ＳＦＸ　ＲＥＴＡＬＩＡＴＯＲ
　
87年：シルヴァー・スター・フィルム・カンパニー
監督：ジョン・ゲール（ジュン・ガリアールド）
主演：クリス・ミッチャム
　　　 リンダ・ブレアー
　　　 ゴードン・ミッチェル
　　　 デーヴィッド・ライト
　　　 クリスティン・ランドスン
　ジュン・ガリアールドがジョン・ゲールの名義で監督の作品で、クリス・ミッチャム、リンダ・ブレアーの主演にくわえ、ロケがフィリピンじゃなく、フィリピンの助演陣がまったく登場せず、もはや合作というよりも完全なアメリカ映画に分類かもしれない。実際、ＩＭＤｂにはアメリカ映画とある。
　ロバート・マンデルの『Ｆ／Ｘ　引き裂かれたトリック』にヒントを得た企画に違いないも、できあがりの差はあまりに明らか。
　否定的な意味で文字どおり、ないないづくしのオン・パレードになる。
　とにかく組織のボスのモーガン（ゴードン・ミッチェル）と、ライヴァルのマッシーニ（デーヴィッド・ライト）の対立を背景に、組織のカネを盗んだドリス（リンダ・ブレアー）が通りすがりのスティーヴ（クリス・ミッチャム）に助けを求めるとき、ドリスが機関銃で撃たれ、スティーヴの車もヘリコプターで狙撃されるのに、スティーヴが警察に通報するわけでなく、あっさりドリスと別れるきっかけに説得力がない。映画の特殊効果マンのスティーヴが爆破を担当のヴェトナムものらしき撮影で、監督の適当さをはじめ、現場の雰囲気がない。ドリスの親分であるマッシーニの手下たちがスティーヴの家を襲撃において、さながらトリックとおぼしきスティーヴの自宅が安手のお化け屋敷も同然なのに、手下たちのおびえて撤退にバカバカしさしか起きない。マッシーニ宅に侵入でスティーヴがドリスをら致が容易すぎるなら、モーガンにつかまったスティーヴの妻のケート（クリスティン・ランドスン）が色仕じかけで逃亡未遂が簡単の上塗りで、カリカチュアのコメディーもどき程度にリアリティーがない。マッシーニからカネを奪ってスティーヴが屋敷へとどけ、モーガンがあっさりとスティーヴにケートを返すあたりに犯罪シンジケートのらしさがない。スティーヴの車とゴードンの手下の車のカー・チェイスでスティーヴの車にいろいろと兵器が仕こんであり、さながらボンド・カーかと思わせるも、ちゃっちくて子どもだましもかわらない。ゴードンに買収される悪徳警官のライリー（デーヴ・ペタースン）につかまったスティーヴをケートが警察署へ救出に向かい、偽の爆弾をうまく使うが、あとの爆弾の始末がいい加減で、プロの処理班が出動もせず、とても警察っぽくない。スティーヴの車の転落を追跡のパトカーが現場検証なく帰り、さらに警察がマヌケにしかみえない。ゴードンのマッシーニ殺害があっけなく安易なのに、ゴードンの手下たちがスティーヴとケートをつかまえることができずにゴードンが怒るや、自らケートが入院の病院へ殺害に向かい、スティーヴに銃をとられ、もはやボスの威厳がない。ケートを殺されたスティーヴが戦車をつくってゴードンの屋敷を襲撃で、マネキンの兵士が横にくっついているのに笑いが起きるも、ゴードンが「戦車はオモチャだ」とあきれるが、ゴードンの手下たちの全滅にご都合主義しか感じられない。スティーヴの弓の銃や遠隔操作の銃の使用は、それを使う必然性の状況がない。少女時代に両親を惨殺のゴードンに対し、ドリスが「もがき、苦しませたい」といっていたが、復讐とはそういうもので、あっさりスティーヴがゴードンを砲弾で吹っ飛ばすラストにカタルシスが解消せず、すっきりしない、といったいいくつないを並べたことか。
　ほかにもマッシーニがプール・サイドでドリスをマッサージにリンダ・ブレアーが青いワンピースの水着を披露や、スティーヴとケートのセックスでクリスティン・ランドスンがオッパイを丸だしに乳首をみせるも、ともにブスだからときめかない、などいくらでもないを追加で指摘できて、しょうもないの見本。
　ジュン・ガリアールドの本気度を探りたくなる。

※　この作品は『ＳＦＸリタリエーター』の題名でヴィデオ発売されたことがある。