ＳＡＰＡＧＫＡＴ　ＫＡＭＩ　ＡＹ　ＴＡＯ　ＬＡＭＡＮＧ
（私たちはただ人間であるにすぎない）
　
02年：ＡＴＢ−４フィルムズ
監督：アンヘリート・Ｊ・デ・グスマン
主演：アリオーナ・アモール
　　 　モン・コンフィアド
　　　 ジェフリー・ゴンザレス
　　　 イーアン・ヴァルデス
　　　 パム・ラクソン　（カト・デ・サントス）
　　　 ブライアン・リーワグ
　　　 スサンナ・オルティス
　　　 ジュン・アレナス
　　　 ラセル・アンジェラ
　　　 カルメラ・コルテス
　　　 アラン・ギルバート
　エイズを素材にとりながらも、とくにセンセーショナルになることなく、厳しい社会の現実と戦ったカップルの愛の支え合いを描き、ちょっとした感銘を与えてくれる作品である。
　子どもの頃に仲よしだった男女が主人公で、家族が仕事の都合から引っ越ししたために離れ離れになるのが出だし。アリオーナ・アモール、パム・ラクソン、ブライアン・リーワグが演じる三人兄弟は、豊かとはいかないまでも、両親の愛にはぐくまれて幸福に暮らしている。それがジュン・アレナス演じる父が急死し、知らせを聞いたスサンナ・オルティス演じる母がショックで植物人間になったことから生活が一変。妹と弟をとにかく卒業させてあげるべく姉のアリオーナが働く決心で、仕事探しの疲労から倒れたところをイーアン・ヴァルデス演じるオカマに助けられる。イーアンにダンサーの職の紹介をうけ、悩んだすえにカネの入用から承諾。またイーアンに連れて行かれた先の男性ストリップ・バーで、モン・コンフィアド演じる別れていた幼なじみと再会する。モンも家庭の事情から売春の世界へと足を踏み入れていた。
　というわけで、アリオーナとモンに愛情が生まれる展開なのだが、パロマ・ロサル演じるモンの顧客とケンカになったり、イーアンがモンのパトロンだからホモのセックス関係であったり、アリオーナもイーアンから議員相手の売春を頼まれたりで、なかなか素直に進行しない。またアリオーナがセックスを売ってまでして学費を稼いであげているのに、ブライアンは不良仲間とつき合うようになっていく。
　医者からこれ以上回復のみこみのない母の治療費のために自分を犠牲にするのでなく、新しい人生を歩みだしたほうがよいと母の生命維持装置をはずす提案を受け、泣く泣く承諾のあたりは、おそらく日本だと殺人にあたるケースだから、これって許されるの、と驚いてしまう。でも保険制度があるわけじゃなく、植物人間を維持する費用のことを考えると、本当に安楽死させることが罪なのかといった意見が起こってくるのは当然で、簡単に答えのだせない問題だが、テーマからはずれるので考察は別の機会にゆずる。
　また、このようにして亡くなった人の臓器が不法に売買されているんじゃないかとの疑惑も生じるが、それは関係のない話。
　ケンカがちになっていたパムは母を殺したとアリオーナを批判し、ジェフリー・ゴンザレス演じる恋人の元へ行くも、ジョシー・サントス演じるジェフリーの母から拒絶されて二人で家出。妹と弟から見放されたアリオーナは、絶望で自殺を試みるや、モンにとっさのところを助けられる。「愛している」とアリオーナを抱きしめるモンに、人間、最後は愛しか支えがないことがうかがえるようである。
　しばらくは平穏な二人だったものの、アリオーナが妊娠で医者の診察を受けたときにＨＩＶの陽性と判明し、またも絶望のどん底へ。イーアンが末期のエイズで亡くなりそうになり、モンが自分にも感染している事実を知って、アリオーナにうつした責任を感じるあたりのつらさは、モンの演技も手伝って、なかなかよく表現できている。
　五年後に、いよいよアリオーナにも死期が迫り、モンはジェフリーと一緒に姿を消していたパムを探して、ゴー・ゴー・バーのダンサーになっているところを発見。カルメラ・コルテス演じるブライアンの恋人も加えて、逮捕されていたブライアンを警察に頼んで出所させる。全員が自分たちの身勝手さを反省で和解すると、アリオーナに会いにやってくるや、やつれたメイクで悲壮感を漂わせている。家族の愛を取り戻したアリオーナは静かに昇天し、モンがその遺灰を海に投げ捨てて、自らも死を待つところで終わるのだが、とにかくむなしい気持ちがよく伝わってくる。
　最近、六本木ではクラミジアを保菌している女子高校生が多く、エイズへの感染率が高くなるから問題になっていると聞くが、そんなバカ・ギャルたちがどうなろうと知ったこっちゃない。勝手に死ねば、という感じなものの、ここに描かれているような社会と、そこで生きなければならない者たちがエイズに感染していく現実をみると、どうしてこの人たちが不幸を背負いこまなければならないのか、といった疑問を抑えることができない。カトリック国風にならえば「神さま不公平じゃないですか」といいたくなる。
　まあ、ジェフリーがモンに会うときに握手を嫌がったりといったシーンはあるが、周囲の偏見をあまりとりあげていないのは、エイズが主題ではなく、愛の物語だからだろうか。
　アリオーナが妊娠の設定なのに、子どものことがうやむやになってしまうのは、胎児が感染していない例もけっこうあるわけで、前向きに描いてほしかったように感じるも、ややこしくなるのを避けたのかもしれない。
　いろいろ不満があるながら、基本には人間のやさしさを描こうとしているだけに、好きな作品。
　期待のアリオーナのセクシーさは、ステージのシーンで水着の上に厚めの布を巻いていて、アレレっとイマイチだったが、議員にカネを投げられて脱いでいくところでブラまではずすと、オッパイをポロン。モンとのセックスはよくみえない撮りかたなのが残念だが、お互いに身体を洗い合いながらモンがアリオーナの背中に斑点を発見するシーンで、ハダカのオッパイがプルンプルン。
　ああ、やっぱり素晴らしい。
　パムはステージの場面で紐Ｔバックの水着のお尻をクネクネさせ、１８０度開脚のポーズになると、パラッとブラをはずしてオッパイを丸みえにしてくれるから、アリオーナよりもドキドキ・ウハウハの誘惑。
　パムの大ファンになってしまった。