ＳＥＸ　ＳＣＡＮＤＡＬ
　
03年：サクラメント・フィルムズ
監督：フランシス・“ジュン”・ポサダス
主演：イサベラ・ゴメス
　　　 ダンナ・ガルセル
　　　 アン・ボロメオ　（ニカ・マドリッド）
　　　 アレン・ディゾン
　　　 ジェラルド・ラウロン
　　　 ＪＰ・オブリガション
　ハメ撮りヴィデオが巻き起こした騒動を描く作品。冒頭に「似たキャラクターがいたとしても、単なる偶然にすぎない」との断り書きが入るので、実際にあった事件をモデルにしたのかもしれない。
　アレン・ディゾン演じるカメラマンが精神病の父の治療費などカネの必要に迫られ、クレム・フェルナンデス演じるポルノ業者からの制作依頼を引き受ける。それでイサベラ・ゴメス演じる自分の恋人、アン・ボロメオ演じる結婚を間近に控え、式のヴィデオ撮影を請け負っている友人、ダンナ・ガルセル演じるミス・ユニヴァースへの出場を夢みている女性の三人を巧みにだまし、セックスを盗撮する。『ＢＯＳＯ』（のぞき）と名づけて販売するや、空前の大反響。三人は絶望のどん底へ叩き落されるも、いつしか連帯意識が生まれ、アレンを告発とのストーリー。
　ジョニー・ヴィカール演じる父が盗撮を楽しんでいて、オリーヴ・マドリデホス演じる母を苦しめた少年時代のアレンの記憶を盛りこむとはいえ、後半に自らのセックス映像をみながら高笑いし、撃たれて流れた血をなめるなど、ほとんど狂人同然。このキャラクターづけの極端さが、まったく説得力を欠いたといわざるをえない。ジェラルド・ラウロン演じるダンナの恋人にアレンが射殺される終わりかたも、ドンパチでハデさをプラスしたかった狙いにしか思えず、相当にダメな構成。
　いっけん社会派ドラマのようでいて、ようするに形だけじゃないか。
　どことなく韓国でセンセーショナルな話題を呼んだペク・チヨンのセックス・ヴィデオ流出スキャンダルを連想するも、ネットではなく、ＶＣＤの販売で広がっていくのがフィリピンっぽいところ。スーザン・バウティスタ演じる女性警官（本物のＳＰＯ）がポルノによる人権侵害を記者会見で訴え、未許可ヴィデオ販売店を強制捜査し、次々とＶＣＤを押収していくシーンからは、この作品だってセミ・ポルノみたいなジャンルだから、フランシス・“ジュン”・ポサダス監督などスタッフの自己矛盾を読みとる。
　まったく、しょーもない。
　それでも興味深い要素はあって、ＪＰ・オブリガション演じるアンの婚約者がやたら処女にこだわっていて、ヴァージン好きの存在をうかがわせる。イルマ・アドラワン演じるミスコンの内情を知る女性がダンナに「セクハラがあるよ」などと語っていて、美人コンテストのウラを暗示するとともに、アレンがダンナに「オフィシャル・フォトグラファー」といって接近し、セックスを承知させるのがさもありなん。ニコラ・ロサ演じるイサベラの弟が友人たちと『ＢＯＳＯ』を見はじめると、映っているのが姉とわかり、みんなからからかわれるのだが、こんな未成年にポルノを売るから、摘発を受けるのよ。家の前でイサベラを見かけると、男たちがハダカをイメージするような視線を送るのは、男のスケベさの真実をついている。三人の女性の後日談を示すテロップで、イサベラが看護婦になってアメリカへ行っているのは、いかにもフィリピン社会。アンがＮＧＯ活動してるのは、ホントにモデルがいるの？　といったあたりに好奇心がわきあがる。
　もちろん、一番の期待はイサベラ、ダンナ、アンの露出になり、こちらはほぼ文句なし。イサベラはアレンに写真を撮られる際に緑のビキニでおいしそうと刺激のあと、シャワーを浴びながらのセックスを盗撮されるとき、全裸のボディーがみごとなこと。真横からのボディー・ラインや、隠しカメラのアングルで斜め上からとらえたお尻の形、海老ゾリのかっこうでのオッパイなど、ほとんど燃えつきそう。ダンナは水着撮影で赤いビキニ、水色のビキニ、青いビキニと水着でプロポーションのよさを強調し、ブラの中に手を入れたりのポーズが挑発的。セックスになってブラをはずしたトップレスの瞬間は、まさに鼻血もの。アンは最初のＪＰとのセックスでブラから張りのよさを強調のあと、アレンにレイプ同然で犯されるも、騎乗位に転じる盗撮シーンで揺れるオッパイがエロティックすぎる。ＪＰから破談を宣告されるベッドでは、しばらく正面から堂々のオッパイ丸だしで、驚くほど理想的なまでの美乳であることか。ピタパンに浮かぶ下半身のラインなど、脱いでなくてもビンビンを呼ぶ。容貌的には三名とも美人だし、個人的にも大好きな特級フェイスともいえるので、もう、まさに、こんなミス・ユニヴァース級のハダカをおがめるのだから、フィリピン映画というのはありがたい。
　欲をいえば、アレンと未練が残るイサベラのセックスで、もっとパンティーを大胆にはぎとられてほしかったし、ダンナがジェラルドとよりを戻すセックスで、くっきりと全裸をさらしてほしかったところ。
　あとクレムのポルノ撮影現場で、シンディー・マノ演じる女優ではなく、カルヴィン・セクト演じる男優のお尻がみえているのはゲーッ。ジョニーが盗撮する相手のラヴ・グチェレス（？）が素っ裸で逃げるのは、オマケ程度の扱い。
　考えてみれば、自分だってイサベラ、ダンナ、アンのヌードしか楽しんでいないわけで、社会派や人権がどうしたなんて、一切関係なし。
　映画評だなんて、エラそうな発言はできんな。