ＳＵＧＡＴ　ＳＡ　ＰＵＲＩ
（名声に傷）
　
97年：アマリッツ・フィルムズ
監督：ホセ・‘カカ’・バラグタス
主演：ジェフリー・サントス
　　　 アルマ・ソリアノ
　　　 ラモン・クリストファー
　　　 ジェス・ラピッド・ジュニア
　　　 キング・グチェレス
　　　 ディック・イズラエル
　　　 カレン・ヴィリアール
　　　 ソニー・パディーリア
　　　 ティントイ
　　　 アマイ・ビサヤ
　　　 ヴィク・ヴェラロ
　　　 ペリタ・カバウアタン
　悪党づらが板についてきたジェフリー・サントスが正義漢を演じるＢ級アクション作。
　工員のマリオ（ジェフリー）は妻のデリア（アルマ・ソリアノ）と幼い息子、母と三人で幸福に暮らしている。最近のレイプ殺人の多発に憤る純粋な性格でもある。バーの歌手のレルマ（カレン・ヴィリアール）がロベルト（ラモン・クリストファー）をリーダーにするグループにからまれるのを助ける。実はロベルト一味が一連のレイプ殺人の犯人で、ロベルトは有力者のホセ（ソニー・パディーリア）の息子。マリオの友人のバロット売りであるオメン（アマイ・ビサヤ）がロベルトたちのレイプ現場を目撃する。市長のリカルド（ディック・イズラエル）はマスコミのレポーター（クリス・ダルス）などからレイプ殺人の捜査が進展しないのを責められ、警察署長のジャック（キング・グチェレス）に解決を命じる。ホセが市長に賄賂を贈る関係だったため、ロベルトの差しがねで理由もなくマリオが逮捕され、拷問でレイプ犯に仕立てあげられる。でも密かに始末しようとマリオが人間狩りの標的にされたとき、反対に警官たちをやっつけて逃げきる。自らも傷を負うが、逃げこんだ豚の飼育小屋がレルマの住む農家のものだったので助かる。一方で悪に組みしない警官のテッド（ジェス・ラピッド・ジュニア）だけがマリオの犯人説に疑問を抱き、マリオの工場の上司（ウィリアム・ロメロ）から犯罪を嫌う人物だと聞いて無実を確信する。留置場へ面会にきた際にデリアの美貌に気がついたロベルトがデリアを拉致で犯し、ジャマなオメンとともに殺す。妻を手にかけられたと知ったマリオが復讐を決意で、レルマの家を襲った警官隊を逆に叩きつぶし、レルマを楯にとったデ・アシス巡査長（ヴィク・ベラロ）もうまく片づける。でもレルマの父（ティントイ）が無残に亡くなる。さらには別の女性二人をレイプ中のロベルト一味を葬り去り、待ち伏せでジャックを車ごとふっ飛ばす。ついには市長にホセが賄賂をわたしている現場へ踏みこみ、あぶない場面で駆けつけたテッドに救われて市長一派を一掃し、逃げるホセの配下をも全滅させる。
　レイ・アタリアがピノイ新聞に書いた裁判記事をもとにしていると冒頭にクレジットが入り、主人公のマリオ・デラ・クルースは実在のようだ。レイ・アタリアとカカ・バラグタスの脚本はほとんどがフィクションだろうが、おそらく冤罪からの反抗で殺人となった事件があるに違いない。ラストでマリオが現在服役中との説明が加えられている。
　もっとも映画の構成としてはあまり感心できず、妻の葬式へマリオが現われるときに警察が張っていないのがマヌケだったり、レルマの家での撃ち合いでいきなりマリオが銃をもっているのが入手先不明だったり、幼いマリオの息子がどうなったかわからないなど、しらける要素を指摘できる。さしてホセの家庭を描いていないため、ロベルトが殺されてホセの妻のプリタ（プリタ・カバウタン）がでていくのもとう突で流れになじまない。市長への賄賂が一千万ペソなのに、それだけの大金の見返りがなんなのかわからないので説得力を欠く。マリオの攻撃であたふたしながらも市長が「カネ、カネ」といっているのはおかしいが、いささか単細胞だし、悪の全員をストレートなキャラに想定しすぎ、と薄っぺらな内容に終っている。工場の上司が手配中のマリオへカネをもたせるあたり、庶民のほうを描く感覚のほうがましに思える。
　銃撃方法にアイディアが乏しいなど、ホセ・“カカ”・バタグタスの演出もさほどうまいとはいいがたい。
　ただしアルマ・ソリアノとカレン・ヴィリアールのセクシー・シーンはまずまずみせる。ともにそこそこ美人なうえ、マリオと川でたわむれるときにアルマはＴシャツにパンティーで濡れまくり、乳首がスケている。マリオとのセックスでは乳首が隠れるが、面会時の黒いピタピタのパンツ姿がプロポーションくっきりでそそり、これはロベルトでなくても下半身を刺激される。カレンは歌うステージでのスタイルのよくでたパンタロンが目を奪い、水浴びのショットで乳首をチラリとうかがわせる。家の襲撃で下着のまま逃げるのもウハウハだが、下着がボディーにフィットしたタイプじゃないのが惜しい。あとレイプの犠牲者はパウラ・ラミレス、ジア・エストラダ、ロウェナ・ゴンザレス、ダンナ・ディアスが演じていて、一人目がモノクロ画面の中でオッパイ丸だしのパンティー一枚、二人目がモノクロ画面の中で乳首がギリギリのパンティー一枚、三人目と四人目が黒ブラと白いパンティーの露出を披露している。市長の相手に連れてこられるドナと名のっている女性はミニスカのみにとどまる。
　なおロベルト・タルビーやヴィク・フェリペとともにホセの部下役のアマドル・カバウタアンと、ホセの妻役のプリタ・カバウタアンがエグゼクティヴ・プロデューサー、アラン・カバウアタンがライン・プロデューサー、プレシー・カバウアンとイメルダ・カバウアタンがアソシエート・プロデューサーなので、カバウアタン・ファミリーによる制作のようだ。スーパーバイズド・プロデューサーには悪徳警官役のひとりのヴィク・ベラロの名前が読めて、仲間意識の結びつきが感じられる。