ＳＡＮＧＧＡＮＯ’Ｔ　’ＳＡＮＧＧＡＧＯ
（居候とバカ）
　
01年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：アル・タンタイ
主演：エディー・ガルシア
　　　 バヤニ・アグバヤニ
　　 　ジャッキー・フォースター
　　　 ロビン・ダ・ロサ
　　 　ミシェル・バイレ
　　　 ハイメ・ファブレガス
　　　 ディック・イズラエル
　エディー・ガルシアに人気コメディアンを共演させる作品は多くみられるが、ここではバヤニ・アグバヤニとの顔合わせで笑いをとろうとしている。
　冒頭に刑務所の中でのエピソードがあり、ディック・イズラエル演じる囚人の氾濫を詭弁でやめさせるのは、いつもながらの人を食ったエディーの魅力。三十年ぶりにシャバへとでてくるや、ベル・ボトムズのジーンズをはいているのがおかしい。かつての自分の家へと帰ってみると、今はバヤニ演じる掃除夫が住んでいるわけである。
　まず留守宅に入ったエディーが、知らずにキャット・フードを食べてしまったり、クソがこびりついた便器を歯ブラシで磨いあと、翌朝、何もしらずにバヤニがそれで歯磨きをするといったギャグが置かれている。いったんはエディーを追いだしたものの、とにかくバヤニが同居に合意でドラマの設定ができる。
　近所でジュース・スタンドを開いているジャッキー・フォースター演じる娘がチンピラにからまれているのを救ったことからエディーと恋仲になり、スタンドの店番を頼まれたエディーがミキサーの使いかたがわからなくて客の女性をジュースまみれにしてしまうギャグなど、低級ながらもクスクスできる。
　バヤニのほうは会社にロビン・ダ・ロサ演じる潔癖症の幹部社員がいて、エレベーターのボタンを押すときや電話の受話器をとるときなど、他人がふれたものには必ず消毒スプレーをかけ、このロビンにモップをぶつけそうになったり、ゴミをぶちゃけたりでニタニタさせてくれる。ただロビンの潔癖症は、あとにも玄関の鉄扉を押すときハンカチをだしたりするものの、新聞を渡されたときにそのまま受けとったり、徹底できていないのが残念。
　会社にはミシェル・バイレ演じるカワイコちゃんの社員がいて、なぜかうだつのあがらないバヤニと恋仲になるのがフィクションたるところ。シモン・ソレル演じるミシェルの弟がロビンの配下で、麻薬取り引きにかかわっているらしいことがわかり、映画はギャグ主体のエピソードのられつから、やっとストーリーらしきものへと入る。
　エディーが罠にはめられて逮捕された過去を告白し、その真犯人こそがハイメ・ファブレガス演じるミシェルの会社の社長と判明で、退治劇へと進展。
　とはいってもテンポがのろい。
　カロイ・“ロガグ”・アルデ演じる社員が麻薬運送で身代わりに逮捕されるなど、そのあとどうなったかがわからないままのエピソードもあり、イマイチすっきりしない。
　エディーの指導でバヤニが武道の特訓を始め、床を「ワックス・オン、ワックス・オフ」と磨くのは『ベスト・キッド』のパロディー。テコンドーの胴着で和室にすわって、箸でハエをつかまえるあたりも『ベスト・キッド』だろうが、日本人は宮本武蔵を連想するシーン。ジャッキーとミシェルが急須にお茶を入れて持ってくるのが、妙におかしい。
　あとはハイメとロビンを追いつめるだけだから、単純を通りこしたバカバカしいストーリーではある。
　アラブのかっこうをしたエディーがハイメの会社のファッション・ショーの会場へ忍びこみ、ハイメはラジコン・ヘリコプターに夢中になっていたのだが、ジャッキーが会場から抜けだしてハイメがこのヘリで麻薬を運んでいる現場をつかむ。エディーがもう一台ヘリを用意して空中戦になるところなど、子どもっぽいが、ついみてしまう。
　バヤニがブルース・リーのパロディーでロビンをやつけるくだりは、さすがにくだらなさすぎる。
　まあ、最後はめでたしめでたしで終わりに、こんなもんでしょ。決してホメられたコメディーではないが、エディーとバヤニのコンビぶりはそれなりに息が合っていたから、笑えるシーンがあったことは指摘しておくべき。
　まったくダメ、というわけではないです。
　女優陣では大好きなジャッキーが、タンク・トップのシャツで胸元を強調したり、ジーンズで太めの腰つきをキュッとくるんだり、相変わらず肉感的なプロポーション。射撃練習のシーンでの短パンなど、ムチッとしたお尻に食いこんでいて、かなり色っぽい。超ミニで格闘するところもおいしそう。
　ミシェルは胸元がバサッとあいていて、脚のところに切れ目の入ったスカート姿で誘惑してくる。しかも脚をめいっぱいあげて相手をけるアクションを何度も披露するから、視線を奪うことしばしば。
　シモンの恋人を演じたアイサ・マルケスもちょっとかわくて、注目に値する。
　セクシーな要素となると、殴り合いの最中にアクシデントからバヤニにスカートをとられるファッション・モデル役のビアンカ・リヴェラに軍配。黒いパンティーで逃げると、また格闘に巻きこまれてシャツをはがれ、ブラも丸だしに。それでゴミ缶のフタや机などでボディーを隠そうとするも、そのたびにバヤニが相手を打ちのめす道具として奪ってしまうため、下着のままウロウロ。
　やっぱり自分の傾向としては、キュートな女優がいないと映画はつまらないんだなあ、と再確認。