ＴＡＴＬＯＮＧ　ＡＮＡＫ…　ＩＳＡＮＧ　ＡＭＡ
（三人の息子に一人の父）
　
94年：ダイヤモンド・ジェード・フィルムズ
監督：デオ・Ｊ・ファハルド・ジュニア
主演：キエール・レガスピ
　　　 マイケル・リヴェロ
　　　 ジュード・エストラダ
　　　 ロイ・ヴィンゾン
　　　 ダンテ・リヴェロ
　　　 レーチェル・ロバンコ
　　　 シャーリー・フエンテス
　　　 マイキー・ヴィリアヌエヴァ
　　　 ラニローズ・オテイサ
　　　 ダン・フェルナンデス
　　　 エース・クルース
　　　 エース・エスピノサ
　　　 レーモンド・キアヌー
　アンヘレス市を舞台にする作品である。まだクラークにアメリカの空軍基地があったころで、冒頭の立ちならぶバーのネオン風景が興味深い。
　でもアンヘレスの風俗はほとんど内容にからでこない。フィリピン人の家族と、地元の有力者とのいざこざがストーリーの骨格になっている。つまらねー、といってしまえばそれまで。
　ダンテ・リヴェロ演じる親父は、キエール・レガスピ、マイケル・リヴェロ、ジュード・エストラダ演じる三人の息子と一緒にクラブでコンボを組んで演奏している。息子は全員腹違いながらも、絆が固い。それぞれラニローズ・オテイサ、シャーリー・フエンテス、マイキー・ヴィリアヌエヴァ演じる恋人がいる。シャーリーはじゃぱゆきになるべく努力中で、その斡旋をしてくれるジャニス・フラド演じるママさんがマイケルの母親と判明したり、キエールが母親を探すと、デクスター・ドリア演じる精神病棟に入っているおばさんだったり、前半は感傷的な描写を盛りこむ。
　レーモンド・キアヌー演じるスナイパーからロイ・ヴィンゾン演じる悪の黒幕が狙撃され、これをたまたまキエールが救ったからボディー・ガードに雇われる。さらにバンジョー・ロメロ演じるロイの部下からマイケルが犯罪に引きこまれそうになるも、キエールとジュードがとめ、ダンテが連れ戻すエピソードが入る。盛りだくさんなドラマにしようと狙ったのだろうが、テンポがタルくて退屈するのが実感。
　レーチェル・ロバンコ演じるロイの愛人にキエールが手をだしたり、バンジョーがシャーリーを襲ってアクションらしくなってくる。レーチェルはロイの情報をもらし、三兄弟のところへ逃げてくる。ロイはダンテを殺し、三兄弟の復讐となるわけである。
　とにかくヘリコプターや橋を爆破するシーンがでてくるものの、どちらも模型バレバレなのは、いささかシラける要素。予算がないのはわかるが、学生の自主制作じゃないんだから、もうちょっと何とかしてほしい印象。
　三兄弟と三人の恋人、およびレーチェルが電車で脱出しようとするクライマックスは、ややみせてくれる。鉄道がそれほど発達していないフィリピンで駅が登場することだけでおもしろいが、いざドンパチになり、物売りがいるホームの光景など、東南アジアのほかの国と変わらないなあと確認させる。ジュードの子どもを生んだマイキーはベビー・カーを持っていて、銃弾が飛びかう中、スルりと手から離れたベビー・カーがコトッコトッと階段をすべり落ちる。これはもう『戦艦ポチョムキン』のオデッサの階段シーンというか、それに影響されたブライアン・デ・パルマの『アンタッチャブル』のシカゴ駅のシーンのいただきであり、まったく、ようやるよ。
　レーチェルがロイに撃たれるのは、人数が合わない男女関係を整理する常套手段だから感心せず、いくら電車の発車が迫って本人が「早く逃げて」といっていても、瀕死のレーチェルをキエールが置いていくのはどんなものか。
　一年後にダンテに捧げるクラブをオープンした三兄弟が店で歌うのを、実は生きていたレーチェルがこっそりみているラストも、どこかすっきりしない。本当にこれでいいの、といったあと味が残る。
　割りきれない作品だ。
　ただしレーチェルのセクシーさは絶品。最初にロイの事務所でキエールに会うときのブラのみえた衣装からして期待できそうだったのだが、キエールとプールへ行くシーンがみごとすぎる。水からあがるときにビキニのパンティーがお尻に貼りつき、割れかたのラインくっきりで、ほとんど中身がみえているも同然。しかも正面を向くとハイレグの股間がビンビンにそそるうえに、オッパイの素晴らしさは言葉で表せない。両手でボヨンボヨンともんでみたい誘惑を抑えきれないみごとな盛りあがりかたで、カッカ燃えさせてくれる。全体のプロポーションもバッチリ浮きあがり、素っ裸よりも色っぽい。あとにも黒いブラのシーンがあり、レーチェルの魅力が映画のパワー不足を補っているといえる。
　ラニローズにもプールのシーンがあり、青いワンピースがキュートなものの、挑発的にボディーのうかがえるショットを欠くのが残念。シャーリーにはステージで歌うときに太腿をチラチラさせるしか見せ場がなく、マイキーにはセクシーさ皆無。
　満足できるのはレーチェルだけ。
　あとジャニスがバストにバサッと切れめの入った衣装で、オッパイをこぼれそうにするシーンが二回もあるが、オイオイおばさん、いいの、こんなもの着て、というあきれ感が伴って、オマケ程度だった。