ＴＡＴＳＵＬＯＫ
（三角関係）
　
98年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ティコイ・アギルス
主演：アマンダ・ページ
　　　 アルベルト・マルティネス
　　　 エリザベト・オロペサ
　　　 ラミル・ロドリゲス
　　　 ソリマン・クルース
　　　 ペペ・スミット
　　　 ジャッキー・カスティリエホス
　運命にもてあそばれる女性の悲劇というのが、フィリピン映画はすごく好きなようだ。恋愛のもつれからくる殺人に、自分を置きかえられる要素があるのだろうか。この作品など典型的な愛憎劇で、またかと思わせるのだが…
　風俗的な面白さが、けっこううかがえる。
　まずアメリカ軍がいなくなったあとのスービック・ベイとオロンガポ市の光景が興味を引く。ここの“ハード・ロック”という名のあやしいライヴ・ハウスが、いかにもといった印象を与え、ペペ・スミット本人が妙ちくりんなステージを繰り広げる。この“ペペ・スミット、ジュン・ロピト＆ニュー・サスペクツ”というバンドは、どれくらいの人気なのだろうか。
　アルベルト・マルティネス扮する男はバンドのドラマーという設定になっていて、街で刺青屋も経営している。アマンダ・ページ扮する誘惑した娘に刺青を彫るシーンが好奇心をそそる。
　エリザベト・オロペサ扮する母が、娘のアマンダに出生のいきさつを告白するシーンでは、ゴーゴー・バーのダンサーだったとき、客と寝たあとに、仲間の米兵にまわされてレイプされたことがわかる。アメリカ軍が駐屯していた当時は、こんな性犯罪は日常茶飯事だったのだろうと思わせる。
　他にキリスト受難劇のイメージがでてくるのが視覚的に引きつけるし、アマンダが学校で山登りするシーンで、ジャッキー・カスティリエホス扮する女性教師が「ペット・ボトルを捨てないように」と強調しているのが、当たり前のことだが、オヤッと思わせる。失礼ながら、フィリピン映画だけに…
　ドラマとしては夫の留守に若い男と浮気をするエリザベトに共感できないが、その母の愛人に初対面でホイホイついて行き、刺青を彫るアマンダにもあきれてしまう。これだと心理的にのめりこめない。ようは、どうでもいい物語になっている。
　興味の焦点であるセクシー描写は、まずエリザベトがアルベルトとのセックス・シーンで、スルスルと衣服を脱ぐと張りを失ってややたれているものの、吸いつきたくなるような乳頭のオッパイをあらわにする。下はごく薄の白い肌着で、お尻に食いこませながら腰を動かすアップが熟女の色気を放ってくる。こんな中年女性なら寝てみたいと思わせるのがみごと。回想で米兵と寝るシーンでも、若づくりのメークで乳房をブラブラさせるのが強烈。
　アマンダとの二回ある海岸の水着シーンでは、最初が紐ビキニのアマンダに圧倒されているも、二回目はハイレグのワンピースで年齢に負けないプロポーションを披露して、視線を奪ってくれる。
　おてんばな印象を与える美女のアマンダは、さすがに若さからくるセックス・アピールをムンムン発散し、アルベルトならずとも、やっぱり母よりも娘とセックスしたいと思わせる。胸に刺青を入れるシーンのブラジャー姿からしてドキドキものだが、このあと意外と露出が少なめに終わるのが残念。アルベルトがブラもパンティーもつけたままのアマンダを抱いてイクのは、演出の配慮としても情けない。シャワーを浴びているところへアルベルトが押しかけてくるシーンでは、アマンダの手がジャマをして、もうちょっとのところで乳首がみえない。お尻がチラっとあらわになるのには、ハッとさせられるが…　そのあとバス・ローブを脱がされそうになりながらも、最後まで乳首を披露しないのには欲求不満が起きる。アマンダ・ファンとしては、文句を述べておきたいと思う。
　それにしても鬼才と評すべきティコイ・アギルス監督なのに、やや今回は力量が足りなさ過ぎるんじゃないか。