ＳＡ　ＴＯＴＯＯ　ＬＡＮＧ！
（実は）
　
85年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
主演：ジーナ・パレニョ
　　　 グロリア・ディアス
　　　 カルミ・マルティン
　　　 ディンド・フェルナンド
　　　 レロイ・サルヴァドル
　　　 エディー・ガルシア
　　　 ジェー・イラガン
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 ジョン・ジョン・ヘルナンデス
　三名の女性をめぐるドタバタ喜劇。相当にくだらないし、はずしているギャグが多いながら、笑える部分もあって、まずまず楽しめる。
　カルミ・マルティン、グロリア・ディアス、ジーナ・パレニョが三人を演じ、それぞれ男運が悪い。カルミはジョニー・ウィルソン演じる中年男性と結婚するも、初夜にジョニーがショック死。ピーター・コルプス演じる銀行支店長が友人で、よからぬ欲望を抱くピーターから窓口業務の仕事をもらうと、客にきたジョン・ジョン・ヘルナンデス演じる子どもっぽい若者や、ロベルト・カンポス演じる中流のオヤジに口説かれる。グロリアはルエル・ヴェルナル演じる夫がサウジ・アラビアへ出かせぎにいき、不在中にジェー・イラガン演じるかつての恋人のアタックを受ける。ジーナはハイメ・ファブレガス演じる愛人が家出し、マリッサ・コンセプション演じる妹、シャーロン・ダヴァオ演じる息子とともに残され、カネ持ちの相手を探して怪しい連中とつき合う。エディー・ガルシア演じる運転手つき高級車に乗る男、モン・リー演じるロックフェラーと名のる中国人、レロイ・サルヴァドル演じるアロハを着たハワイ出身をひけらかす奴。
　ジーナのとなりにはディンド・フェルナンド演じるボクサーが住んでいて、いつもＢＧＭに『ロッキー』のテーマが流れる。ジーナに『追憶』のテーマを流して対比するシーンを置くものの、一回だけで徹底さを欠くのが残念。チャンダ・ロメロ演じるメガネの女がディンドにほれ、ベッド・インのチャンスをうかがっている。
　ルエルが事故で亡くなったとの連絡がきて、グロリアがジェーの受けいれを決めると、ルエルがちゃっかり帰ってくる。あわててグロリアがジェーをカルミの家へあずけ、ロベルトが誤解。実はエディーがおたずねもので、ピストルを持ってジーナの家に立てこもり、カルミとグロリアも人質に。警察、消防、マスコミが取り囲み、スラプスティックが頂点を築き、ディンドがエディーをノック・アウトする。
　とにかくストーリーは無茶苦茶ながら、そこが愉快。最初と最後に結婚式との構成で、今度はカルミがロベルトとゴール・インし、嫌い合っていたジーナとディンドが結ばれ、グロリアの三角関係だけ解消しないままがご愛嬌。
　ジーナがプゼットとエストレリア・アントニオ演じる占い師にみてもらうシーンがあり、トランプとタロット・カード、それもカードにビー玉を投げるいい加減さが、世界共通のバカぶりを示す。カルミがロベルトの家へ食事会に招かれると、まだ小学生程度の娘から学歴を聞かれ「ハイスクールなの、カレッジ卒じゃないの」とさげすまれるなど、風刺的要素も登場。
　ワン・ポイントのギャグでは、ハイメがカツラをかぶっていて、扇風機ではずれそうになったり、ジョニーの葬式場でヴァンジー・ラバラン演じるウワサ好きの出席者がゴシップに高笑いしたり、銀行で仕事中に迫ってきたピーターをカルミが金庫室に閉じこめてしまったり、クスクスが起きる。
　ホント、けっこう楽しめるのだが、グロリアにストーカーのごとくつきまとうジェーがスーパーの商品棚を壊すほか、ジョニーがマザコンで、亡くなったあとにエステル・チャヴェス演じる母が私立探偵のようにカルミの動向を探るエピソードや、その関連でジョーイ・ガルヴェス、キング・グチェレスなどが演じるオカマの銀行強盗のズッコケぶりがイマイチすぎて印象ダウン。何よりもベン・“ティソイ”・サンチェス演じるトレーナーが「ユー・アー・チャンピオン」と腕をあげるディンドの存在が悪い意味でマヌケさを与え、まんがタッチにするにもツボがある点を心得ていないのが致命的。ホセ・ハヴィエール・レイエスの脚本をマリオ・Ｊ・デロス・レイエスが生かしきれなかったといわざるをえない。
　全体的には決してホメるにあたいしないのが客観的評価だろうが、個人的にはナンセンス大好きなので、いいんじゃないか。
　また、熟女に入る寸前の三人が、けっこう色気たっぷりで魅了してくれる。ジーナとグロリアは各シチュエーションで短パンになって脚で迫り、太めのジーナは黒いタイツや、でんぐり返ってのパンチラがコミカルな挑発。グロリアは美人だけに、お尻の大きな下半身にフィットしたピタパンがそそる。とくにエディーが占拠する二階から逃げて縄でおりるとき、ヒップの形が割れかたくっきりで、思わずさわりたくなる。バス・タオルを巻いたボディーは、さすがにもっとはだけてほしかったところ。カルミは小悪魔のようなセクシーぶりを振りまき、ジョニーとのベッドでパンティーがみえるガウン姿や、そのガウンを脱いだ下着が興奮を呼ぶ。シャワーからバス・タオルを巻いて現われ、短パンをはいたあとのポーズも絶品。
　あと、チャンダが短パンやベージュのピタパンによって腰まわりのプロポーションで視線を奪い、ディンドにイチャつくビキニの女性二人と、ディンドの家のベランダにいる、ファリダ・ユーロ演じるオッパイを手で隠すパンティー一枚の女が軽いドキドキをくれる。
　女優のパワーにも嬉しさがにじむ。
　なお、ベンゴット・ペ・ベニート演じるカルミの同僚が交際するライダーの恋人役としてロイ・ヴィンゾンが、エディーの運転手役としてマンジョー・デル・ムンドがゲスト出演している。