ＳＯＮＮＹ　ＳＥＧＯＶＩＡ　　ＬＵＭＡＫＡＤ　ＫＡ　ＳＡ　ＡＰＯＹ
（ソニー・セゴヴィア　火の中を歩け）
　
98年：リーガル・エンターテインメント
監督：ホセ・Ｎ・カレオン
主演：マーク・アントニー・フェルナンデス
　　　 ジゼル・トエンギ
　　　 アルマ・モレノ
　　　 ダン・フェルナンデス
　　　 ロイ・アルヴァレス
　　　 マイク・ガヨソ
　　　 アイラ・マリー
　裸足で焼けた石の上を歩く火渡りの行事が登場するトップ・シーンが小気味よいＢ級アクションを予感させるものの、最初に実も蓋もないいいかたをすると、駄作である。
　主役のマーク・アントニー・フェルナンデスがどこかひ弱く、みていてハラハラさせるあたりは配役の妙だが、ダン・フェルナンデスやマイク・ガヨソなどひとくせもある悪役陣の前では演技的に食われてしまっている。アクションも平凡で、火炎ビンで酸素ボンベを爆発させるシーンなど、ワイヤーで吊った合成で頑張っているとはいえ、いつもながらのドンパチ主体でパッとしない。これは監督のホセ・Ｎ・カレオンの責任だろう。
　それに楽しみにしていたのは美人のＧ・トエンギがヒロインを演じることだが、せっかく人気モデルという役がらなのに、ゴルフや乗馬で撮影する設定があるものの、せめて水着ぐらいは披露してほしかった。マークとのベッド・シーンでもヌードにならないまでも、もう少し露出があってもよいのでは。
　物語はロイ・アルヴァレス扮するＧの父親が、娘の将来を案じてマークとの交際を禁止する。マークがそれを断ったので、手下たちに焼きを入れてやれと誘拐のうえに監禁。マークの脱出工作から銃撃戦になり、Ｇが殺されてしまう。なんと映画の最大の興味のポイントであったＧが、まだ半ばでいなくなるという意外すぎる残念さ。
　あとはどうでもいいやと思うのだが、まあ最後までつき合おう。
　ロイにすれば自業自得ながら、犯人と思いこんだマークを追いつめるように命じる。ようは冤罪をはらす物語で、最後に誤解が説けてマークとロイが和解するのはいうまでもない。でも死んだＧは戻らないので、どこかすっきりしない結末。もっと暴力に対する批判があってもいいような気がするし、そういう視点に関心を示さないので、薄っぺらな印象を与えるのだろう。
　困ったものだ。
　なお主人公の妹役でアイラ・マリーが出演しているが、いつものセクシーさはまったく陰をひそめ、最後まで清純さを通していて、これはこれでかわいいから魅力的だなと思う。