SOMEWHERE
84年:VIVAフィルムズ
監督:ロミー・スサラ
主演:ルディー・フェルナンデス
ロルナ・トレンティノ
ジョニー・デルガド
アルミダ・シギオン・レイナ
レロイ・サルヴァドル
デボラー・サン
マイケル・デ・メサ
デンショ・パディーリア
ボンバー・モラン
ロベルト・タラビス
マニー・ルナ
イッダ・ヤネサ
ミュージカル『ウエスト・サイド物語』にある『サムウェアー』を主題歌にするアクション映画。ロルナ・トレンティノが人気歌手を演じ、刑務所を慰問の冒頭でこの曲を歌う。ルディー・フェルナンデス演じる囚人の一人がロルナに一目ぼれし、そんな彼をからかってケンカを売ったボンバー・モラン演じる仲の悪い囚人を刺殺。ルディーの脱獄を聞き、レロイ・サルヴァドル演じるロルナの父が警察の大佐で、ロルナにボディー・ガードをつけるとの展開。
アルミダ・シギオン・レイナ演じる母がレロイとしっくりいっていないなど、ロルナの決して幸福でない家庭事情とともに、ルディーがデンショ・パディーリア演じるかつての相棒を頼り、デンショとかたい友情があるも、イッダ・ヤネダ演じるデンショの妻がうるさいオバンなのがフィリピンっぽく、主人公をかこむ環境設定の描きかたがまずまず。でもロルナのコンサート会場へルディーが現われ、入場料金はどうしたのとの疑問を抱かせるうえ、あとから連絡を受けて警察がやってくるから、入り口でチェックしなかったの、みたいなマヌケさがあきれを呼び起こす。カルロ・J・カパラスによるフィリピノ・コミックスが原作ながら、ホセ・N・カレオンとオルランド・ナドレスの脚本がうまくない。マニー・ルナ演じる刑務所での同僚に誘われ、ルディーがシンジケートの現金輸送車襲撃作戦に参加し、ジョニー・デルガド演じるボスが実行犯たちを始末する中、ルディーだけ逃げるのはありきたりなご都合主義。ルディーがデンショとカネを奪い返す際、たまたまロルナが巻きこまれる強引さにも、もっと納得のいく説得力がほしかった。
しかも隠れ家でルディーとロルナが愛をはぐくむ後半が極端につまらなく、ただただ退屈。ロミー・V・スサラの演出がテンポの意識ゼロじゃないかとバカにしたくなるほどのもので、アイク・ハルレゴ・ジュニアの編集が冗長さに輪をかける。クライマックスの銃撃戦のみせかたがまたパターンの枠をでず、アイディアなしにもほどがある。
ホント、始末におえない駄作といった感じ。
一応、ロルナにセクシーな要素を含み、ルディーが獄中でロルナとのロマンスをイメージするとき、湖からザバッとビキニのロルナを抱きあげるも、遠景だからぼんやりとしかうかがえない。カゼをこじらせて寝こみ、ルディーが看病した朝、ロルナはハダカの設定だが、ボディーをシーツで隠したまま。池で泳いでいるのをルディーにみつかり、ルディーが気をきかせて去るシーンでは、不安そうに水の中につかり、結局、外へでずじまい。セックスでの露出不足は、ほとんど指摘以前の問題。ジョニーのアジトでプールへ飛びこんだり、ジョニーをマッサージしている紐ビキニの女性のほうがそそるくらいで、まったくお申し訳程度なのがさみしい。『KILLING ME SOFTLY』のレコーディングにいたるまで、歌のところで口パク丸わかりなマイナス面もあって、ロルナの魅力は失格の内容。
ロルナの友人を演じるデボラー・サンがちょっとかわいいながら、顔みせほどの役だから、女優を楽しむとの視点すら欠く。
まあ、個人的にルディーがカッコいいかと問われれば、さてさてと首をひねるわけで、どーしょーもないのは当然。それでもジョニーの部下の一人を演じたキング・“ロハク”・グチェレスが坊主頭で個性を際だたせ、けっこうな印象を残す。
ま、赤点ギリギリ寸前との評価に底あげしておこう。