ＳＥＴＨ　ＣＯＲＴＥＺＡ
　
95年：リーガル・フィルムズ／ロナルド・ステファン・モンテヴェルデ・プロダクション
監督：エフレン・Ｃ・ピニョン
主演：エース・ヴェルヘル
　　　 ジョアンヌ・キンタス
　　　 ベルナルド・ボニン
　　　 カルロス・パディーリア
　　　 アマド・コルテス
　　　 ルイス・ゴンザレス
　　　 シルヴィア・サンチェス
　　　 カルロス・サラザール
　　　 ジョージ・エストレガン（ジュニア）
　　　 ジョン・カルデル
　　　 ルエル・ヴェルナル
　ストーリー・テリングの面白さでみせるＢ級アクションで、これくらいの水準なら合格と感じる。
　麻薬シンジケートのボスをガードした父を取り引き中に殺され、エース・ヴェルヘル演じる影の男が復讐していく展開。エースにはジョージ・エストレガン、レーモンド・キアヌー、シルヴィア・サンチェスなどが演じる仲間がいて、鮮やかなティーム・プレーぶりがフィリピン映画にあって、意外な印象。田園風景の田舎に一族郎党が存在し、どこかファミリー意識がシシリアン・マフィアものを彷彿とさせる。
　相手のメンバーを次々と処分する中で、ルエル・ヴェルナル演じる裏切りの元凶には、秘密をしゃべらないならと口を縫いつける拷問を敢行。唇に針を刺して糸をとおす残酷さが迫力を呼ぶ。レストランでオレステス・オヘダ演じる仇を射殺するときは、仲間の役割分担に感心。ルイス・ゴンザレス演じる偽善の皮をかぶった有力者には、新車が賞品のイヴェント開催中に襲い、ルイスが新車に乗って逃げるのを追いつめ、十字路で四方から激突してボコボコにつぶす。ほかにも博物館へバイクで突入したり、高速道路を逆走のうえに対抗レーンへ突っこんだり、屋敷を丸ごとふっ飛ばしたり、そこそこアイディアを盛りこんでいて、ハデさもたっぷりだから納得。
　ジョーイ・ガルヴェス演じる市長がグルで、ジョーイが青年好きのホモなのは、風俗的興味をプラスする。
　一方でアマド・コルテス演じるシンジケートの犯罪対策に熱心な上院議員が登場。ジョアンヌ・キンタス演じるアマドの娘が誘拐されそうになったのを、偶然エースが助ける。ボディー・ガードに雇われ、あやうく正体がバレるピンチを用意しながらも、エースとジョアンヌの間に愛が生まれるのはいうまでもない。
　再び銃撃を受けた際、ジョアンヌが恐怖を起こすのではなく、興奮している心理は、ちょっと無理があるかな。
　ザンドロ・ザモラ演じるアマドの秘書が殺され、ザンドロの資料から謎の人物の存在をアマドが知ると、エースが自分だと告白。アマドとの裏約束でワザと犯罪を実行し、そのカネでジョニー・ヴィカール演じる麻薬警官を処分するなど、いささか強引な部分が目立つのは事実。
　正体を教えられたジョアンヌが冷たく接するのは当然だが、もっと目的利用のために自分へ近づいたのかも、と悩んでもよいはず。
　まあエースの顔がついにマスコミ報道となり、事件解決後にエースが始末されるも、実は…　のラストまで、エフレン・Ｃ・ピニョンの語り口はうまさ十分。
　けっこう買えるでき、と評価したい。
　もっともジョアンヌからセクシーさを奪った点は、期待していただけに残念。シルヴィアもキビキビした動きでクールにアクションを披露するだけでなく、色仕かけで作戦を遂行するシチュエーションがほしかった。あとルエルに処女を奪われる女性は、セックスでオッパイをみせないままに終わっている。唯一、ウハウハと視線を奪ってくれたのは、オレステスの自宅でプールからあがり、たっぷりと濡れたワンピース水着からバツグンのプロポーションを浮きあがらせる美女。配役表がないので女優名がわからず、ナティー・マリアーレス、カロル・ポブレ、ダイアン・エスパノ、ビン・ラクサマナのうち、この美女の名前を誰か教えてくれー。