の仲間のうち、ウィリー（レーモンド・バガチング）の家庭描写で母親が売春しているっぽく、スリップにガウンでうろつくも、おばさんなのでセクシーさゼロ。
ただただ、むなしくなる。
