02年：グッド・ハーヴェスト・アンリミテッド
監督：ホヴェン・Ｍ・タン
主演：レスター・リランサン
第一話
ＢＡＬＩＧＴＡＲＡＮ
（立場の転換）
主演：バルバラ・ミラノ
リチャード・クアン
マリア・イザベル・ロペス
ダニー・ラモス
ニッカ・ヴァレンシア
ステラ・Ｌ
ジョセリン・ロメロ
第二話
ＬＯＮＧＧＡＮＩＳＡ
（豚肉ソーセージ）
主演：ピアール・ミラソル
アナ・カプリ
ジョン・アパシーブレ
マルクス・マドリガル
キンバリー・ディアス
第三話
ＧＡＮＧ ＲＡＰＥ
主演：ハリーナ・ペレス
ピンキー・アマドール
パウロ・リヴェロ
タブロイド紙に掲載されているセックス・ファイルこと、男女の色恋沙汰による犯罪記事をモデルにした作品。実際にあった内容を映画化したのかどうかは、定かでない。
三話構成のオムニバスで、エストレリア・クエンスレル演じる祖母の店でタブロイド紙を売っているレスター・リランサン演じる少年が一応の案内役。それぞれのエピソードの主人公たちはレスターから新聞を買ったりするから、接点となるポジションにもいる。プロローグで店へきて騒ぐマルー・クリソロゴ演じるおばさんは、第二話で囚人と女性の仲を取り持つ重要なからみかたをするうえに、第三話のラストでは、ゴミ捨て場にあがった死体をレスター、エストレリア、マルーや、さらに各話のメイン・ロールであったバルバラ・ミラノ、ピアール・ミラソル、ハリーナ・ペレスがながめていて、同じエリアの出来事でもある。構成上の面白さを狙ったのだろうが、それだけセックスがらみの犯罪が日常茶飯事だと強調したとも考えられる。
第一話はバルバラ演じる妻の物語で、リチャード・クアン演じる夫と夜の生活を持てないでいる。ニッカ・ヴァレンシア演じる妹が、ジョセリン・ロメロ演じる女友だちとレズらしい事実を知るも、自分だってステラ・Ｌ演じる親友にときめきを感じる。そんなときリチャードが、ダニー・ラモス演じる一緒に体を鍛えている仲間とホモとわかり、それぞれが同性愛の道を歩む決心をする、という展開。
語り口のテンポがよく、まずはあきさせないあたりを買う。
第二話はアナ・カプリとピアール演じる姉妹の物語で、アナが更生を助ける活動で行った先の刑務所で紹介されたジョン・アパシーブレ演じる男と恋仲になる。ジョンには田舎にキンバリー・ディアス演じる妻がいるものの、出所するやアナと同棲。一方でアナは妹のピアールがマルクス・マドリガル演じる学校の先輩とつき合っているのを責め、マルクスに手切れ金を渡して別れさせる。それでピアールがジョンを誘惑し、キレたアナがジョンを刺殺、という展開。
あまりにもフィリピン映画によくある、愛欲のもつれが引き起こす殺人劇と変わらない点がイマイチなものの、アナが家内製手工業的な腸詰製造所を経営していて、肉をミンチにしたり、中を洗った腸が吊るしてあったり、その生産描写に好奇心がわく。こんなふうにつくってるんだ、という感じ。
第三話はハリーナ演じるセックス好きの不良少女の物語で、ピンキー・アマドール演じる姉の心配や忠告も聞かず、遊びほうけている。でもたまたまナンパしたパウロ・リヴェロ演じるシャイなイメージの男が、実はすごいワルで、ハリーナを集団レイプの餌食として売る。ハリーナはボコボコにされるも、かえって反省してよい子に戻るのだが、ハッピー・エンドとはいかない。ピンキーがパウロたちを警察に訴えるも、証拠不十分で釈放され、反対に殺される、という展開。
二回も殺人というネタを取りあげたのがくどいうえ、あと味がすっきりしない作品である。
ホヴェン・Ｍ・タン監督は複数の人物を同列に扱って物語を進める手法が好きながら、今回は同時進行でなく、独立して併記の形で序破急のような効果を狙ったと推測する。でもあとへ続くほどに、イマイチ盛りさがっていくカーヴを描いてしまったようだ。
女優の魅力については、好みのタイプの顔合わせで期待させたのが、最初の挿話。バルバラはリチャードとセックスできないベッド・シーンで、ドバッとオッパイを丸だしにし、ウーン、キュート。
ステラとの女同士のキスもドキドキの興奮だが、ついにステラが脱がずじまいなのは、いささか肩すかし。美人なのに。
ピアールはマルクスにホテルへ連れこまれたときと、ジョンを挑発する設定での二回の、合わせて三度ある黒いブラのバストが刺激的。とくにスカートも脱いで黒いパンティーになり、ベッドに寝ているジョンの上に乗るところがビンビンもの。うしろ姿でブラをはずし、オッパイがジョンの体をこするアップでは、乳首がみえるか、みえないかの寸前なのがゾクゾクッとそそる。ジョンがパンティーをめくって、お尻の割れ目を舌でなめるショットにも驚嘆。ただしジーンズのホット・パンツで迫るシーンでは、ヘソにピアスをしているのがあらわになって、ピアールったら、いつの間にそんなものつけたの、と減点よ。
アナはジョンとの刑務所内でのセックスが蚊帳の奥からうっすら浮きあがる表現だったり、ピアールにのぞかれるときのセックスがすりガラス越しのシルエットだったり、普段の大胆さがなくて、アレッ。
欲をいえば、キンバリーにも色っぽい描写がほしかったところ。
ハリーナは車の中、トイレの個室、屋外、と淫乱ぶりを強調するようなセックス・シーンが用意されているものの、いずれも露出なしでイライラさせたが、まわされる強姦の場面となるや、オッパイを惜しげもなく披露してくれる。ウワッ、スゲ！ もてあそばれたあとに全裸で横たわっているボディーにもビンビン。
ファンであるピンキーに、まったくドキドキのシチュエーションがないのは残念。
全体的には予想したほどのヌードは登場せず、物足らない印象だった。
