ＳＡＲＩＷＡＮＧ　ＢＵＬＡＫＬＡＫ
（新鮮な花）
　
96年：エル・ニーニョ・フィルムズ
監督：セザール・ＳＢ・アベーリア
主演：マイキー・ヴィリアヌエヴァ
　　　 トントン・グチェレス
　　　 シーラ・イズラエル
　　　 フレッドモール・デロス・サントス
　マイキー・ヴィリアヌエヴァという女優が気になって、気になって、あの具の大きな顔に引きつけられ、やっぱりヌードがみたいなあと思うと欲望が抑えきれなくなり、それじゃあ、とマイナーな作品を掘りだしてしまった。
　開巻、タイトル・バックで早くも白いスリップ姿のままマイキーが海でたわむれているではないか。ウワッ、オッパイがみえてるかもよ、と瞳孔をパッチリ開き、全精神を集中してながめるも、下にまだブラをつけているのか、浮きあがってこない。うーむ、うーむと悔しがると、浜辺で腰をおろすカットで濡れて貼りついた白いパンティー越しにお尻の形がくっきりで、まあ最初だし、これで満足しようと納得。
　嬉しいファースト・シーンじゃないか。
　ところが信じられないことに、あとは魅力的な描写が皆無だった。
　事故で父を亡くし、テス・オリアス扮する母と幼い弟たちのために、ソルソゴンからマニラへでてくる。バス停でアナベル・アミール扮する女に声をかけられ、意味深な登場だったわりには、マニラで家政婦の仕事を紹介する以上に彼女はドラマにからんでこない。勤めた家では、ルーシー・キント扮する妻が留守の間に、ダニー・リエル扮する主人にレイプされそうになり、とっさに殺してしまう。ここはダニーがパンツ一枚で襲いかかり、パンティーを脱がされ、ヤヤヤヤと期待したものの、セクシーな発展はなし。また正当防衛ながらも、殺人という事件があとでまったく物語にかかわってこないのは、実にいい加減な構成である。
　セザール・ＳＢ・アベーリア監督は、本気でつくっているのだろうか。
　職を失ったマイキーがマニラの町をうろつき、物乞いのマネごとをするあたりは、風俗的興味があるとはいえ、シーラ・イズラエル扮する女が経営の食堂に雇われてからは、またありきたりなドラマに変貌。
　シーラはトントン・グチェレス扮する刑事とできているが、実はトントンにはマリエル・サルヴァドル扮する妻がいる。シーラとのセックス・シーンは、一応脱いでいるのに、まったくみたい部分をうつしてくれない。あとでマリエルとのセックスでも、スリップを着たままで露出不足。どうやら、ヌードをちゃんと撮らない演出意図であるようだ、と感じとる。
　マイキーはフレッドモール・デロス・サントス扮する若者と恋に落ち、いよいよベッド・シーンになってもボディーにしっかりタオルを巻いたままに、そりゃないでしょ。結婚して二人でバギオへでかけたときのホテルのシーンですら、シャワーを浴びるマイキーが胸にタオルを巻いているのがチラリうつってしまい、興味半減。こうなると、あとはどうでもいい映画に転落じゃないか。
　バギオの観光要素は、かなり紹介されているが…
　実はトントンは悪徳警官で、フレッドモールたちを取り引きの手下に使っていた。ひょんな偶然から彼らが逮捕され、それで留置所のフレッドモールに会えるように頼むため、マイキーはトントンにホテルへと連れて行かれると、大きな浴槽があって、二人で入るんだろうなあと予想するも、どうせヌードはみせない方針なのがわかっているため、まったく興奮がわき起こってこない。
　シャワーを浴びるマイキーをうしろからとらえたカットのあと、ちゃんと泡風呂で愛撫し合うのに、肝心のオッパイが…
　ああああ、実につまらない映画である。
　トントンらは自分たちの悪事の発覚をおそれ、仲間のボンバー・モランとエルニー・サバルテ扮する巡査に、フレッドモールたちを殺させてしまう。あとは定石通りの復讐劇で、まずはボンバーとエルニーを毒殺の際、二人を誘惑するマイキーの黒いタイト・スカートによるセクシー・ダンスは、どうせこれ以上脱がないんだとわかっているから、腰を挑発的にクネクネ動かすものの、ただ長いだけ。
　最後はタガイタイの別荘で、トントンを撃ち殺して終わり。
　ほとんど蛇の生殺し状態である。失敗だった。明らかに失敗だった。
　ときには、こんなこともあるさ。
　内容的にもイマイチすぎて、まじめに評価するような対象ではない。また、他のもっとセクシーなマイキーの主演作を探そう。