ＳＡ　ＮＧＡＬＡＮ　ＮＧ　ＰＡＧ−ＩＢＩＧ
（愛の名のもとに）
　
95年：リーガル・フィルムズ
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
主演：クリストファー・デ・レオン
　　　 ロルナ・トレンティノ
　　　 アルマ・コンセプション
　　　 チャック・ペレス
　　　 メリッサ・メンデス
　　　 アパ・オンピン
　　　 ジョアンヌ・キンタス
　　　 ハスミン・レイエス
　　　 シェール・バールワニ
　　　 スーザン・アフリカ
　不倫が生むサスペンス劇で、妻の立場からの殺人を通し、かえって夫婦仲が深くなる構成になっている。マリオ・Ｊ・デロス・レイエス監督がクリストファー・デ・レオンとロルナ・トレンティノの好演を得て夫婦の心理をうまくとらえ、まずまずの仕上がりと評価していいだろう。また、ラクエル・ヴィリアヴィセンシオとワリ・チンの脚本が受賞トロフィーや車のフロント・ガラスに差したメモ書きラヴ・レターなどの小道具、リト・ピメンテル演じるコンドミニアムのセキュリティー・ガードといった脇の人物を巧みに活用し、よく練ったうまさを感じさせる。
　クリストファー演じるのは広告代理店のＣＭプロデューサーで、ロルナ演じる妻とイウィー・ニコラス演じる幼い娘がいて、幸福な中流家庭の典型。それが撮影に起用したアルマ・コンセプション演じるモデルとの浮気へ陥るわけである。いったんアルマに気持ちが傾いたクリストファーが、ダメだと帰宅してロルナに抱きつくも、シャワー中だったので拒まれるあたりに、自制のきかない身勝手な男の弱さを強調。反面、ロルナが二人目を妊娠したと知っての歓喜に、マイホーム・パパぶりをうかがわせる。
　アルマが出演するジーンズのＣＭ撮影では、監督でもあるタタ・エステバンがディレクター役で出演していて、完成した作品にエレイン・カリエド演じるクライアントが称賛を述べているが、実際にタタの演出なのかの興味がわく。
　チャック・ペレス演じる恋人がいるのにクリストファーへちょっかいをだすアルマが、美貌とスタイルを生かし、チヤホヤされた女のわがままぶりを自然に醸す部分が、納得のポイント。ロルナが会いにくると着がえの際にクリストファーからもらったネックレスをつけさせたり、小バカにしたような言動で、おもわずロルナが殺意を抱く流れに説得力が十分。死体を車のトランクにつめて運ぶとき、くるんだシーツのはしがでていたり、たまたまジョジ・イスラとウィニー・コルデロ演じる夫婦が運転するバンが事故でぶつかってきて、保険で修理すると騒ぎ、白バイ警官がやってきたりのハラハラ感も、いささか定番のネタながら、けっこう盛りあげる。
　アルマの部屋へきたことの証拠隠滅で拭き掃除したロルナが、最後に部屋からでる際に、ちゃんとドア・ノブをスカートの布ごしでつかむなど、細かいしぐさへも手抜きがない。
　ただしロルナがクリストファーの尾行を頼むダニエル・フィゲロア演じる友人など、からませかたの浅い人物がいたり、死体処理の最中に身重のハンディーを使いきっていないといった惜しい部分を残すのは事実。
　とにかくクリストファーへ嫌疑がかかってロルナが良心の呵責からうなされ、実はアルマとの関係に気づいていたとクリストファーが知り、ロルナの告白を受けて自分が犯人のフリをする覚悟を決め、ついにロルナの自白までのドラマをちゃんと描いた姿勢は、無難にクライマックスを築いたようだ。
　まあ、いいんじゃないか。
　クリストファー一家が祖母の暮らすアメリカ合衆国へ逃げようとするのは、相変わらずフィリピンっぽくて、あきれるかな。
　もっともアルマがセクシーさを爆発させるのが、全編における最大の魅力。ＣＭ撮影からしてブラとジーンズにフェロモンがムンムンなものの、クリストファーの電話を受けるとき、白いボディー・スーツ型の下着でベッドに寝ころんでいるポーズにドキドキ。プールでのデートにつながり、水中で抱き合うビキニのお尻が驚くべきキュートさ。ブラをはずしてみせたところへチャックがきてクリストファーが隠れ、水からあがるトップレスをうしろからとらえて、ハイレグのパンティーがキュッと貼りつき、お尻のお肉がはみだしている。家でクリストファーとイチャつくと、またも白い下着からヒップラインくっきりで、なんと美しいカーヴなの。チャックとシャワーで抱き合うシーンにおける、濡れてフィットした光沢パンティー一枚のパワーも天国級で、トップレスのバストを自らの手やチャックの腕で隠すも、乳首がみえる寸前まで露出し、ウヒャー、たまらない。ロルナが訪ねてくると、赤い超ミニのガウンで登場後、着がえるからと白いビキニ下着に。そのほどよい大きさのバストと、引きしまったくびれのプロポーションは文句なしのパーフェクト。お尻をつきだして座るショットや、死体となってシーツにくるまれる際の食いこむパンティーなど、最大級の賛辞を贈っても足らないもの。クリストファーがながめるモデル紹介ファイルにはさまれたアルマのビキニ写真数枚も、是非ほしくなる。
　アルマの誘惑光線にクラクラ。
　ロルナも家族でビーチへ行くシーンで黒いワンピース水着姿を披露したり、クリストファーとのベッドやシャワーを浴びるときにオッパイをださないまでも、肌をチラつかせるが、アルマの前で陰が薄いのはしょうがないか。
　また多彩なゲスト陣のチョイ役顔みせが、もう一つの楽しめるポイントといえそう。アルマがモデル・オブ・ザ・イヤー１９９４を受賞する会場で、司会役にジョアンヌ・キンタス、プレゼンター役にディレクター・脚本家のアパ・オンピンとモデルのハスミン・レイエス、アルマの対象作品を監督したＣＭディレクター役にクロイド・ロビンソン、イウィーの誕生パーティーにくるロルナの友人役にスーザン・アフリカ、クリストファーの秘書役にルス・ヴァルデス、浮気の悩みを相談するロルナの友人役にシェール・バールワニ、クリストファーがアルマの住むコンドミニアムのエレヴェーターで出会う子持ちの主婦役にメリッサ・メンデスなど、そこそこ豪華なメンバーがそろっている。