ＳＡＰＬＯＴ
（ボロボロの服）
　
04年：トーラス・フィルムズ
監督：ニール・“ブボイ”・タン
主演：モニカ・ミドラー
　　　 パオロ・リヴェロ
　　　 クリセルダ・クリステル
　　　 マルタ・ダニエルズ
　　　 シンディー・コルテス
　　　 マーク・ディオニショ
　　　 ルーカス・レオナルド
　　　 クリスティン・バレート
　　　 ペドロ・サクロ
　　　 アントン・ディゾン
　いわゆるエロティック・サスペンスだが、エロティックはともかく、サスペンスのほうはいただけない。
　冒頭に一家惨殺事件のネガ反転映像が入り、五年後になって、モニカ・ミドラー、クリセルダ・クリステル、マルタ・ダニエルズ、シンディー・コルテス演じるモデルが寮に暮らしている。モニカはパオロ・リヴェロ演じる刑事とつき合い、クリセルダはジェレミー演じる警察のボーイ・フレンドと交際中。マーク・ディオニショ演じる有名な画家がモニカに目をつけるが、モニカのほうは無反応。ルーカス・レオナルド演じるマークの友人のヴィデオ・ディレクターがモデルを撮影中に暴行を与え、マークがセックス相手の女性をボコボコに殴って、連続モデル殺人の記事をパオロが読んでいる。ジェレミーから過去の事件の書類をみせてもらったモニカに、家族皆殺しの記憶がよみがえる。マークの仲間が一人、二人とナイフで刺殺に合い、マルタが彫刻のモデルになったときにペドロ・サクロ演じる依頼主からの暴力で意識を失って入院すると、ペドロが死体で発見される。
　モデルたち三人がプールで泳ぎながらモニカの不在に気がつき「どこへいったのかしら」「知らないわ」と話す伏線を張り、普通ならここまでわかりやすい人物は犯人じゃないのが常識。でもモニカが復讐している流れで、ストーリーのおもしろさはゼロに近い。シンディーをモデルに絵を描くマークがレイプに転じ、シンディーの荷物からナイフがでるあたり、意外性に驚かせる狙いどころか、セコい語り口と笑いすら誘う。ジェレミーが安易にモニカへ書類をわたすのがヘンなら、一連の殺人事件をパオロが新聞で知っていて、あんたは警察だろう、なんでマスコミのほうが早く情報をつかむわけ、とあきれるばかり。最後にモニカが発狂の演出は、しょうもなさの限度を越す。
　オカマがウォーキングを指導するファッション・ショーの舞台裏や、マークたちがシャブを吸うようすに風俗を盛りこんだのがありきたりなレヴェルだし、あとから着がえているモニカが先に部屋の外にいたり、人物の位置関係がヘンな構成があるうえ、照明や録音が一定を維持していない技術的な不備も加わって、サスペンスのサにも達しない駄作。このところニール・“ブボイ”・タンはやたら多作なので、一本一本への配慮に手抜きが生じたせいかもしれない。
　それでエロティックはどうかだが、こちらは相当に女優への魅力に評価の基準がかかる。まずはホテルでの水着ショーでモニカとクリセルダが紐ビキニで歩き、デザインがイマイチのタイプながら、楽屋で白いＴバック下着になって座るモニカの腰からお尻へのラインがムズムズとそそる。黒いＴバック下着のクリセルダのほうが大胆なものの、プルプル震えるお尻のお肉のしまりが足らない。ジェレミーとクリセルダのセックスが暗くてよくみえず、部屋で食いこんだパンティーとＴシャツで寝ころぶモニカに萌える。マルタが白いビキニ下着を披露のあと、自己紹介ヴィデオを撮影直後に殺されるモデルが登場。黒いＴバック・パンティー一枚のトップレスでなぶりものになり、オッパイがモロに揺れまくる。マークと騎乗位のセックスをする女はオッパイやお尻の丸みえがすごいが、モデルはかわいいけどオッパイの張りが弱く、女は顔が隠れているし、チョコンと立ったような乳首がきれいじゃない。この二人の犠牲者のうち、どちらかを演じるのはクリスティン・バレートだろう。プール・サイドでの下着ショーはクリセルダの乳首がシー・スルーのキャミに視線を奪われ、シンディーはパッとせず、マルタが前開きのシャツの紐をほどき、片方の乳首の乳輪だけをだすのに刺激をくれる。モニカはわりと控えめな印象になっている。楽屋では黒いビキニ下着の四人をおがめる。さらにはクリセルダ、マルタ、シンディーがプールで泳ぎ、意外とクリセルダの紐ビキニがパワー・ダウンだが、シンディーのハミケツ・パンティーがなかなかなうえ、プール・サイドへあがるシンディーの黄色いビキニの貼りつきショットがおいしそう。パオロとのセックスでついにモニカの全裸が明らかになり、乳首が小さくて美乳とはいかないも、質感バツグンのオッパイが迫ってくる。紐パンティー一枚でシャワーを浴びるかっこうでは、陰毛までスケていそう。マルタが彫刻のモデルでポーズをとると、全裸に白い布をもち、やや乳首が黒めかなというオッパイだけでなく、陰毛を剃ったのか、もともと薄いのかと妄想が起きる股間がのぞく。マークがモニカのヌード写真をみてセックスをイメージするところでは、座位のバックと正常位の全裸でモニカのオッパイとお尻がバッチリに。シンディーが絵のモデルになって、全裸のポーズはこれでもかというオッパイの堂々丸だし。セックスに変わってオッパイのアップまでとらえるや、ちょっと形が崩れているかもしれない。ルーカスがシャワーで女と抱き合うのに続き、モニカが殺人の準備をするシーンは個人的にハイライト。黒いビキニ下着にストキングをはいていくと、ボディコン・ミニの背中のシッパーをあげる。ルーカスに会ってボディコンを脱がされ、乳首の感触までがはっきりとわかるオッパイの全開になるが、もう少し着たままを堪能したかったのは、自分のフェチの現われか。下向きのオッパイをプラプラさせてルーカスを刺す。病院でマルタが意識をとり戻し、ぺドロをモニカが殺した目撃を語るフラッシュ・バックでは、仰向けに気絶していた全裸のマルタのお尻が理想的な割れかた。モニカがマークを襲うクライマックスにおよんで、オッパイをモロのままに動機をしゃべる。回想の中にはプリタ・カバウアタン演じる母のほか、姉と少女時代のモニカを演じる女優も下着になっている。エンディングにモニカ、クリセルダ、マルタ、シンディーの四人がプールへ駆けていく濡れたビキニ水着はサーヴィス・ショット。
　いずれも惜しみなくハダカをみせてくれるのだが、正直いってモニカをのぞき、いささかブスっぽいのが満足感をそぐ。クリセルダは大嫌いなヘソピーをつけているため、いっそう萎える。モニカはショート・カットのヘアーがキュートでまさに好みの女の子とはいえ、盲腸の上あたりに刺青を彫っているのに落胆。まじめに刺青を嫌悪する趣味のものにすれば、最低との思いがわきあがる。モニカのオッパイの谷間に傷があるのは、子どものときにマークから切られた小道具ながら、水着ショーの際にはブラの間にみえないなど、徹底さを欠くのが作者のいい加減さゆえん。まあ傷のないほうが素敵は素敵だが…
　結果エロティックは失格までいかないも、次第点に届く手前程度。すべて女優陣の責任といえる。
　なお水着ショーを含め、かなりのシーンをホテルＳＯＧＯでロケしている。モニカとパオロが談笑するのもＳＯＧＯのロビー。いやはや、セクシーな映画の舞台の定番になったものだ。