ＳＴＡＴＵＳ：ＳＩＮＧＬＥ
　
09年：ＶＩＶＡフィルムズ／ＯＮ−Ｑ・28プロダクションズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：ルーファ・メエ・キント
　　　 パオロ・コンティス
　　　 アルフレッド・ヴァルガス
　　　 ジョン・アヴィラ
　　 　ラファエル・ロセル
　　　 マーク・バウティスタ
　　　 アンジェルー・デ・レオン
　　　 マイリーン・ディゾン
　　　 デシリー・デル・ヴァリエ
　　　 ＬＪ・モレノ
　ルーファ・メエ・キントが共同で制作指揮を兼任のコメディーで、ズッコケ女性を楽しそうに演じる。
　少女のドリス（チェスカ・サルセド）は大人になったら王子さまのような男性との結婚を夢みている。現実は厳しく、三十歳で独身ばかりか、いまだに処女のままのオフィス・レディーがルーファの役どころ。いわゆるアラサーの主人公といえて、日本にもかつて、三十歳を前に結婚をあせる女性のＴＶドラマがあったが、ちょっと通じるかもしれない。
　女仲間のマリクリス（ＬＪ・モレノ）がまずできちゃった婚し、遊び狂っていたジェーン（デシリー・デル・ヴァリエ）が病気を心配で診察にいった先の医者のスティーヴン（フランク・ガルシア）と結ばれる。打算的なヴィッキー（マイリーン・ディゾン）は初老の中国系のリンコン（ジョージ・リム）と結婚で中華料理店のオーナーにおさまる。バツイチで子どものあるワンダ（アンジェルー・デ・レオン）までがアメリカ人のエリック（ノエル・コレット）を恋人と紹介に、自分がついにグループで最後だとトイレに閉じこもって泣く。
　いざ婚活は友人の知り合いだったドド（マーク・バウティスタ）とつき合うが、性格的にうまくいかずに断わられ、バーテンダーのハンス（ラファエル・ロセル）と機会が生まれてデートに誘われるも、セックス目的のハンスの攻撃をかわしてチャンスを逃す。ジムで出会ったショーン（アルフレッド・ヴァルガス）にときめき、車のエンコが原因で親しくなってパーティーへいくも、ショーンの元カノジョのナディーン（リア・ガルシア）がからんで相手の気持ちが離れる。結局はダサかった会社の同僚のイニャキ（ジョン・アヴィラ）と結ばれる。
　イニャキが社長の息子ながら、会社で父親（アーチー・ヴェントサ）にみんなの目の前で罵倒をうける。なにをやってもドジなイニャキをドリスだけがやさしく接していて、そんなの最終的にイニャキとハッピー・エンドがミエミエのストーリー。ホセ・ハヴィエール・レイエスは予定調和の安易な進行の中で、いろいろと娯楽要素を盛りこむ。オチではなく、過程を楽しむ内容といえる。
　とにかくマニラの中流と上流のライフ・スタイルが浮きあがる。ドリスが女仲間や、会社の友人のランディー（パオロ・コンティス）と食事や喫茶でスパゲッティーやケーキを食べ、ヴィッキーの店で飲茶をつまみ、ＣＮＮのニュースがモニターで流れるガラス貼りのカフェへいく。ちなみにＣＮＮにはアメリカ合衆国の副大統領候補のベイリンが映っている。ハンスがバーテンダーのカウンターでパフォーマンスをまじえてカクテルをつくる。ジョン・レノンやウッドストックのポスターが貼られるカフェもでてくる。ドリスとランディーがジムでエクササイズや、ショーンがプールでパーティーを開くのが中流の嗜好なら、イニャキが公園にある屋根のテラスを借りきり、執事を四名つけての食事が上流の趣味。執事のひとりがサラダにドレッシングを高級店ふうにまぶしていて、ランティーの家でサラダにドレッシングを適当にまぶすのにつなげる皮肉がクスクス笑いを呼ぶ。イニャキが父親からもらったという豪邸のベッドでドリスが処女をあげる。
　登場人物の個性もたくみにあらわし、ドリスがキティーちゃんのぬいぐるみを抱いてＴＶをみれば、デスクにキティーちゃんの小さな人形をおき、この化け猫キャラの人気がうかがえるが、いい年こいて、幼児性を引きずるあたりの恋愛ベタとも思わせる。ドドと話しながら食べるフード・コートのレストランは料理を口へほうばるドドに品性を欠くなら、ドリスのＴＶを鑑賞の際の座りかたや、ハンスのつとめるバーでの酔っぱらいぶりが決して上品じゃない。ドリスがハンスの部屋にくれば食べ散らかした残骸や脱ぎ捨てたパンツが転がる。ヴィッキーは結婚前から厨房で料理人たちをしかり、売り上げを計算で性格をにじませるや、結婚式でリンコンの下品なキスの要求をかわしたうえ、すぐに口ゲンカでリンコンをおさえつけて尻にしく。ドリスの家には家政婦（ライ・テフコ）を雇って母（ルイ・マナンサラ）と叔母のベレン（マデリーン・ニコラス）が暮らし、ベレンが行かず後家なのがドリスの不安に拍車をかける。十代の弟のパオロ（アルヴィー・キゾン）がバンド少年で顔にピアスをつけ、イカれたタイプなら、三十二歳の女性をはらませる。
　初対面でドリスがハンスに「オカマか」と聞いて「なんで」はおかしいが、オカマの存在はホセ・ハヴィエール・レイエスらしいし、フィリピンっぽく、ランディーが男でもオカマゆえにドリスの大切な相談相手の親友になっている。イニャキは日本ふうにいえば草食系男子の典型に思え、ビジネス・スーツのさえないかっこうをランディーの同性愛の恋人（ジョー・ウォーカー）に頼んで髪型やファッションなどをオシャレに改造。ついにイニャキがドリスの励ましで父親に激しく言い返し、デート中にイチャもんをつけてきたハンスにも殴りかかる。
　セックスを拒んだドリスが「私、帰るからね」といってもハンスがとめず、何度もくり返す表現や、イニャキをなぐさめにドリスが男子トイレに入り、ズボンをおろした男があわてるドタバタは定番だが、結婚式で花嫁がブーケを投げ、受けとったものが次の良縁にめぐまれるとのお遊びの儀式は多くのフィリピン映画にでてきて、ここではマリクリスの結婚式でドリスが狙ってとり、ジェーンの結婚式でもキャッチ。ヴィッキーの結婚式は愛よりもカネのヴィッキーが気に入らなくて争奪戦に参加しないが、飛んできたブーケがドリスにあたる。自らの結婚式でブーケを投げれば、オカマのランティーの手に落ちるギャグをなす。ヴィッキーが「まだ処女なんだ」とつついてドリスがひがみ、ついに「セックスした」に「これであなたも完全な女ね」は、日本人におなじみの水商売従事者や売春婦をのぞき、処女を守る信仰の強いキリスト教徒のフィリピーナにあって、開放的な価値観をもつ世代の広がりがわかる。
　とくにどうってことないも、とりあえずは次第点と評価できる。
　ルーファ・メエ・キントはジムで白パンの腰つきや赤いジャージーとピンクの短パン、レストランに会社、デートでのローライズの白パン、超ミニスカふうのボディコン、白いワンピースの超ミニスカ、バストを強調のワンピースで迫るが、いつもの豊乳よりも長い脚の魅力を満開で視線を奪う。マイリーン・ディゾン、アンジェルー・デ・レオン、ＬＪ・モレノに色っぽいシチュエーションはなく、デシリー・デル・ヴァリエはディスコのステージではじけてミニスカで踊る。目元のメイク・アップを崩して泣くシーンもなかなかだが、個人的にはＬＪ・モレノがもっとも好みになる。またリア・ガルシアが美人でぞくぞく興奮をくれるも、水着の上に薄い生地の青いワンピースをはおっていて残念。ドリスが場違いな赤いワンピースのドレスででかける水着パーティーには小さな海パンの男やビキニの女が歩き、プールからザバッと濡れてあがり、プール・サイドに座る大胆ビキニの女性は女優名が不明ながら、主演者にサラ・パルヴァリニとの名前が読めて、はっきりしないも、セクシーな役をこなすサラ・ポルヴェリニかもしれない。