ＳＰＩＲＩＴ　ＯＦ　ＴＨＥ　ＧＬＡＳＳ
　
04年：カナリー・フィルムズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：リカ・ペラレホ
　　　 マーヴィン・アグスティン
　　　 ディンドン・ダンテス
　　　 アレッサンドラ・デ・ロッシ
　　　 パオロ・コンティス
　　　 シアラ・ソット
　　　 ドルー・アレリアーノ
　　　 アナ・カプリ
　　　 マーク・ヒル
　　　 ジェー・アキタニア
　　　 ジェーク・クエンカ
　リカ・ペラレホ主演のホラー映画。ホセ・ハヴィエール・レイエスがいかに恐怖を盛りあげるかだが…
　マーヴィン・アグスティン演じる青年が、ディド・デラ・パズ演じる男の指示で拷問をうけるのが冒頭。マーク・ヒル演じる主人の命令によって、生きたままマーヴィンが木箱に入れられ、埋められるのを、アーチー・マシバイ演じる領民が呆然とながめる。激しい雨が降る中、アーチーが日本の時代劇でみるのと同じ蓑を着ているのが興味深い。
　舞台が現代に移り、リカ演じるヒロインがディンドン・ダンテス演じるボーイ・フレンド、ジェー・アキタニア演じる兄などとボラカイへの旅行を計画するも、チケットがとれず、バギオにある自分の旧家を訪ねることにして本筋が始まる。古い屋敷にはアントネット・ガルシア演じる使用人とともにクリス・ダルス演じる老人の管理人がいて、クリスがアーチーのその後とわかる。まずシアラ・ソット演じるリカの友人が複数の肖像画がかかる屋敷を気持ち悪がり、全体に奇妙なムードが漂う。アレッサンドラ・デ・ロッシ演じるメンバーの一人が棚から文字盤をみつけ、交霊の道具だとわかってクリスがとめるのも聞かず、全員でこっくりさんをすると、霊が降りてくるがごとき現象が起きる。以来、マニラへ帰るとマーヴィンの亡霊が姿を現わすようになり、パオロ・コンティスやドルー・アレリアーノが演じる男たちが異常を感じとる。リカがろうそくを並べた階段をおりてきて、マーヴィンと会うフラッシュの悪夢をアレッサンドラが体験して驚く。ディンドンがリカを撮った写真に霊が写っていることに気がつき、実際にリカがマーヴィンの霊を目の当たりにする。メンゲー・コバルビアスとレダ・ベルトラン演じるリカの両親はバギオいきを心配していたのだが、メンゲーの説明でリカがロリー・マラ演じる祖母の存在を知り、過去が明らかになる。ロリーが姉の写真をだすと、これがリカに瓜二つ。マーヴィンと結婚を約束したそっくりさんのリカは、兄のマークによる猛反対の結果、マーヴィンを殺される。さらにアナ・カプリ演じる霊媒を雇い、儀式をおこなって絶望のリカがマーヴィンを追って自殺した事実が暴かれる。
　要するにかつての恋人の生まれ変わりがいて、さまよえる霊がそれにとりつく話。まったくありきたりなレヴェルの内容にとどまり、脚本を兼ねたホセには、もっとアイディアがほしいなあと不満をぶつけたくなる。丁寧に描くのは好印象ながら、かえって冗長でつまらなさを招くばかり。思わせぶりなラストも常套手段を脱せず、ほとんど恐怖を導く以前の問題にとどまる。
　残念。
　ただし黄ばんだ写真に刻まれたマークたち領主の印画が、リカの顔だけ引っかき消されたものを含み、スペインふう衣装なのがフィリピンの文化をにおわせ、首吊りロープの下でリカがろうそくをともして祈る映像が視覚的な刺激にあふれ、さすがはホセらしい長所がうかがえる。リカとシアラの会社の上司がジョージ・リム演じる中国系なのもうなずける点。
　それで大ファンのリカの魅力はどうかだが、バギオで「泳ごう」との男たちの台詞が聞かれるのに、水着がなくて落胆が先行する。カメラマンのディンドンの被写体になるところでも、水着がほしいなあと注文をつくたくなる。濃いピンクのピタパン、薄い紫の光沢パンツ・ルックは色っぽいが、夢の中の階段をあがるショットで、せっかくミニスカをお尻からとらえるにもかかわらず、チラリズムを欠くのは本気でがっくり。だったらピタパンで歩いたほうがそそったに違いない。目がさめて我に返ったときの下着も露出の少ないタイプで、リカのセクシーさは爆発しないままに終わっている。
　アレッサンドラも同様に、悪夢で飛び起きた際のスリップが挑発を抑えたものだから、さっぱり萌えないじゃないか。リカ、アレッサンドラともども、本作公開とほぼ同時期におこなわれたＵＮＤＥＲＳＴＡＴＥＭＥＮＴのイヴェントではみごとな下着のボディーを披露していて、期待したのになあ…
　あとシアラは可もなく不可もなく、アナは霊媒師がいかにも適役。ロリーの若いころを演じたジル・ユーロがエキゾティックな容貌の、じゃっかんかわいい雰囲気だった。