ＳＥＲＯＫＳ
（コピー）
　
06年：シネマ・ワン・オリジナルズ／レッジ・プロダクションズ／ナショナル・コミッション・フォー・カルチャー・アンド・ジ・アーツ／ヴァイタル・ストラッツ・クリエーティヴ・ソルーションズ／アモル・オラガー・プロダクション
監督：エド・レハノ
主演：ジュリアナ・パレルモ
　　 　ニール・ライアン・セセ
　　 　マリア・イザベル・ロペス
　ディジタル作にはどうもインテリの頭でっかちな内容が多いようだ。低予算で制作できるうえ、興行成績や視聴率のための商業的制約、スポンサー的制約が少ないせいかもしれない。
　エド・レハノはフィリピン大学の映画の教授だそうで、アートふうになるのは当然といったところ。
　ビコールからマニラへでてきたミナ（ジュリアナ・パレルモ）を中心に、数名の人間模様を描く。頼っていたボーイフレンドのボン（ローレン・ノヴェロ）がギャンブルの借金をつくり、クラブのオーナーであるチャーリー（ゲーリー・コルネホ）から命じられたダンサーのスカウトなのに失望し、同じく頼るはずの叔母のオデット（ミス・マヤ）は、亡くなった夫がミナへ欲望を抱いていたため、冷たく拒絶の態度をとる。カネもちのアンジェロ（モン・コンフィアド）の愛人だった過去があるが、自分といた部屋でアンジェロが謎の飛び降り自殺をとげたことを引きずっている。ホアキン（ソリマン・クルース）がオーナーのコピー・ショップに二階部屋があり、ここを間借り。店には日本へ働きにいった妻のヴィオリー（カシー・パミントゥアン）の残した犬をかわいがるリト（ニール・ライアン・セセ）と口のきけないイペ（アルクリス・ガルーラ）がつとめ、犬が死んだのでリトが動物の葬式をおこなう。部屋に小さな穴があいているため、紙を張ってふさいでほしいと頼んだのをきっかけにミナとリトが親しくなるも、父の危篤の知らせを聞き、いったんリトが故郷のダヴァオへ帰る。これにマレーシアからきたムスリムのラジッド（ラモン・バウティスタ）と、ラジッドにいいよられるも、日本へいく費用ばかりを考えて売春に走るレジ係の店員のライカ（ミスティカ）、役者志望のシモン（ジャル・チョドフリ）などが周囲をうろつく。アンジェロの銀行口座が凍結で困るミナの前にアンジェロの妻のフォーチュン（マリア・イザベル・ロペス）があらわれ、アンジェロの部屋へピストルを片手に迫り、それでアンジェロが窓から落ちた事実がわかる。自殺か事故かは、フォーチュンにもはっきりしない。ミナのうなじへフォーチュンがキスし、レズっぽい雰囲気をうかがわせる。
　カネのためにミナがチャーリーと寝て、妻を忘れられないものの、ミナとのやり直しを夢みていたリトがダヴァオから戻り、ミナのことでチャーリーの部下に痛めつけられてボコボコに。リトが飛び降り自殺のようで、実はミナが自殺で死亡し、助かったリトが実家へ帰る展開は、いささかとってつけたごとく、いわゆる頭の計算による演出の限界を感じる。全体はイペの視線でながめる構成で語られ、双子のダンサーにホアキンが入れあげたエピソードを加えるのはオマケだろうか。ミナの遺品をイペがオデットに届け、メイド（ルビー・ロサ・ルスティア）にオデットが処分を命じているドライさは納得。
　根底に日本願望をしき、パスポート用の書類のコピーにくる女性客（メギー・モトリル）が「日本へいくの」といっていれば、日本で二年目のヴィオリーから「老人の日本人と結婚した」との知らせがきてリトが悲嘆にくれる。日本へ就職あっせんのオフィスで係員（カガワッド・メリル・ガルシア）の目をはなしたすきにライカがミナ用の偽造パスポートを盗み、念願かなって日本のクラブへつとめ、日本のどこかと設定なのはよいが、店員のバーテンはどうみてもフィリピン人だし、客の「お名前はなんですか」の日本語がたどたどしく、ちゃんと日本人をつかってほしいなあとの苦笑に、制作費の低さを感じる。しかも、すでに日本は水商売のヴィザ発給をやめたあとじゃないの、といった疑問もおきる。
　シモンが役者になれないとあきらめ半分に“スキャンダル”と呼ばれるハメ撮りＤＶＤの出演をきめ、ミナの借りた部屋にのぞき穴があった設定は、スキャンダル作品の撮影用のため。この手の違法コピーＤＶＤの販売はムスリムがうけもっているケースが多いので、ラジッドがムスリムのキャラづけと勘ぐる。ただしライカの半裸をみてラジッドが心臓マヒをおこすのをムスリムたるゆえんに求めるのは無理っぽい。売春の代金がわりにラジッドが金のネックレスをわたし、ライカが中国製のニセモノと気がついてないあたりは、いかにもありがち。
　なんて社会学的な要素を盛りこみつつ、もっとも興味を引きつける対象は舞台がレクトな点で、あのへんにはコピー屋が多かったなあと思いだすが、映画は街の空気まで伝えるにいたらない。ミナが先にアンジェロの亡くなった現場をイメージする俯瞰のショットや、埋葬にフォーチュンがいるのをのぞいた墓場の回想はエド・レハノの映像センスが光る部分。盲目の歌手（エルモ・レオリコ）の歌声の活用もまずまず。でもヴィオレットの写真をコピーしまくるリトに人生の意味をかける狙いは不発といった印象だった。
　ジュリアナ・パレルモの出演にセクシーな期待を抱いたポイントはどうかだと、いきなりボディコンのワンピースで登場し、ボンにパンティーを抜きとられるも、とくに露出なし。アンジェロの部屋ではバスタオルを巻いたかっこうのままで、チャーリーにかこわれる前はジーンズのミニスカで太腿をみせてのヘソだし。無表情のマグロでのセックスは顔のみとハズレに終わる。ミスティカのほうがそそり、ラジッドに脱がされて黒いブラをだしたあと、シャワーでトップレスの手ブラ。微妙にしか陰毛がスケていないが、黒いパンティーの股間のアップが迫る。ヘソだしのミニスカで歩くうえ、シモンとセックスで乳首が隠れるも、上半身ハダカになる。さすがに年をとったなあとわかる容貌が惜しい。驚いたのはマリア・イザベル・ロペスで、初老にもかかわらず、ジーンズにくるんだプロポーションが健在。脇では双子のダンサーを演じるリサ＆リセル・ランタポンが色っぽく、最初のほうにミニスカのシーンがあり、ラスト近くのステージで大胆な光沢のビキニを着て踊る。もう、そのオッパイの形が絶品にあたいし、下半身をビンビンに刺激しまくる。同じくダンサー役のクリセル・クストディオとカラ・ゴンザレスは短パン型のパンディーにブラだが、ダイナミックに身体をクネらせる動きに興奮。スキャンダルＤＶＤの中でシモンと本番の相手役のクリスティナ・パハティはオッパイをもまれているも、乳首がみえない。ホステス役のチェリー・メンドーサとカテリン・トレスは顔がわからずじまい。
　なお、チャーリーの事務所にいる女性役がチエ・フロレスカとの名前で、じゃぴーなかなと疑った。