ＳＩＮＧＬＥＳ
　
04年：リーガル・エンターテインメント
監督：マック・Ｃ・アレハンドレ
主演：アラ・ミナ
　　　 オーブリー・マイルス
　　　 エンジェル・ロクシン
　　　 ジェー・マナロ
　　　 オヨ・ボーイ・ソット
　タイプの異なる三人の女性の生きかたを描く作品で、またかというか、何というか、相変わらず底の浅い、ドラマと呼ぶ以前のストーリーを繰り広げる。その内容的進化のなさに、フィリピン映画におけるダーウィン無関係論をとなえたいほど。
　でもアラ・ミナの主演だけに、これは見逃せない。
　つまり自分も、進化しない人間ということになる。
　なんて話はさておき、オーブリー・マイルスとエンジェル・ロクシンが共演し、タイトル・バックでさっそく水着姿の披露がうれしい。太めのアラはビーチをかけるとバストがゆさゆさと揺れ、完全にあとの二人を圧倒している。後半にもう一度、水着のシーンがでてきて、黒い紐ビキニのアラは豊満なオッパイを小さなブラで包み、キュートなお尻にパンティーが貼りつき、海岸を歩く姿によだれタラタラを招く。さすがのオーブリーも、青いセパレーツがみおとりするばかり。エンジェルは二タイプともボトムがホット・パンツ型で、挑発に欠ける。
　ほかに全編で下半身にフィットした黒、赤、うす緑、白、紫、ベージュのピタパンがそそるうえ、黒、紫のスリップによる下着姿もでてきて、控え目な露出ながら、アラ、素敵。
　オーブリーも黒いホット・パンツで色気をだし、ジェフリー・ヒダルゴ演じるナンパした男とのベッドで大胆な黒いビキニ下着にまでなって愛撫を展開するも、ギリギリでオッパイをださないのが残念。アラならカルロ・マセダやクリス・クルース演じる男たちに洗面所や車の中で迫られ、オッパイがみえないのに不満は不満だが、まだ存在の魅力で納得を得るとはいえ、オーブリーはヌード以外にとり得がないだけに、こりゃダメよ。
　エンジェルはオヨ・ボーイ・ソット演じるボーイ・フレンドにホテルへ連れこまれ「童貞だ」と迫られるシチュエーションで、脱がないのは予想の範囲内ながら、せめてチラリズムくらいほしかった。
　というわけで、アラ以外、女優の魅力もイマイチの駄作。
　まあ、オーブリーとエンジェルが姉妹で、アーミー・オーストリア演じる母が美容院を開いていて、アーミーの達者な演技ぶりはさすが。ジェー・マナロ演じる男がアラを口説き、実はピンキー・アマドール演じる妻がいて、アラとピンキーの間を優柔不断に動く中、Ｙシャツ一枚のピンキーが現われるのは、熟女のセクシーさを放つ。エドウィン・レイエス演じる父とアラが会うとき、エドウィンの後妻を演じるジャッキー・カスティリエホは、単にいるだけの印象。
　内容についていえば、一応、興味深い点をいくつか含む。アラは学生時代の十七歳にカルロと子どもをつくり、アンジェリ・ゴンザレス演じる娘がカルロになつくのを怒るとき、カルロがカナダ帰りなのがフィリピンっぽい。縫製工場を経営し、ベアウィン・メイリー演じるアシスタントはオカマで、ホモの恋愛に悩んでいる。中国にオーダーを奪われて工場が経営ピンチに陥るあたり、フィリピン経済の現状を暗示する。
　セックスにどん欲なオーブリーは、メンゲー・コバルビアス演じる中年オヤジまで誘惑し、ジョシー・タグレ演じるメンゲーの妻がアーミーの店へ石を投げるのがありがち。バーでモーションをかけた相手が警察だったため、売春容疑で逮捕は、ホンマかいな。グレン・ディゾン演じるジェーの友人の医者と結婚のオチが、ちょっと皮肉かな。
　エンジェルはカネ持ちと一緒になる計画をたて、スポーツ・カーに乗るオヨに高級住宅街の前まで送らせるなど、見栄を張る。この手の進めかたは、オヨも体裁をつくろっていると相場が決まっているもので、結局はカネじゃないと愛を選ぶのがパターン。
　アラの部屋に金の仏像など、東洋趣味のインテリアがあるのは、やや視線を奪う要素。
　とにかく、しょーもないながらも、アラが顔にパックをぬったまま泣くショットなど、コミカルな面もあって、アラ・ファンには嬉しい一編といえる。
　だからこそ、ホント、進歩しないな。