ＳＥＮＳＷＡＬ
（官能）
　
99/00年：ＦＬＴフィルムズ・インターナショナル
監督：エドガルト・“ボーイ”・ヴィナラオ
主演：ピエル・モレナ
　　　 エリザベト・オロペサ
　　　 ガーリー・エストラダ
　　　 トミー・アブエル
　　　 エステル・チャヴェス
　　　 マイク・マガット
　　　 パトリシア・ダンズ
　　　 ブランド・レガスピ
　　　 ヴェヌス・ヴァルガ
　　　 ポッポ・ロントク
　　　 アルマ・ソリアノ
　ソフト・ポルノ・タッチの作品に迫力ボディーのセクシー・スターであるピエル・モレナが主演すれば、まず期待を裏切ることはない。ただ個人的にピエルは好みじゃないので、それほどときめく要素はないのだが、どれくらい露出しているかはみてみたくなる。
　裕福な生活を送っている女学生というのがピエルの役どころで、ガーリー・エストラダ演じる恋人とつき合い、濃厚なキスのあとにガーリーの手がスカートの中へのびてきて、紐パンティーを脱がそうとし、陰毛がみえる寸前でピエルが阻止する。まだ処女という設定は無理があるなあ。
　ピエルにはエリザベト・オロペサ演じる姉がいて、実は高級娼婦であり、その稼ぎで生活を支えてきたという設定になっている。もちろんピエルには秘密で、何も知らないピエルとは大の仲よし。それはいいにしても、ピエルの母を演じても不思議じゃないし、エステル・チャヴェス演じる母は祖母でも不自然じゃないと思うくらいだから、いくらなんでも年増のエリザベトが高級娼婦とは強引さが先にくる。
　偶然からガーリーのお相手をし、実はエリザベトが恋人の姉であるとガーリーがいつ気がつくかといった展開に、とくにサスペンスは用意されていない。淡々とストーリーは進行し、実情をさとったピエルはグレ始め、ガーリーに処女を捧げる。
　こんな物語の中で、確かにピエルは全編で惜しげもなく裸体を披露してくれる。舞台はセブで、まずスーパー・フェリーでミンドロへ旅行するシーンが面白い。ディスコまである豪華な船内も興味があるが、船上のプールからあがるところでは、ハイレグ・ビキニのピエルの、ほんの少し乳首をまわりを覆っただけのブラとともにプラプラ揺れる巨乳が迫力もの。濡れてお尻にピタッと貼りついたパンティーも悩殺してくれる。
　パトリシア・ダンズとヴェヌス・ヴァルガが同級生を演じているから、こちらにもヌードの予感がわいてきて、マクタン・リゾートではヴェヌスの黒ビキニとピエルの白ビキニがキュート。それぞれが恋人を連れこんだあと、パトリシアとヴェヌスが二人ともオッパイを全開にセックスする。ピエルに比べるとかわいめの乳房だが、これはこれで魅力的。俺たちもセックスしようとガーリーがパンティーを脱がせにかかるが、またもやピエルは陰毛寸前でとめてしまう。
　でも姉の秘密を知った夜は、マクタンとセブをつなぐ釣り橋の上をパンティー一枚で泣きながら走ってショックを表現するという描写があって、ついに乳首まで丸みえで、いよいよだぞと興奮させる。しかしまあ、すごいオッパイだなあ、と完璧に圧倒されたうえ、パンティーがまたスケスケで、お尻もバッチリに、もはや鮮やかすぎる脱ぎっぷりと感動。
　処女喪失のセックス・シーンになるとガーリーの顔の上に乳房を持ってきて、乳首をチュッチュッとなめられるところで、いくらピエルが個人的に好みのタイプじゃないといってもビンビンを招く。今度はパンティーを脱がす手を阻止したりしない。
　さらに二度ほどセックスが描かれているものの、ややアートを意識したのか、隠微さが少ないのが不満。
　物語はエリザベトたち娼婦のマネージャーであるマイク・マガット演じるオカマに騙されて、ピエルがトミー・アブエル演じるスケベ親父に犯されそうになるシーンでクライマックスに達する。写真のモデルだと無理やり脱がされ、細い紐一本だけのＴバック下着姿にむかれるところが、鼻血ものの興奮。オッパイは全開だし、紐はお尻に食いこんでいるし、みているこちらまで我慢できない。よくも愛する妹を、とエリザベトがかけつけてくると、悲劇が待っている。
　脚本はホセ・Ｎ・カレオンとセネン・ディマギラが執筆し、盛りあげかたが安易だなあと評価できるものではない。瀕死となったエリザベトの手を握って、ピエルが愛情を取り戻したところで息を引きとるというエドガルト・“ボーイ”・ヴィナラオの演出も、わざとらしさが目につく印象。
　でも姉妹の思い出のカットが挿入されるラストなど、こういうやさしさが根底に流れている作品は決して嫌いじゃないし、エロスをセールス・ポイントにする内容としてはまずまずの仕上がりだと思う。もしピエルの役を好みの女優が演じていれば、間違いなくお気に入りの一本に加えていたところだ。
　なお娼婦仲間としてアルマ・ソリアノ、クリスティナ・カステン、ロサンナ・マグダレナが顔をみせているが、いずれもヌード・シーンはない。ただピエルに危機が迫っていることをエリザベトに教えるところで、アルマがさすがに存在感をみせていて、ちょっとした風格すら醸しだしているのがみごとだった。