ＴＡＫＡＷ　ＴＵＫＳＯ　　ＭＥＬＯＤＩＮＡ
（どん欲な誘惑　メロディナ）
　
98年：プレミア・エンターテインメント／ＶＰＳプロダクションズ
監督：ボビー・サンチャゴ
主演：グライデル・メルカド
　　 　デイジー・レイエス
　　　 マンディー・オチョア
　　　 ボブ・ソレル
　　 　ベリア・フロレス
　　 　ボーイ・アラノ
　　 　ロベルト・リヴェラ
　マネキンが生命を得る話はロマンティックなものから性的に倒錯したものまでいろいろあるが、ホラーもパターンの一つだろう。人形に誘惑されたい、なんてマニアックな趣味が男にはあるのかもしれない。
　原作の『メロディナ』はフィリピンのクラシックというが、残念ながら内容を知らないので比較はできないが、とにかくこじんまりとまとまった作品ではある。
　そもそもグライデル・メルカドという、ややファニー・フェイスの女優に人形を演じさせたのがよかったと思われる。いかにも悪魔に操られながらも、実は感情があるというイメージを無表情の演技でたくみに表現している。
　物語はマンディー・オチョア扮するマネキン工房の技師がつくった人形に、ベリア・フロレス扮する悪魔が生命を吹きこむところから始まる。悪魔がヘビの化身なのは旧約聖書の影響かとも推測したが、どちらかというと妖女ゴーゴンで、マネキンにキスされた男たちがマネキンになってしまうという設定も、石に変えてしまうゴーゴンを連想させる。男というのはスケベだから、酔っ払い、泥棒、警官と次々にマネキン化され、小さな漁師街は恐怖に陥る。
　バランガイで警備団を組織し、たいまつを持って夜の町を練り歩きながら、グライデルを発見して追いかけるシーンなど、実に緊迫感のある雰囲気がでていて感心。ボビー・サンチャゴ監督、けっこう頑張っているじゃないか。
　でも子どもに動きだす瞬間を目撃され、その子の証言で警備団がかけつける部分にクライマックスがなかったり、自分をつくったマンディーもマネキンにせよと命じられるものの、恋したために初めて悪魔に逆らうという展開も大きく内容にからんでこないし、ちょっと構成力が弱い。それにマンディーと愛し合うようになった、デイジー・レイエス扮するマネキンの発注会社の女性オーナーと共同でグライデルをやっつけるラストも、怪物に変身するのがチンプだし、十字架で苦しむなんて、あんたはドラキュラかとあきれてしまう。
　まあ小品として、そこそこ楽しめたと評価したい。
　グライデルの演技がうまいのは既に述べたが、セクシーさもちゃんと意識されている。最初に人間になるところでは、人形に何も着せられていないから、当然グライデルも全裸。乳首のあたりが髪の毛で隠されているが、マンディーの上に乗ると乳房が胸板をこするし、暗闇でみえにくいものの、ワンワンのポーズのお尻が浮きあがる。テーラーのショー・ウィンドーに飾られてからは服を着ているものの、再びマンディーを誘惑するときには、超ミニで興奮させてくれるだけでなく、肩から上半身を脱ぎ、一瞬だけれども乳首を露わに。ホント、マネキンにされてもいいや、と感じるくらい魅力的。
　またマンディーがデイジーの家を訪ねるシーンでは、デイジーがプール・サイドにいて、黒いワンピース水着を全身にピチッと貼りつかせている。やや太目かもしれないが、みごとなボディーだし、歩くときに浮きあがるヒップラインがキュートで、ただただよだれがでるばかりだった。